研究・論文作成のためのブログ

医学部で臨床医をしつつ大学院に進学し、博士号の学位を取るまでをつづります。

内視鏡懇話会

2007年09月29日 | 診療メモ
内視鏡手術懇話会
2007年9月29日

3回の帝王切開既往のある子宮筋腫のLAVH。ビデオ供覧する。

指摘された問題点
臍上のトロッカーから内視鏡を入れて膜状の癒着があった。視野が得られないなら、側腹部に(ためらわず)10mmのトロッカーを挿入して、カメラを側腹部から入れて観察し癒着を剥離するようにする。見えないところで切るのは危険。腸を切っているかも。

大網を切っているが、切るとすればもっと腹壁に近いところを切るべき。

子宮周囲の癒着をきちんと剥離せずにリガシュアやバイポーラーの操作を始めるのも危険。尿管損傷のリスクを高める。

癒着剥離はモノポーラーの先端を隠した状態(筒の状態)でおしつけるように剥離する。もしくははさみ鉗子など。

焼いて切るという操作が多く見られ、出血が怖いとは思うが、切って、出血したら焼くという操作の方が安全。

腟操作から再度気腹して腹腔鏡操作をやっているが、バルーンと子宮マニピュレーターをもう一度入れるべきだった

切る、焼くという操作においてカウンタートラクションがほとんどみられない。非常に危なっかしくみえる。きちんと片方の鉗子でつまみ上げて、何もないところを焼くという操作に徹するべき。

安全な操作のためにはトロッカーをためらわず追加する。それが最終的には患者の安全につながる。

膀胱と子宮の剥離操作のとき、直腸が非常に近い。助手に直腸を引っ張ってもらうようにするなりして、副損傷の起らないように注意を払うべき。

尿管の走行を確認するという視野がビデオ中に見られない。きちんと走行をみて、ここは大丈夫というところだけを切るようにすべき。


週3回、10分でよいから縫合の練習をすべき。持針器を買うべき。


ラパロ懇話会

2007年04月21日 | 診療メモ
ビデオ供覧。

チョコレート嚢腫はまず裏の癒着をはがして持ち上げてから。自然に破れたらそこから剥がす。
子宮をマニピュレーターでアンテにして剥離、ダグラスを確認したのちレトロにして嚢腫を持ち上げる。
腹腔内をきちんと観察することこそラパロの重要な点。

実はそもそも嚢腫を剥がす(嚢腫切除をする)必要はない?

卵巣門に近いところは縫わないほうがよい。

体内縫合はモノフィラメントが縫いやすい。

ラップディスクを使う場合にも、最初にラップディスクを入れてしまうのではなく、臍下のトロッカーを挿入して腹腔内を観察し、子宮マニピュレーターで子宮周囲の状態を把握してからの方が安全だし確実といえる。


以上、先週末に開催された、医局関係者で定期的に行われている腹腔鏡手術の懇話会における自分なりのポイント、指摘された点、所感などでした。




ラパロ 手術支援。

2007年02月15日 | 診療メモ
LAVH

砕石位はレビテーターで。旧来の足台?は血栓ができやすい。
アーチをやや頭寄りに。患者の手はなるべく体によせる。
マニピュレーターはあとから。
臍まわりをコッヘル3本でつかんで臍をほんてんさせる。まだ臍の垢が残ってるのでイソジンを流し込みコッヘル・ガーゼで消毒。
メスでへその下半分のあたりを縦切開。筋膜を切開し腹膜をコッヘルで把持、クーパーで腹膜を切る。
腹壁もちあげながら、カメラにトロッカーを装着した状態で切開部に入れていく(つりあげラパロになる)。中の状態をみてトロッカーを装着。
気腹をする前にヘッドダウンをする。腸の挙上を省略できる。
気腹。
補助トロッカーを入れる部分に23G針でキシロカインで局麻
トロッカーは左右腸骨りょうの内側に入れ、子宮の大きさに応じて3本目を入れる。

バイポーラーを必ずつかう。ハーモニックは危険なこともある(キャビテーションで予期せぬ血管損傷)。リガシュアはコスト的によくない。
VTHする際にはアカシのガッチリミューゾーが必要。
トロッカーは安いものでLinaPortやハッコーのeasy portなどを導入。
なるべくディスポ製品を使わない。かんしが古すぎる。15年くらい前のものをつかっている。金属のかんしをつかう。

上部靭帯処理は予想通り。バイポーラー、リガシュアで焼いて、はさみで切るの繰り返し。

子宮をレトロにして、レチウス腹膜を切開。電気メスはフック型の先を使うよう。
かんしで把持してテントになっている腹膜は切れる。下に尿管あっても、かんしでひっぱりあげて切開する分には大丈夫。
U字型に腹膜を切っておく。
ザクロも横に切開をいれておく。
VTHをするとき、サンリツできょうかん、切断をした後はポルチオを中に入れると縫合しやすい。
VTHのいとはりは全て1号バイクリルコントロールリリースを使っていた。針はもう少し小さいほうがやりやすいか。

再度気腹。出血を確認。止血はバイポーラーで。
バイポーラーは出血しているときにやいても血液が凝固して組織が凝固しない。水をなるべくかけて濡れた状態にして焼くほうがよくやける。
出血が止まっているかどうかを見る方法として、洗浄の水を腹腔内にためて、カメラを水の中にもぐらせて出血部位を観察。出血していれば流れているのが見える。そこで流れてなければコアグラが付着しているだけと判断できる。
最後気腹を止める前に腹腔内に水をいれておく。肝臓のあたりにも少しためておくと「気腹痛」が軽減される。
トロッカーを抜くところを丁寧に観察。腹膜に出血あればバイポーラーで焼いておく。
カメラが入っているトロッカーを抜くときも、カメラと一緒に抜くことで、トロッカーが抜けてくるのをカメラで見られるので出血などがないのを確認できる。
腹膜と筋膜を2層で縫合(結節縫合2針)。筋膜にかけておいたバイクリルを左右で縫合。
皮膚は真皮に近いところの皮膚をバイクリルで寄せる。


