研究・論文作成のためのブログ

医学部で臨床医をしつつ大学院に進学し、博士号の学位を取るまでをつづります。

医療サービスの地域格差

2006年08月14日 | 日記・備忘録
近年の医師不足が深刻というのは、マスコミがしきりに報道しているためご存じの方も多いと思います。

従来医局による医師派遣制度により、地方の病院もまんべんなく医者を送ってもらっていたという事実があります。
しかし研修医の卒後研修がはじまり、医局に入局する若い医師が少なくなり、医局制度も少しあやしくなってきました。

地方の病院は、医局が人を出せないために、医師を撤退されているところが出てきています。

また研修医は研修中に現実を見て、きつい科を避ける傾向があるようです。
最近不足が言われているのは産婦人科、小児科、あと麻酔科あたりでしょうか。

私が働いている病院でも麻酔科は常勤がおらず、大学病院からのパート医師に麻酔をかけてもらっています。
逆に、当然のことながら、常勤の麻酔科医が充分にそろっている病院もあります。

そうすると、同じ病気であっても、麻酔科がいることによって受けられる治療が、麻酔科がいないためにできない、といった「格差」が生じてきます。
私の領域で具体的に言えば、子宮外妊娠で手術をする際、ある病院では緊急であっても腹腔鏡で手術をする。
ある病院では麻酔科がいないため腰椎麻酔などの局所麻酔で開腹手術でやらざるをえない。
そうすると、同じ子宮外妊娠であってもかたやおなかの傷がほとんど残らず、術後の回復も早い人と、12cmの切開創がおなかに残る人がでてきます。
これは、ただ文章でかいたたとえ話でもなんでもなく、今そこにある現実です。

こういうことが一刻も早く解消されることを、国には切に望みますね。


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