京都デモ情報《ブログ版》

京都周辺で開催されるデモ行進・街宣・イベント・裁判・選挙等の情報を共有するためのページです。

《書評》毛沢東伝(藤子不二雄A)

2018年06月21日 | 書評


天才漫画家藤子不二雄Aが、天才革命家毛沢東の誕生から中国革命の青春までを描き切った名作。革命の大道を歩む毛沢東と、彼を巡る家族愛、友情、挫折、好敵手、葛藤、裏切り、恋愛、浪漫が、社会主義リアリズム濃厚なインパクトのある画風で生き生きと展開する。孫文、毛沢東、マルクス、レーニンの古典からの引用文がタイミングよく挿し込まれ、スパイスとなって印象深い。帝国主義列強、国民党、軍閥、コミンテルンとの複雑な駆け引きや暴力を勝ち抜く中で練り上げられる毛沢東主義の真髄が、漫画の形を通して花開く。社会運動がぶち当たる壁を乗り越えるヒントに満ちたアクチュアルな教科書。藤子不二雄A作品の頂点をなす一作。


《書評》良いテロリストのための教科書 (外山恒一 著)

2018年06月20日 | 書評



タイトルは勇ましいが、内容は外山史観による新左翼史入門といった本。外山恒一氏の左翼に対する愛憎が、いい意味でバイアスになっており、面白さを際立たせている。新左翼の歴史というと内ゲバ、連合赤軍の70年代で終了…というまとめ方をするマスコミ情報が幅を利かす中で、この本は日の当らない80年代から今に至る新左翼運動の時代背景や日本的事情と離合集散まで描かれている。おかげで、なるほどあそことあそこが仲が悪いのはそういう訳かと腹に落ちる。あくまで外山氏の見方であるから人によっては反論もあるだろうが、一連の流れとターニングポイントがきれいに繋げられており、左翼に興味のある人は読んで損はない。私自身でいえば、ピースボートのポスターを見るたびに何とも言えない違和感があったのだが、この本を読んでその理由が分かった。無自覚なまま、日本型ポストモダンの影響を受けていたのである。

なぜ左翼が、「誰が一番の被害者か」「誰が一番被害者のことを理解しているか」という、被害者の地位の争奪戦という不毛なことをするのか、その理由も分かる。この辺りの、どうしてそうなったのかという歴史的経緯を知らないと、同じテーマを話しているはずなのにベテラン左翼と話が噛み合わないことがあるので、10代~30代の若手活動家や共産趣味者諸君はぜひ本書に目を通してほしい。

運動論や思想史として読んでも味わいがある。パヨク、ドブネズミ、へサヨを含めた3・11以前から活動を続けている連中は、最初から自分たちの運動が結局は資本に回収されるだろうという諦念があり、これが資本主義の枠内で自分たちが興味の持てる個別の主張や表現が実現できればよしとする、運動のポリコレ化を生んできた。外山氏自身は、そういった左翼的自閉空間からの脱出口として「ファシズム」に行きついたようだ。しかし、外山氏がいくらファシズムという外皮をまとったとしても、所詮新左翼のパロディでしかないドブネズミ活動家としての限界を超えられたわけでもない。この本の最大の意義は、そんな3・11以前の左翼や自称リベラルに導かれた3・11以後の社会運動の限界を明らかにしたことにある。3・11がもたらした現実が要求しているのは、今だ達せられざる“運動の刷新”なのだ。



《書評》ファシスト的公共性(佐藤卓巳)

2018年06月15日 | 書評


本書は議会選挙の本質をその出自に遡って解き明かし、なるほど無党派層や選挙に行かない人が大半なのはむしろ当たり前であることを理解させる。選挙に行かない人を説教したり、彼等のニーズに応ると称して政策議論をすればするほど、民衆との距離は乖離し投票率は低下する。それはブルジョア的公共性の再生産であり、小賢い精神的貴族であることを誇示する自慰行為の印象しか与えない。選挙に行かない、無党派層という名で括られる多くの人々にとって選挙は、教養と財産を相続する支配層や指導者気取り達に白紙委任を迫られる屈服の場でしかない。こういった人達に政治参加を促すには、街頭やインターネットでの示威活動といった労働者的公共性を運動の中に位置付け、議会選挙に民衆の「叫び」を反映させることが出来るかにかかっている。そしてそれこそが、民主主義と全体主義の分岐点であることを本書は教える。ナチスは労働者的公共性を参加感覚にまで簡素化したファシスト的公共性を演出し、ブルジョア的公共性の殿堂である議会選挙を国民革命の舞台に変えた。ドイツ国民は歓呼と喝采をもって、それに合意を示したのである。


【6・29キンカン6周年デモ!】開催のお知らせ

2018年06月14日 | デモ



【6・29キンカン6周年デモ!】
2012年6月29日(金)から始まった関西電力京都ビル前のキンカン行動が6周年を経て、今月29日に7年目に入ります!今年、初めて6月29日が金曜日になりました。
「原発のない社会をつくろう!」
一人一人の行動が世論を強め、脱原発の強い圧力となっています。 これまでずっと来られている方も、 時々来られている人も、一度、京都のキンカン行動を見てみたいという方も、 ぜひ6月29日(金)のキンカンにご参加ください。
鳴り物大歓迎!
〇キンカン行動は、午後5時~午後6時30分
 関西電力京都ビル前(JR京都駅北側)
〇デモは、午後6時40分集合
 東塩小路公園(京都駅の西にあるビックカメラのすぐ横)
 午後6時45分出発、関電京都支店前を一周します。

(東塩小路公園地図)







《書評》ポストキャピタリズム

2018年06月09日 | 書評



この本の結論を言えば、最近ありがちなAIやIoTといった情報技術が金融改革やベーシックインカムを引き寄せ、新自由主義を打ち破って資本主義を変貌させるというもの。しかしこの本の独自なところは、そこに至る経過と戦略を解き明かしていることである。それも、近代から始まる労働運動や革命運動、そしてマルクス主義学説の歴史を掘り起こし、コンドラチェフやボクダーノフ、ヒルファーディング、ローザをも有機的に取り込み、その限界と突破口を示して見せる。労働価値説が情報技術による変転の裏づけとして蘇生させられる様には、驚いたり納得させられたりだ。労働価値説が極まると、労働と価値が分離するという逆説に認識の刷新を迫られる。

今のところ情報技術は独占企業によって管理運営されており、我々はその体制に服従を強いられている。グーグル、フェイスブック、ツイッター、ユーチューブ、マイクロソフトも全て同じ構造下にあり、情報技術は新自由主義と接続され、マーケティングと監視の道具に貶められているのが真相である。そんな現状から、人間と情報技術が持つ可能性を解放するきっかけを与え、ネットを介した世界全体の民衆自治という近い未来への懸け橋となる本として、今後爆発的に普及するのは確実だろう。