今回は、「染付 梅花文 中皿」の紹介です。
表面
口縁にソゲ疵が1か所あり、銀直しがされています(3時の方角)。
裏面
高台内の銘:二重角福
生 産 地 : 肥前・有田
製作年代: 江戸時代前期
サ イ ズ : 口径;21.0cm 底径;12.6cm
なお、この「染付 梅花文 中皿」につきましては、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」の中で既に紹介しているところです。
つきましては、その際の紹介文を再度次に掲載することをもちまして、この「染付 梅花文 中皿」の紹介とさせていただきます。
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<古伊万里への誘い>
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*古伊万里ギャラリー191 伊万里染付梅花文中皿 (平成26年3月1日登載)
この中皿は、5年ほど前に買ったものである。
最初、値段を見て、「あれっ、随分と安いな~。古伊万里も随分と安くなったものだな~」と思ったものである。
しかし、よ~く見ると、口縁に、1か所、補修がある。3時の方角に。しかも、下手な銀直しの、、、(><)
その直しが、ちょうど梅の花の蕾のように見えるので、直ぐには気付かなかったのだ。
「やっぱりな~、無疵ではなかったんだ。無疵なら、そんなに安いわけがないものな~」と納得、、、。
しかし、以前に比べると、やはり安い。それで、連れ帰ることにしたわけである。
普通、「梅」は、「松」、「竹」、「梅」を組み合わせた3点セットの「松竹梅文」の一つの構成要素として描かれることが多く、このように、「梅」単体で描かれているのは珍しい。
また、見込みに大きな丸い輪を描き、ともすると散漫になりがちな画面文様をギュット引き締め、緊張感をみなぎらせている。
値段が安かったこと、梅花文だけが描かれていて珍しいと思ったこと、そして、図柄の良さに惹かれて買ったものである。
江戸時代前期 口径 : 21.0cm 高台径 : 12.6cm
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*古伊万里バカ日誌121 古伊万里との対話(梅花文の中皿)(平成26年3月1日登載)(平成26年2月筆)
登場人物
主人 (田舎の平凡なサラリーマン)
梅 (伊万里染付梅花文中皿)
・・・・・プロローグ・・・・・
厳しい寒さも随分と緩みだし、主人の庭の梅の木にもほんの数輪だが花が見られるようになったようである。
九州の方では、もう梅の花は終りに近いとのタヨリに接し、主人は、梅花文の古伊万里と対話をしたくなったようで、さっそく「押入れ」から引っ張り出してきて対話を始めた。
主人: 随分と寒さも和らいできたな~。我が家の庭の梅の木もほんの数輪だが花を付けた。もっとも、九州の方ではもう梅の花は終りなんだってね。
梅: そうなんですか。日本も広いですね~。
主人: 我が家の梅の開花を見たり、九州の方の状況を知ったりしたら、急にお前を思い出し、対話をしたくなった。
梅: それは、それは、私を思い出してくれてありがとうございます。
主人: うん。お前を買ってきたのが平成21年の1月なんだ。まだ5年ほど前のことなので覚えていたわけさ。それにね、お前の図柄がちょっと変わっているので覚えていたんだ。
梅: どのように変わっているんですか?
