<ユニバーサルデザインの好例:キングジムの点字テプラ>
◆ユニバーサルデザインとは(1)
【回答】その8
こんにちは!「工業デザイン相談室」の木全(キマタ)です。デザイナーの実像・デザイナーとの付合い方・デザイナーとのトラブル回避法など書いていきます。御相談がありましたら、コメントをくださいね。
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記事の目次
デザイン相談室の目次 デザインの考え方と運用について
デザインのコツ・ツボの目次 商品企画とデザインワークについて
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■質問ですよね (^^;
1月末に某福祉大学の笹山)さんから、以下のようなコメントをいただきました。
「基本的にはユニバーサルデザイン(以下UD)を勉強しています。というか本格的にやり始めたところです…。
『すべての人』を対象にするUDは、今後至るところでその必要性は高まる。と安易な考えを持っていました。しかし、UDが全てではない。例えば、人それぞれが愛着を持ち、長年使ってきたものを、いきなり時代の流れ、使いやすさの理由で、デザインを変えて良いのか?など…。
誰にどの様なデザインをしたいのか?このデザインは誰の為なのか?長くなって申し訳ないです。もう少しお付き合いください。
要するに行き詰まりを感じています。
そこで、UDにこだわらず、『デザインの基本から勉強してみよう』という考えで、木全さんのブログや本を読ませていただいています。
今回は、質問と言うよりは、自己紹介のような形になってしまいましたが、今までのブログを全て読ませていただき、何かコメントを残したいと思い書かせていただきました。
長文となってしまいすみませんでした。」
笹山様、コメントありがとうございました。このコメントに対して、とりあえず、以下のようにお返事をしておきました。
「大分悩んでいるようですね。
はっきり言って、『ユニバーサルデザイン』はまだ概念が固まっていないようです。
ユニバーサルデザインは製品開発の『方法論』だと私は考えています。方法論ですので、正解はありません。まあ、人生みたいなものです(笑)。ただ、これからの製品デザインになくてはならない『方法論』でもあります。
近いうちに、本に書ききれなかったユニバーサルデザインについての私なりの考えを書きますね。」
というわけで、今回は私の考えるユニバーサルデザインについて、少しお話してみようと思います。
■選択肢と幸福
人類が勝ち取ってきた自由は、選択肢の拡大という側面があります。現代の日本は職業選択の自由が保障され、どこにでも自由に住めて、何でも買うことができる。誰にでも選挙権があり、だれでも立候補できる。たった150年前の江戸時代の庶民にとって、それらすべての選択肢が夢のまた夢でした。確かに、選択肢の多さは幸福の条件です。
家電量販店に行けば、選択肢が多すぎて困るくらい製品があふれています。現代の我々は、製品カテゴリーの豊富さ、カテゴリー内のデザインバリエーションの豊富さと言う面で、江戸時代よりはデザイン的に幸福だと考えていいでしょう。
現代の携帯電話のように、誰の好みにも合わせられるように限りなくデザインの選択肢を増やすこと。それは、企業戦略かもしれませんが、選択肢がないよりは明らかに幸福だということになります。
だとすれば、どのような選択肢が用意できているか、が大きな問題になります。
たとえば、食について考えてみるとわかりやすいかもしれません。食事の選択肢は、和食・洋食・中華という大項目の選択肢と、寿司・刺身・焼き物・煮物・天ぷら・とんかつなど和食という中項目の選択肢と、寿司ネタのバリエーションだけという小項目の選択肢があります。
現代の東京は、単品しか出さない牛丼屋から、客の好みに合わせて料理を提供してくれる和洋中の専門店まで、大項目から小項目まであらゆる選択肢が用意されています。東京は食通にとって、世界一幸福な都市になっています。
では、現代の工業デザインはそれを実現できているのでしょうか?そしてそれは、実現しなければならない夢なのか、それとも、工業デザインが目指すべき選択肢は別のところにあるのでしょうか?
