クリエイティブビジネス論!~焼け跡に光を灯そう~

元コピーライター・境 治が、焼け跡になりつつあるこの国のクリエイティブ業界で、新たな理念を模索するブログなのだ!

VODサービスの決定打はFacebookかもよ!

2011-03-09 08:00:00 | Facebookどんどこどん!
このブログの熱心な読者の皆さんなら、ぼくがVODにこだわってきたことは知ってるよね?そして、来る~きっと来る~今年は来る~と期待してきた。

そうだっけ?などと失敬なことを言う人は、「VODに未来はあるのか」というカテゴリーの一連の記事を、ひとつふたつでいいから読んでほしいもんだ。VODについてこんなに考えたり期待してる人間もなかなかいないよ、きっと。

さてそのVOD、このところ盛り上がってきた。去年から、2011年はきっと盛り上がると予言してきたぼくとしては期待通りだ。とくにテレビ局が番組の見逃しサービスを盛んにスタートさせている。それなりに成果も出ているようだ。

2005年だったかな、AppleがVideo iPodを発売し、アメリカのiTunesStoreでドラマや映画を販売しはじめた時狂喜した。日本ではいつはじまるのだろうと期待したけど、日本でもAppleTVで映画を販売するまで5年かかっちゃった。そこはかかりすぎでしょう。でも時間かかった分、加速はぐいぐいだと思うなあ。

日本のVODは長らくアニメとエロ、だった。そうすると、サービス自体がなんだか地味なもの、マイナーな存在に思えてしまう。サービスとして普及するにはやはり、メジャーな作品が必要だった。テレビドラマやヒットした映画が並んでいると、”私が使ってもいいサービス”に思えてくる。

ネット上のコンテンツにお金を払わない傾向。これを突き崩すのも、メジャー作品だ。これだったら400円払ってもいいかな、と一度払うと、だんだんお金を使う抵抗感が減ってくるものだ。

さてあちこちに増えてきたVODサービス。しかし、大きな問題がある。どのサービスも何千だか何万だかの作品を置いているのだけど・・・”選べない”のだ。たくさんの選択肢から何かを選ばせるって、すごく難しい。その上、VODサービス上つまりテレビやPCのモニター上で作品を選ばせるのはものすごく大変だ。

リアル店舗はそれに比べて選びやすい。目に付いたパッケージをパッと手に取り、そこにあるいろんな情報をさささっと見ることができる。モニター上ではクリック操作などが必要で、それが意外にわずらわしいのだ。日本のサービスはなぜか、どれもこれもインターフェイスがよろしくない、というのもある。映画が好きな人が選びやすいかどうか、という視点がない。

これを解決するのはソーシャルな仕組みだろうとぼくは考えていた。ソーシャルな仕組みとVODサービスをセットにすればいいはずだと。いろんな人の感想やつけた点数などを見れたら、選びやすいことまちがいない。ぼくはそういう仕組みを、どこかのVODサービスの人たちにプレゼンしに行こうかとさえ考えていたところだ。

ところが、事態は急展開だ。昨日、Twitter上でこんなニュースが飛び込んできた。

Facebookが映画のネットレンタルを実験的に開始。

なに?なんだと?

元ネタは「Media Memo」というPeter Kafka氏(カフカ氏?)の記事。タイトルは「YouTube, Netflix, Hulu: Meet Facebook」

いやー、さすがザッカーバーグ。Netflixの成長ぶりを見て、「ん?うちもあれ、やるといいんでね?」と気づいたのだろう。アメリカでは国民の半分が使っている”インフラ”だから、数千万人ユーザーを集めた程度のNetflixなんか蹴散らしちゃうのかもしれない。

そして・・・このニュースを読んだ時、最初は気づかなかったんだけど、革命的な点にあとで気づいた。

FacebookがはじめるVODサービスってことは、もれなくソーシャル機能付き、なわけだ。ドッカーン!!!


そうかそうかそうか!この映画どうなのかな?と思ったら、「いいね!」の数を見ればいい。ぼくの友だちのあの人が書いたコメント読めばいい。うん、彼が褒めてるなら、見る価値あるんじゃない?そんな風に、”選びやすい”VODサービスのいっちょあがりだ!

元の記事を読み返すと、カフカ氏もちゃんとそこにふれていた。
Just as important: While other video sites are trying to figure out how to add social “hooks” into their experience, Facebook doesn’t have that problem. It is the social hook.

Facebookこそが、”ソーシャルフック”なんだ、と書いている。

これはまだ、実験の段階らしい。アメリカでも実際に何万もの作品が乗っかるのはずいぶん先だろう。そしてそれが日本に来るにはまた5年・・・いや、今回はそこまでかからないだろうね。アメリカと多少タイムラグが出るだろうけど、日本のFacebook側の準備が整ったら、即だと思う。いまや、日本の映像事業者はVODに熱心な人たちなのだ。

それにしても、Facebook恐るべし!さすが”インフラ”だ。もはや何でも乗っけられるのかもしれない。どんなサービスも呑み込むドラえもんのポケットみたいなものなのか?どこまで行くんだ、ザッカーバーグ!突き進んで欲しいけど、勝手に突然仕様を変えて、ぼくらを置いてかないでねー!



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