主人: 古伊万里の場合は、「梅」だけ描くというのは少ないんだよ。普通、「松」と「竹」と「梅」の3点セットで描かれている場合が多いんだ。「松・竹・梅」は、おめでたい文様でもあるので人気が高く、その結果、沢山作られているので陳腐な感じを受けるわけよ。
その点、お前は、「梅」だけが描かれているので、「おやっ、珍しいな!」と思わせるし、なかなか絵も達者で、写実的でもあるしで印象に残るんだよね。まっ、インパクトがあるわけさ。
梅: それはどうも、お褒めに預かりありがとうございます。
主人: ところで、お前にはかなりの使用擦れがあるんだよね。長い間愛され、繰り返し繰り返し使用されたんだろうね。
しかし、お前には、口縁に1か所ソゲがあるよね。3時の方向に。今では下手な銀直しが施されいるけれど・・・・・。たぶん、長い間使われ、最後には口縁に疵が付き、遂に食器としての役目を終えたんだろうね。でも、幸いなことに、廃棄されることなくどこかに保管された結果、現代まで生き残ったんだろうね。それが、最近になってみつけ出され、下手な銀直しを施され、今度は、観賞用かなにかの、食器とは違う目的のための器として再登場してきたんだろうね。
梅: 私にはそんな過去があるんですか。
主人: まぁね。これは私の想像にしかすぎないけどね。でも、お前のような古い器について、あれこれと想像することは楽しいよ(*^_^*)
更に想像を逞しくすれば、お前は、たぶん、寛文の頃、西暦で言うと1660年代の頃に作られているだろうから、それからもう350年近く経っているんだよね。作られてから、何十年、いや、何百年使われたのかな~、その家で何代にわたって使われたのかな~、どんな家で使われたのかな~、何時から食器としての現役を引退したのかな~等々、想像の楽しみは次から次へと限りなく続くね!
梅: あの~、楽しいことに思いを馳せているところに言い出しにくいんですが、私の口縁の疵の銀の直しは酷いですね(><)
主人: そうだね。下手だね。素人が直したんだろうね。もう少し綺麗にやり直さないとね。でも、幸いなことに、銀直しの部分がちょうど梅の花の蕾のように見えるから、ちょっと見には気付かない程だね。当分はこのままにしておくかな。
梅: そうですか。直し代は高いんですか?
主人: 疵の部分が小さいから、それほど高くはないとは思うんだけれど、せっかく安く買ったのだから、更に経費をかけたくないんだよ。私としては、観賞には支障ないと思っているんだ。
梅: 私は安かったんですか。
主人: うん、安かったな。以前は、十年以上前は、お前のような手は「藍古九谷」と言って高かったんだ。それが、不景気が続き、古伊万里ブームも去りで、だんだんと安くなり、お前を買った5年前頃にはかなり安くなっていた。しかも、お前には口縁に直しがあるので更に安かった。もっとも、それは、安く買えるんだから、コレクターにとっては嬉しいことではあるんだがね。
梅: 最近はどうなんですか。
主人: いくらか値上がりしてきたかな~。
古伊万里が値上がりするということは、それだけ古伊万里の評価が高まり、人気も上がってきているということなので、古伊万里コレクターとしては嬉しいことではあるんだけれど、反面、値上がりするとなかなか買えなくなってしまうということになるんだよね。痛し痒しというところかな~。
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梅だけでも立派になり立ちますね。円は後から描ように見えます。梅の枝をズバッと横切っています。これだけ太い円を描くのは勇気がいったと思います(^.^)
でも、この円があることによって、見込みの梅がグッと強調され、画面が締まっていますね。
これが窓に見えて、風情のある窓の外の梅と悦に入っています。
こういう見方も許されるのでしょうか(*^^*)
「松竹梅」というような吉祥文に囚われない、自由な発想がありますよね。
絵も写実的で現代的な感覚ですよね。
太い円を描いて画面を引き締めるとか、いろいろと工夫を凝らしていますよね(^-^*)
安い買い物だったかもしれません(^-^*)
当時も丸窓はあったでしょうけれど、透明なガラスの入った丸窓など無かったですよね。
そのようななかにあっては、これは、心象風景を描いたのでしょうかね、、、。
斬新な近代的な感覚すら感じさせますよね(^-^*)
裏白、薄く鋭い高台、個人的には大好きなタイプの品です。
以前、地元の骨董祭に出店していた業者さんが
「藍柿好きと藍九谷好きがいるけど、俺は藍九の適当にボヤっとしたところが好きだ」
と語っていたのを思い出しました。
との発言は面白いですね(^_^)
確かに、「藍柿」は工芸品という感じで、「藍九谷」は美術品という感じですものね。
でも、両者、それぞれに良いところがありますよね。
私は欲張りなので、両方とも好きです(笑)。
その時の気分で、「藍柿」が好きになったり、「藍九谷」が好きになったりします(^_^)