「童(わらべ)の神」(今村翔吾著 角川春樹事務所 2018年10月8日第1刷発行)を読みました。
内容は、丹波大江山の酒呑童子伝説を題材とした歴史小説でした。この本の題名の「童(わらべ)の神」というのは酒呑童子のことを言っているようです。
ただ、時代背景が、平安時代という古い時代の出来事でありますし、また、記録もほとんど残っていないような伝説的な内容の話なものですから、読んでいて、何処までが歴史的な事実に基づくものなのか、何処からがフィクションなのかがよく分りませんでした(~_~;)
でも、酒呑童子伝説に関連して、酒呑童子という鬼退治に向かう渡辺綱とか、源頼光とか、坂田金時等々、名前はバラバラに登場してくるわけですが、この本では、それらの人物の結びつきを再構築しています。多分、その辺の登場人物の再構築は歴史的事実なのかもしれません。
ということで、登場人物の繋がりのおおよそは歴史的な事実なのかもしれませんが、その他の多くはフィクションかもしれません。それを前提にして読めば、読み物としては面白いと思いました。
大酒飲の酒呑童子は悪役ですが、必ずしも悪人ではなく、時の支配層、大和朝廷にとって邪魔な勢力の象徴としてヒールに仕立て上げたのですね。
その点、渡辺綱、源頼光、坂田金時等と酒呑童子との関係がこの本ではどのように描かれているか、興味があります。
酒呑童子伝説は、それだけに、広く流布されていたのですね。
この本でも、大和朝廷に従わない、大和朝廷にとっては邪魔な存在の代表として、むしろ、善な存在として、主役として扱われています。
この本によりますと、大和朝廷に従わないため、奴碑のような存在とされた民が各山に追いやられて住んでいましたが、それもだんだんと追い詰められ、京周辺の各山の民は、丹波の大江山に集結して生活するようになったということです。その代表に担ぎ上げられたのが酒呑童子という設定です。
そして、それら各山の民を追い詰めていった大和朝廷側の洛中随一の武官が源頼光で、その配下に頼光四天王と言われた渡辺綱、卜部季武、碓氷貞光、坂田金時がいたということです。
これら源頼光以下の人物が大和朝廷側の兵を指揮して各山の民を追い詰め、丹波の大江山に集結して生活せざるを得なくなった酒呑童子以下を征伐に向かうということになっています。
酒呑童子以下は、武力を蓄え、せめて、自分たちを同じ人間として認めてもらいたいと和平交渉に臨みますが、それも認めて貰えず、結局は戦いに負け、大江山に集結した民は、また、再び、そこから、全国各地に落ち延びていったという設定になっていました。
酒呑童子は良く耳にする鬼!?ですよね。
少し調べる平安あたりから色々伝承ある様に思います。
結構実際の人物もでてきたりしていてどこまでがフィクションなのか良く分からないなという感想でした。
その辺も面白いところの様な気がします(^^)
1000年程度でもこんな感じになるんですね!
その呼び名は様々で、丹波大江山の童の集団は「鬼」と、大和葛城山の童の集団は「土蜘蛛」と、というふうに呼ばれていたとのことです。
ということで、丹波大江山の童の頭領の酒呑童子を退治しに向かうことは、「鬼」集団を退治しに向かうということに、つまり「鬼」退治に向かうということになるわけですね。
もう少し勉強すれば、どの辺まで史実なのかが分るのでしょうけれど、不勉強の私にはサッパリ分りませんでした(><)
1,000年経つと、分らなくなるのですね。
もっとも、たかだか400年しか経過していない古伊万里だって分らなくなるのですから当然なのでしょうけれども、、、。
平安時代の昔話となると京から少し離れた田舎になることが多いですね。丹波の大江山もそうですが、滋賀と岐阜の間の伊吹山~滋賀と三重の間の鈴鹿山系~いずれも鬼の住処として有名です。当時は、都の外れが、この辺りが限界だったかもしれませんね。子供の時は、この様な話を聞いたら恐ろしくて寝れなかったと思います。鬼の話は今でも面白いですね。
「都人」からみたら、京から少し離れた田舎や山に住む大和朝廷に逆らう人々で、時折、都にやってきては悪さをする人々は鬼に見えるでしょうね。
そんなことから、幾つかの鬼伝説が生まれたのでしょうね。
padaさんは、この度、引っ越しをされたわけですが、平安時代の頃でしたら、鬼の住む場所に引っ越しをされたわけですね(笑)。
1,000年経って、随分と環境が変わりましたね(^-^*)