そう考えたとき、携帯電話のデザインに代表されるような現代の工業デザインは、大項目の選択肢まで提案できているのか、それとも小項目の寿司ネタにしか過ぎないのか、と問うことができます。
しかし、視点を変えると、和洋中が選べるけれど、メインメニューが二〇種しかないファミリーレストランと一〇〇種類を超えるネタを持つ寿司屋では、どちらのユーザーがより満足するのか、と切り返すこともできます。
選択肢の問題は、人の幸福にとって大きな問題です。その問題を解決しようと言うのが、ユニバーサルデザインだと私は考えています。
(この項、続きます。)
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◆ユニバーサルデザインとは(1)
【回答】その8
こんにちは!「工業デザイン相談室」の木全(キマタ)です。デザイナーの実像・デザイナーとの付合い方・デザイナーとのトラブル回避法など書いていきます。御相談がありましたら、コメントをくださいね。
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1月末に某福祉大学の笹山)さんから、以下のようなコメントをいただきました。
「基本的にはユニバーサルデザイン(以下UD)を勉強しています。というか本格的にやり始めたところです…。
『すべての人』を対象にするUDは、今後至るところでその必要性は高まる。と安易な考えを持っていました。しかし、UDが全てではない。例えば、人それぞれが愛着を持ち、長年使ってきたものを、いきなり時代の流れ、使いやすさの理由で、デザインを変えて良いのか?など…。
誰にどの様なデザインをしたいのか?このデザインは誰の為なのか?長くなって申し訳ないです。もう少しお付き合いください。
要するに行き詰まりを感じています。
そこで、UDにこだわらず、『デザインの基本から勉強してみよう』という考えで、木全さんのブログや本を読ませていただいています。
今回は、質問と言うよりは、自己紹介のような形になってしまいましたが、今までのブログを全て読ませていただき、何かコメントを残したいと思い書かせていただきました。
長文となってしまいすみませんでした。」
笹山様、コメントありがとうございました。このコメントに対して、とりあえず、以下のようにお返事をしておきました。
「大分悩んでいるようですね。
はっきり言って、『ユニバーサルデザイン』はまだ概念が固まっていないようです。
ユニバーサルデザインは製品開発の『方法論』だと私は考えています。方法論ですので、正解はありません。まあ、人生みたいなものです(笑)。ただ、これからの製品デザインになくてはならない『方法論』でもあります。
近いうちに、本に書ききれなかったユニバーサルデザインについての私なりの考えを書きますね。」
というわけで、今回は私の考えるユニバーサルデザインについて、少しお話してみようと思います。
■選択肢と幸福
人類が勝ち取ってきた自由は、選択肢の拡大という側面があります。現代の日本は職業選択の自由が保障され、どこにでも自由に住めて、何でも買うことができる。誰にでも選挙権があり、だれでも立候補できる。たった150年前の江戸時代の庶民にとって、それらすべての選択肢が夢のまた夢でした。確かに、選択肢の多さは幸福の条件です。
家電量販店に行けば、選択肢が多すぎて困るくらい製品があふれています。現代の我々は、製品カテゴリーの豊富さ、カテゴリー内のデザインバリエーションの豊富さと言う面で、江戸時代よりはデザイン的に幸福だと考えていいでしょう。
現代の携帯電話のように、誰の好みにも合わせられるように限りなくデザインの選択肢を増やすこと。それは、企業戦略かもしれませんが、選択肢がないよりは明らかに幸福だということになります。
だとすれば、どのような選択肢が用意できているか、が大きな問題になります。
たとえば、食について考えてみるとわかりやすいかもしれません。食事の選択肢は、和食・洋食・中華という大項目の選択肢と、寿司・刺身・焼き物・煮物・天ぷら・とんかつなど和食という中項目の選択肢と、寿司ネタのバリエーションだけという小項目の選択肢があります。
現代の東京は、単品しか出さない牛丼屋から、客の好みに合わせて料理を提供してくれる和洋中の専門店まで、大項目から小項目まであらゆる選択肢が用意されています。東京は食通にとって、世界一幸福な都市になっています。
では、現代の工業デザインはそれを実現できているのでしょうか?そしてそれは、実現しなければならない夢なのか、それとも、工業デザインが目指すべき選択肢は別のところにあるのでしょうか?
そう考えたとき、携帯電話のデザインに代表されるような現代の工業デザインは、大項目の選択肢まで提案できているのか、それとも小項目の寿司ネタにしか過ぎないのか、と問うことができます。
しかし、視点を変えると、和洋中が選べるけれど、メインメニューが二〇種しかないファミリーレストランと一〇〇種類を超えるネタを持つ寿司屋では、どちらのユーザーがより満足するのか、と切り返すこともできます。
選択肢の問題は、人の幸福にとって大きな問題です。その問題を解決しようと言うのが、ユニバーサルデザインだと私は考えています。
(この項、続きます。)
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最近メニュー開発に悩んでます。ユニバーサル料理にするか、マニアック料理にするか? 選択肢と人間の幸福感の問題は私も考えてますが、本当のユニバーサルなら選択肢はコレだ!って言える構造(味)と説得力なのかな?
最近街のモニターアンケートで発売中もしくは発売予定の携帯電話機種150台近く見せられアンケートを書き込むリサーチに参加したけど、20分で終わると聞いて(謝礼5000円)たのにまともに答えたら3時間かかりそうなアンケート。少し体調悪くなりました(笑)デザイン選択肢が多いのも恐怖だ!
まいどです。お店はなかなか面白そうですねえ。
いかに既存顧客の満足度を高めるか、商売の王道ですね。
ユニバーサル料理、いいですねえ。是非開発を進めてくださいませ。
携帯電話のモニターアンケートなんて、貴重な体験、うらやましいです。
それにしても、ユニバーサルデザインは難しいですね。たぶんゴールはないのでしょうね。
次回は、そのあたりのことを書こうと思います。
最後になりましたが、いつもコメント感謝です!
では!
選択肢という考え方には、賛否で言えば賛成です。
前にも述べましたが、「UDは全てではない」だからこそ選択肢という考え方に一票入れました!笑
しかし、私のUDへの概念をはっきりと言うことが出来ません。それは、私のUDへの概念が固まっていないからです。
今後UD含め幅広くデザインを勉強していくなかで、見つけられたら良いと思っています。せっかく福祉の大学に通っているので、言葉は悪いですが、それを「巧く利用」してみようと思います。
またブログにコメント残させて貰います。相談事もさせて貰うかもしれません…その時はヨロシクお願いします。
今回も長くなり、申し訳ありませんでした。
でも、私はUDはこれからの製品デザインの一つの方向性になりうるものを秘めていると考えています。
そのあたりを、次回お伝えするつもりです。
伝えきれない部分もあるかと思いますので、何か疑問点があれば、またコメントください(笑)。