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岩手県遠野市 遠野伝承園 菊池家曲り家 オシラ堂

2023年12月11日 11時26分16秒 | 岩手県

遠野伝承園。オシラ堂。遠野市土淵町第6地割。

2023年6月11日(日)。

遠野市立博物館見学後、北東郊外旧土淵村のオシラ堂で有名な遠野伝承園と遠野物語ゆかりのカッパ淵へ向かった。

入口を入り、遠野物語のエピソードを柳田国男に語った民話収集家の佐々木喜善の記念館へ立ち寄り、園内を進むと、南部曲がり家「菊池家曲り家」の裏側がある一角に出る。

板倉。

壁が全て板で作られている納屋で、農作業を行う場として使用された。明るさを必要とする時や作物を乾燥させる時には板を取り外して使用した。また、板倉は土蔵が無い家では土蔵代わりに、土蔵のある家では土蔵に入れる物の次に大事なものをしまっておいた建物でもあった。

現在は内装を施し展示場や昔話の会場として利用している。

板倉内の展示物。吊るし雛などは地元の女性たちが一つ一つ手作りしたもの。

重文・菊池家曲り家。

寄棟造、茅葺。主屋部桁行21.2m、梁間8.6m。曲り部分南面突出部桁行8.7m、梁間7.7m。

建築年代については明確な資料はないが、建物の形式が閉鎖的な構えであり、材料の仕上げ、工法も古く、1750年頃に建てられたといわれる最も古い時期の南部曲り家である。

当初は桁行九間(17.6m)の曲り部分を持たない直家(すごや)であったが、建立後間もない頃、土間を一間半(2.9m)拡張するとともに、下手に曲り部分の馬屋を増築したもので、直家から曲り家への発生過程をうかがうことのできる貴重な遺構である。

もとは遠野市小友町13地割にあり菊池氏の所有であったが、1977年に遠野市が公有化し、1978年に現在の伝承園内に移築した。この住宅が菊池氏の所有となったのは大正13年のことであり、もとは高橋氏の所有、ついで大沢氏、山蔭氏と伝えられてきたというが、詳しいことはわからない。

菊池家曲り家は、盛岡藩特有の曲り家形式で、標準的な規模を持ち、主屋は南面し、馬屋部分は東面している。

平面は最も上手に前後二室続きの座敷があり、その下手は寝室二室及び「とおりのま」からなる三つの小屋をはさんで裏寄りの広い「じょうい」及び表寄りの「ちゃのま」がつづき、さらに「じょうい」の下手は「だいどころ」が土間に張り出す。

曲り部は土間で一部分は馬屋になっている。大戸口は曲り部分内側に付いている。このような間取りは旧盛岡藩域の南部一帯の曲り家の一般的なものである。

前面を除く外面が全て大壁で、前面も「おもてざしき」では東寄り一間のみ引違いの開口で他は壁となり、「ちゃのま」前面も開口部が片袖壁引込戸構えとなるなど閉鎖性が強い。

構造は上・下屋の区分があり、東北・西北(旧直家)の隅は下屋柱上に火打梁を架け、上屋隅柱を省略する等の工法が施され、火打梁使用の古い例として注目される。小屋は叉首構造で棟束はない。仕上げは釿または「よき」である。

菊池家曲り家は、人と馬がともに生きた遠野の文化を伝える施設として、往時の農家の調度品、民具を展示している他、『囲炉裏を囲んだ昔話』『蚕の飼育』『伝承行事の再現』等を行っている。

オシラ堂へは菊池家曲がり家の室内から入る。曲り家の奥の細い薄暗い廊下を抜けると、およそ六畳程の小さなお堂が現れ、中には、娘と馬の恋物語で知られるオシラサマを千体展示している。

オシラ堂(御蚕神堂)。

オシラ堂の建物は、農家の土蔵を移築したもので、その中に1000体のオシラサマを安置している。オシラサマは養蚕・農業・馬の神様・目の神様・女性の病気の神様として信仰されているほか、良いことを知らせてくれる「オシラセ神」としても信仰されている。

オシラサマ伝説。馬娘婚姻譚。

東北地方には、オシラサマ(おしら様)の成立にまつわる悲恋譚が伝わっている。それによれば昔、ある農家に娘がおり、家の飼い馬と仲が良く、ついには夫婦になってしまった。娘の父親は怒り、馬を殺して木に吊り下げた。娘は馬の死を知り、すがりついて泣いた。すると父はさらに怒り、馬の首をはねた。すかさず娘が馬の首に飛び乗ると、そのまま空へ昇り、オシラサマとなったのだという。

『聴耳草紙』にはこの後日譚があり、天に飛んだ娘は両親の夢枕に立ち、臼の中の蚕虫を桑の葉で飼うことを教え、絹糸を産ませ、それが養蚕の由来になったとある。以上の説話から、馬と娘は馬頭・姫頭2体の養蚕の神となったとも考えられている。

 

伝承園を見学してから、近くにあるカッパ淵への見学に向かった。

岩手県 遠野市立博物館 遠野物語 伊能嘉矩 佐々木喜善 柳田國男 



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