重慶大爆撃
重慶大爆撃被害者の謝罪と賠償を求める闘い
 

はじめに 〜「重慶大爆撃とは?」  

 重慶大爆撃は、1938年から1943年までの5年半に及んでいる。日本軍が重慶の一般住民の殺戮を意図的に狙った残虐な無差別爆撃である。日本は、1937年7月の廬溝橋事件で中国への全面的な侵略戦争を開始したが、これ以降日本軍機は上海、南京をはじめとする中国のほとんどの主要都市を爆撃した。
 重慶大爆撃が最も激しかったのは1939年から41年までの3年間であった。1939年の「五・三、五・四」、1940年の「101号作戦」、1941年の「102号作戦」・「六・五大隧道惨案」とそれぞれ呼ばれている爆撃では、重慶は甚大な被害を出した。最近の資料では、この5年半の爆撃による死傷者は6万1300人、うち死者2万3600人、負傷者3万7700人とされる。重慶大爆撃は、日本の侵略戦争に徹底抗戦する中国の政府・民衆の戦意喪失と侵略への屈服を狙った最大規模の無差別・戦略爆撃であり明白な戦争犯罪であった。






「重慶大爆撃の被害者と連帯する会・東京」
入会のお願い

代表・前田哲男(ジャーナリスト・沖縄大学客員教授)
事務局長・西川重則(平和遺族会全国連絡会代表)

 21世紀にはいって6年。しかし「戦争の長い20世紀」は、まだ終わっていません。戦争にとって、20世紀とは何であったのか? 空から降ってくる突然の恐怖、焼夷弾で焼け死んだ都市住民の炭化した死体――東京の、ドレスデンの、広島・長崎の無残な写真――に、新しい戦争が直截に映し出されています。まこと20世紀は「空中爆撃の世紀」でした。

 どこからきたのか? 1937年4月のスペイン・ゲルニカにおける、そして翌1938年に始まる日本航空戦力の中国抗戦首都・重慶に向けた5年間にわたる無差別爆撃の歳月・・・ここに「戦争の惨禍」の新しい形が生まれました。その時、その場所から、戦争法規にも、国際人道法にも反する蛮行が開始されたのです。それがいまだ清算されていないがゆえに、同時に、朝鮮―ベトナム―コソボをへて、現在なおイラク国民の恐怖として再現されているがゆえに、「戦争における20世紀」は、まだ終わらないのです。その意味でも、私たちは「空からの戦争」の第1ページに、日本が「重慶爆撃」という関与を行なった事実を忘れてはならず、「被害の前にあった加害」という歴史の責めと対面しなければなりません。

◆日本は「戦略爆撃」の作戦名を公式に掲げ、組織的・継続的空襲を実施した最初の国である。

◆日本の66都市がナパーム弾攻撃にさらされるより7年以上も前から、重慶市民の頭上に、200回を越す間断ない空中爆撃をおこない、2万余の死傷者を出す痛切な体験を強いた。

◆その歴史的責任に思いを馳せることなく、日本人は空襲被害者として、東京大空襲と広島“からの道”のみを心に刻み、そこに至る“までの道”を無視して長い戦後をすごしてきた。

 いま、「重慶大爆撃」の年老いた生存者が、歴史の真実と正義を求め、日本政府に対し謝罪と補償の裁きを求め立ち上がりました。そして3月30日、東京地裁に提訴がなされます。私たちはここに「重慶大爆撃の被害者と連帯する会・東京」を結成し、支援することにしました。多くの人がこの会に加わり、輪をひろげることを呼びかけます。

 何がなされるべきか? 記憶の継承と謝罪の実行。それ以外にはありません。
「ゲルニカの日」から60年経った1997年3月27日、ドイツのヘルツォーク大統領は、ゲルニカ市と市民に対し、「この残虐な行為の犠牲者は、非常な苦痛にさらされた。わたしたちはドイツ空軍による爆撃とそれが招来した恐怖をけっして繰り返さない。いま、両国民の間の和解と将来の平和を呼びかける」と謝罪しました。また、ドレスデンを壊滅させたイギリスは、2000年の「空襲55周年記念式典」にあたり、エリザベス女王の名代ケント公を派遣して、謝罪と破壊された聖母教会の再建費用負担を申し出ました。一方、日本政府は、謝罪はおろか事実の認定すらしていません。

 重慶は5月、空襲の中でも最大の被害をもたらした「5・3」「5・4」の日から67年目
を迎えます。私たちも急がなければなりません。生存者に対しても、歴史に対しても。

 結成された「重慶大爆撃の被害者と連帯する会・東京」の活動はたんなる「義援行動」ではありません。戦後61年の今も、重慶の爆撃被害者への謝罪も賠償も行わない日本の姿勢は許されるはずがありません。本会の活動は「政府の行為による戦争」を否定した日本国憲法が危うくなっている現在の政治状況に対する私たちの異議の申し立てでもあります。こうした厳しい状況にあって、重慶大爆撃の被害者の方々の傷みと憤りに応えるために、本会へのご参加を重ねて呼びかける次第です(2006.3.10)。

