Dr.K の日記

日々の出来事を中心に、時々、好きな古伊万里について語ります。

軍配羽団扇形皿の発想

2020年04月01日 14時40分10秒 | 古伊万里

 前回、「伊万里  色絵  花蝶文  軍配羽団扇形手塩皿」を紹介したところです。

 そうしましたら、「つや姫日記」さんから、「どういう発想から、このような形の皿が作られるようになったのでしょうか?」という旨の質問が寄せられました。

 それに対して、私は、「どうしてこのような形の皿が登場してきたのかは、私にも分かりません。でも、伊万里では、よく軍配形の皿を作っていますし、羽団扇形の皿も作っていますので、『軍配形の皿と羽団扇形の皿を重ね合わせた形の皿を作ってみようか』という発想を抱いた陶工がいて、それを実践した結果生まれたものではないでしょうか」というような趣旨の回答をしたところです。

 そこで、今回は、この私の回答がまんざら出鱈目ではないことを立証したいと思い、この記事をしたためたところです(^^;

 

 まず、上で、伊万里では、よく軍配形の皿を作っていると書きましたが、伊万里でよく作られているのに、我が家のコレクションは貧弱で、我が家には、その軍配形の皿のコレクションがありません(><)

 それで、今回も、軍配形皿の画像を「柴田コレクション総目録」(佐賀県立九州陶磁文化館 編集発行)からお借りすることにいたしました。

 

 

 この軍配形皿は、典型的な、軍配形皿と言えると思います。

 次に、今度は、この軍配形皿の右半分に羽団扇形皿を重ねれば、「軍配羽団扇形皿」になるわけですよね。

 幸い、貧弱なコレクションの我が家にも、この羽団扇形皿があるんですよ(^-^;

 この皿については、既に、廃止してしまった拙ホームページの「古伊万里への誘い」の「古伊万里ギャラリー220 伊万里古九谷様式色絵草花蝶文羽団扇形小皿」に紹介済みですが、ここで、再度、紹介したいと思います。

 

 

 ジャジャーン! どうです! この羽団扇形皿を上の軍配形皿の右半分に重ね合わせれば! ピッタリと「軍配羽団扇形皿」になるではないですか!

 

 

 これで、私の推理がまんざら出鱈目ではないことを立証できたのではないかと思います(^-^;

 

 なお、この「伊万里古九谷様式色絵草花蝶文羽団扇形小皿」については、上の画像よりも大きくして、次に、改めて紹介いたします。

 

表面

製作年代:江戸時代前期

長径:11.9cm 短径:10.9cm 高さ:2.6cm

青一色の色絵というのも珍しく、

また、全体を羽団扇形にするなど、厳しい造形です。

 

 

裏面

 

 

斜め上から

さながら槍ぶすまのような鋭いシノギ削りをとくとご覧ください。


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
これは最高です。 (不あがり)
2020-04-01 15:59:04
Dr.K様へ
ああ!これも古九谷様式となるのですね。これは最高の品物と私は思っております。Dr.K様が仰るように。この皿だけでも実は素晴らしいのです。これほど切れ味鋭く感じられる鎬はこの時代でしか作られていないと思います。そこへ青い色を乗せて描いている。これがまた美しい。一つ勘違いしていたのは団扇文と見ないで桃の形と記憶していた事です。どちらにしてもこれほどの品物は出て来ないと私は考えます。全てにおいて素晴らしい。久しぶりに大感激です。有難うございます。
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Unknown (pada)
2020-04-01 16:58:02
なるほど、素晴らしい発見です。
単純に引っ付けるのではなく、角度を変えているんですね。
小癪な事をしますね。
これは、素人陶芸にも応用できそうで、次回やってみたいと思います。

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Unknown (遅生)
2020-04-01 17:24:23
この羽団扇形皿もまた名品ですね。
色、形ともに稀品です、初めて見ました。
高台も、これだけの形をよく作ったものだと思います。
伊万里の底力とDrの眼力のコラボレーション(^.^)
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不あがりさんへ (Dr.K)
2020-04-01 18:16:24
不あがりさんは、この羽団扇形のお皿を以前拙ホームページで紹介した時から覚えてくれていましたよね。
また、絶賛してくれていましたよね。
そんなに褒めていただきありがとうございます(^-^;

このお皿の特徴は、青一色の色絵ということと、鋭いシノギですよね。
たかが食器に、これほどの鋭いシノギを施す必要があるのだろうかと、現代人は疑問を感じるほどですよね。

このお皿の形は、よく見られる桃形ではなく、羽団扇形だと思います。
両者にそれほどの差異はないですが、桃形と見るよりは、羽団扇形とみたほうが、多少は希少性が高まるのではないかと自己満足しています(^^;
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padaさんへ (Dr.K)
2020-04-01 18:28:11
今回、あれっ! と思いました。
「軍配羽団扇形皿」というのは、軍配形皿の右半分に羽団扇形皿を重ねたものなのかと気付いたわけです。
造形というのは、案外、単純ですね(^-^;

このようなことは、陶芸製作に応用出来るかもしれませんね。
是非、いろいろと試行錯誤をし、名品を作り出してください(^-^;
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遅生さんへ (Dr.K)
2020-04-01 18:38:45
古九谷様式には、酒田の人さんも言われていますが、いろんな変形皿がありますね。
変形皿の宝庫かもしれません。
そんな多様な造形美を有するので、古九谷様式に心惹かれるのかもしれません。

このお皿は、その造形の妙に加え、青一色の上絵付けという珍しさにも心惹かれました。
更に、そのシノギの鋭さには脱帽しました。
どうして、たかが食器に、これほど鋭いシノギを施す必要があったのかとびっくりしました。彫刻作品を見ているように感じました。
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いつもありがとうございます (つや姫日記)
2020-04-02 13:18:07
焼き物の文化も歴史も知らない私ですが
疑問だけは湧いてくるのです。

いつも突拍子も無い質問にお答えいただき有り難く思います。
Dr.Kさんのご教授がわかりやすくて
さすがです。

最近焼き物の朝ドラでシノギと言う言葉を覚えました。
皿は皿としての用途だけではなく
陶工さんも心を込めて作品を作っていたのですね。

有り難うございます。<(_ _)>
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つや姫日記さんへ (Dr.K)
2020-04-02 16:07:44
素直な疑問は、どっぷりと浸かっている者にとっては、カンフル剤になりますね。
「あれっ、そうか! なるほど。今まで、気付かなかったな~」と反省させられることになります。

質問への回答が分かり易いですか(^-^;
そう言っていただけると嬉しいです(^-^;

最近、シノギと言う言葉を覚えましたか。
何事もそうですが、ちょっと深入りしますと、専門用語が出てきますよね。
でも、そのような専門用語の意味を知るのも、見聞を広め、人生を豊かにしますよね(^-^;

これからも、懲りずに、古伊万里に関する記事をお読みいただければ嬉しいです(^-^;
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