最後に膀胱に200ccくらい水を入れて、5mmのカメラを挿入。インジゴ1Aivしたのち尿管口からハルンが出てくるのを確認する。

日本産科婦人科内視鏡学会の研修に行きました

2006年06月24日 | 診療メモ
今日と明日、日本産科婦人科内視鏡学会が主催する研修会が富士宮の動物ラボで行われています。参加費が65000円とかなり高いのですが、何しろ内視鏡手術の経験があまり(というかほとんど)ないので、参加しました。

参加者はだいたい25人程度でした。多くの人が初心者のようでしたが、それなりに経験をつんでおられる先生もいらっしゃいました。

最初に内視鏡手術の全般的な説明や、認定医についての説明がセミナー室で行われ、そのあと動物ラボに降りていってまずは動物を使わずに、機具の使用方法などについての講習です。

内視鏡手術は動作が制限されるため、必然的に機具の適用によってできることを広げる必要があります。そのための機具をメーカーさんがいろいろ作ってくれています。

その講習が終わったあとは、宿泊施設に異動して検討会と称する飲み会がありました。
やはり酒と食事が入ると少しみんな打ち解けまして、おなじ産婦人科医としていろいろよその事情を聞かせてもらったり、こちらの内情とかをお話したりととても楽しかったですね。

最後にもう一度機具を使ったトレーニングを少しやり家に帰ってきました。
(私の場合静岡なので宿泊する必要がないのです
北海道や沖縄から来ている先生もいて、すごいなと思いました。


診療メモ 子宮内膜症薬物療法など

2006年05月11日 | 診療メモ
子宮内膜症の悪性化:0.6-1%に起こるらしい
従って40歳代以降のチョコレートのう胞は積極的に手術療法を行う

内膜症の薬物療法は
出産まではOCを1st choiceの治療法とし、2ndとしてGnRHアナログ、ダナゾールを考慮

月経痛に対してNSAIDの有効な使い方
フルカム 1T分1 または ボルタレンSR 2T分2
生理がそろそろ来るころになったら服用を開始
ブスコパン3T分3(orズファジラン3T分3)、セルシン3T分3を加えるのもよい

漢方
駆おけつ剤
芍薬甘草湯、桂枝茯苓丸
桂枝茯苓丸を普段から服用させ、生理のころ芍薬甘草湯を服用、など

ダナゾール(商品名ボンゾール)はあまり使われなくなったが、悪い薬ではない
400mg/dayから開始、2ヶ月服用させる。その後200mg、100mgとテーパリング
100mgで維持すると月経が来るようになるが、月経痛が軽減する。
100mgはダナゾールでかつて報告された血栓症のリスクはほとんどない。

OC(経口避妊薬)を子宮内膜症に。
2,3年後に適応となるか。
チョコレートのうしゅの縮小効果もある。4サイクルでサイズ縮小するという報告がある。

モチダ
MJR-35 ジエノゲスト
治験



メモ

2006年05月02日 | 診療メモ
ショック
ボスミン1Aを生食10mlに溶かして2ml(0.2mg)を数分おきに静注
カコージン/プレドパ 7.5-15gammaを開始


細菌性膣炎の診断とFemExam

2006年04月20日 | 診療メモ
妊娠中、早期に破水したり、子宮口が開いてしまって早産になる人がいます。
その原因として、子宮の炎症が背景にあるということが言われています(絨毛膜羊膜炎といいます)。

さらにその絨毛膜羊膜炎の原因として、細菌性膣炎、膣症があげられています。

今月号の「臨床と微生物」という国内の雑誌を見ていたら、日本医大の磯崎太一先生らが細菌性膣症と早産ということでレビューを書かれていました。その中に、膣炎を診断するキットとして「Fem Exmam」というものがあることを知りました。

残念ながらメーカーのサイトにはリンクしてませんが、要するに膣内のpHとアミンを同時にかつ迅速に検査するように作られているようです。

まだ国内での使用はないと思います。これを使うことによって早産が予防できればいいですね。


同じ「臨床と微生物」で、岡山大学泌尿器科の門田晃一先生が乳酸菌の膣坐剤の開発・臨床試験のデータを発表されています。再発する尿路感染症に対する治療、ということですが、妊婦さんでLactobacillis sp.が減少しているような方に使うというアイデアもありかな、と思います。

メモ 子宮体癌 漿液性 

2006年04月12日 | 診療メモ
進行子宮体癌。組織型は内膜生検にて乳頭状腺癌(おそらく漿液性)。
筋層浸潤は明らかでないが内膜は23mmに肥厚。
著明な腹水貯留を認め、腹満症状のため何度か腹水穿刺を行っている。一回の穿刺量は3000-4000ml。

約半年間、一ヶ月ごとのTJ療法を施行した。腫瘍マーカーCA125は漸減しているが、画像上は内膜の病巣縮小は認めず、腹水は減少しない。

治療方法は?

診療メモ

2006年04月09日 | 診療メモ
メモ

臍帯血流の途絶はどれくらい予後が不良か?

小児(思春期)の月経困難。うつを合併している。治療は?まずNSAIDsか。すでにイブプロフェン、アセトアミノフェンは使用しており無効という。
ロキソニンが無効なら?