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政治経済 「平成経済 衰退の本質」 金子勝 2019年4月刊

2023年12月18日 21時28分22秒 | 社会

「平成経済 衰退の本質」 金子勝 2019年4月刊。

 

この国が重ねてきた失敗とそのごまかしのカラクリ。30年をシビアに総括する。

 

中国のファーウェイや韓国のサムソンに勝てる日本企業は見当たらない。日本製品は自動車を除いて情報通信・バイオ医薬・エネルギー関連などの先端分野で立ち遅れた。

不良債権の抜本的処理を怠り、財政金融政策でゾンビ化する企業群を救済してきた

異次元の金融緩和は出口のないネズミ講と化した。

 

経済成長が失われた原因研究投資額がアメリカや中国に引き離され、国際競争力が低下した。

問題の起源は、1986年と1991年の日米半導体協定。86年、ダンピング防止で価格低下を止められた。91年、外国製半導体の2割輸入割当。情報通信産業が衰退

アメリカの要求に譲歩すれば、日本の産業利害を守れるという思考停止が今も政府(とくに経産省)を支配している。安倍政権になってから、より強まった。

 

第2次安倍政権。ポピュリズム。バラマキ。日銀の出口なし。見せかけ。スローガンでやっている感演出。無力化。人々を諦めさせる黙従型の衆愚政治

 

本来なら退場すべきゾンビ企業や構造不況業種が生き残っている。「成長戦略」は、原発、リニア新幹線、東京オリンピックによる建築ブームなど古い産業を救済する大規模プロジェクトばかり。大阪万博やカジノ誘致といったイベント誘致では、経済の新陳代謝や成長を牽引する産業が生まれてこない。

 

自動車の主力が、電気自動車になるか燃料電池車になるかは、どちらが多くの利用者を獲得するかが重要。インフラの普及が鍵になる。電気補填施設が普及し、ガソリンスタンドが減れば電気自動車へのシフトが進む。燃料電池に使われる水素ガスは取扱いが危険で、水素ステーションのインフラコストが高い。世界中で水素ステーションが整備されなければ、燃料電池車は売れない。日本だけ、燃料電池車が普及したところで、自動車産業でもガラパゴス化してしまう。

 

産業戦略の欠如。経産省の古い体質。既存産業の業界団体と結び付き、そこへの天下りが恒常化すると、既存産業の救済に血道を上げる。情報通信技術の転換の遅れ、原発再稼働と原発輸出、燃料電池車への固執など。

最も重要なものは、エネルギー転換である。発電と送電を所有権分離させることが必要。

 

令和時代の経済戦略。

1.透明で公正なルールを取り戻す。

2.教育機会を平等に保障。大学・研究機関での基礎研究・基盤研究費用を増額させる。

3.産業戦略とオープン・プラットフォームを作る。研究開発のための企業横断的・研究機関横断的なオープン・プラットフォームを作る。若手研究者・技術者の育成。財政資金でイノベーション研究開発投資を支援。

4.電力会社の解体。既得権益である原子力ムラが岩盤となっている。原発を負債として切り離し、国が責任を負う。

5.地域分散ネットワーク型システムに転換する。財源と権限の地方への移譲。

6.時間をかけて財政金融の機能を回復する。ゆっくりとした出口政策。借換債については、超長期債を発行し、そこに事実上凍結する。この特別勘定は「安倍・黒田勘定」と名付けて「負の遺産」として引き継ぎながら長期にわたって返済していくしかない。

 

<感想>。信用できる経済評論家は金子勝と森永卓郎ぐらい。高市早苗の恫喝により、テレビ局が忖度し、金子勝をテレビで見ることはなくなった。Youtubeのラジオなどで聴くしかない。

日本の家電メーカーは崩壊した。責任官庁である経産省は沈黙している。ジャパン・ディスプレイに始まり、プレミアム・フライディなど何一つ成功していない。産業政策はどうした。

責任放棄の代わりに、安倍晋三に取り込み、経産官僚が政治を主導している。祖父の岸信介が商工官僚だったので経産官僚を優遇し、財務(大蔵)官僚を冷遇しているのではないかと思っている。

既得権益を守る守旧派こそ安倍晋三である。小泉純一郎は構造改革といって、郵便貯金や簡保をアフラックなどのアメリカ資本に売り渡した安倍晋三も愛国といいながら、岸信介と同じく、日本国民の資産をトランプの言うがままに費消している。

旧民主党は、電力労組や古い労組組織にあぐらをかいて、結局は自民党に追随しているだけだ。

金子勝は批判しているだけではない。産業・金融戦略・社会政策への提案・対案を示している。産業で儲けて、日本を豊かにする方策を示している。金子勝に個別策を求めても仕方がない。それは、各分野で本当に分かっている本当の専門家が試行錯誤して生み出すことだ。世の中にはニセの専門家が多い。

(2019年ヤフーブログ投稿)



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