「重慶大爆撃の被害者と連帯する会・東京」呼びかけ人

前田哲男(ジャーナリスト・沖縄大学客員教授)、西川重則(平和遺族会全国連絡会代表)、土屋公献(元日弁連会長、弁護士)、尾形憲(法政大学名誉教授)、吉田義久(相模女子大学教授)、三角忠(出版労働者連帯会議)、谷川透(強制連行全国ネット)、一瀬敬一郎(弁護士)、三嶋静夫(ABC企画委員会事務局長)、大島孝一(戦争責任を考える千葉8月の会)、斎藤紀代美(テロ特措法・海外派兵は違憲市民訴訟の会)、渡辺登(三光作戦調査会)、橋本聡(中国人戦争被害者の要求を支える会)、奈須重雄(731・細菌戦裁判キャンペーン委員会)

☆個人会員 年会費3000円 ☆団体会員 年会費5000円
    【年会費の支払は分納して戴いても結構です】
【郵便振替口座】 口座番号  00190-5-728232/口座名義 土屋・高谷法律事務所
                    >>入会申込書はこちらから



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3月30日(木)
午後6時

重慶大爆撃の被害者と連帯する集い

記録ビデオを上映します

会場:弁護士会館12F講堂(霞ヶ関)

発言者 中国側 高原さん(原告)、林剛さん(弁護士)、潘洵さん(西南大学教授)ほか
  日本側 前田哲男、西川重則、栗原君子、由木栄司、土屋公献ほか

記念講演 空襲の世紀の思想を問う
荒井信一(茨城大学名誉教授・日本の戦争責任資料センター共同代表)

3月30日、重慶大爆撃被害者が謝罪と賠償を求めて提訴します!
主催 
重慶大爆撃の被害者と連帯する会・東京
(代表・前田哲男/事務局長・西川重則)



●重慶爆撃は閉じた過去の出来事か?
 
重慶爆撃は閉じた過去の出来事ではない。その思想は「新しい戦争」の原型となった。日中戦争が世界戦争に拡大した最終段階において、「戦略爆撃の思想」はアメリカに受け継がれ、日本諸都市への空襲および広島と長崎に対する原爆投下という、空前の大量無差別爆撃に進化・拡大していった。
 第二次世界大戦後の地域紛争にあって、重慶の悪夢の日々が、第三世界市民に追体験された事実は忘れられてはならない。米軍の爆撃は「精密誘導爆撃」という虚偽の名称によって隠されているが、事実において、また、なにより情景において、重慶の「五・三」、「五・四」や「隧道大惨案」と何ら変わりない悲劇を、コソボ、バグダッド、カブールで引き起こしている。
 広島で被災した詩人・栗原貞子(1913~2005年)は、次の詩を遺した―
   <ヒロシマ>というとき/<ああヒロシマ>と/やさしくこたえてくれるだろうか/<ヒロシマ>
   といえば<パールハーバー〉/<ヒロシマ>といえば<南京虐殺>/<ヒロシマ>といえば/血と炎
   のこだまが、返ってくるのだ
   <ヒロシマ>といえば/<ああヒロシマ>と/やさしいこたえがかえって来るためには/わたし
   たちは/わたしたちの汚れた手を/きよめなければならない
 この詩に、南京とともに重慶の名を加えることが、私の願いである。
                ―前田哲男『戦略爆撃の思想』中国語版への前書きより

 

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  戦後60年の瀬に、重慶無差別戦略爆撃の被害者の方々が、重慶で第一次原告団を
 結成されました。その歴史的出来事に参加して、被害者の方々の悼み、悲しみ、憤り
 を体中で受けとめました。年が明けて、今年2月18日に「連帯する会・東京」の事
 務局長を要望されました。68年前のその日は、実は日本軍が重慶に対する最初の無
 差別戦略爆撃を行った日でした。
  やがて始まる裁判で法廷が満席になるよう、あらゆる機会をとらえて、今なぜ提訴
 なのかを訴え続けたいと思っています。皆さんのご協力を切望します。
                  -西川重則(「連帯する会・東京」事務局長)
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【訪日団滞在スケジュール】
3月31日 午前・午後 国会要請活動
          午後 6 時 教育基本法改悪反対集会参加(日比谷野外音楽堂)
4月 1日 午後  1 時 重慶大爆撃の被害者と連帯する千葉・市川集会(市川市教育会館・研修室)
4月 2日 午後  2 時 重慶大爆撃の被害者と連帯する集い(広島国労会館)


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「重慶大爆撃の被害者と連帯する会・東京」(代表・前田哲男)
連絡先
◇連帯する会・東京:
〒186-0003国立市富士見台1-7, 1-11-108 西川重則TEL/FAX042-574-9210
◇重慶大爆撃訴訟弁護団(団長:土屋公献弁護士)・弁護団事務局(一瀬法律事務所)
〒105-0003東京都港区西新橋1-21-5
TEL03-3501-5558 FAX03-3501-5565 Emai:
info@ichinoselaw.com



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