京都デモ情報《ブログ版》

京都周辺で開催されるデモ行進・街宣・イベント・裁判・選挙等の情報を共有するためのページです。

《書評》ポストキャピタリズム

2018年06月09日 | 書評



この本の結論を言えば、最近ありがちなAIやIoTといった情報技術が金融改革やベーシックインカムを引き寄せ、新自由主義を打ち破って資本主義を変貌させるというもの。しかしこの本の独自なところは、そこに至る経過と戦略を解き明かしていることである。それも、近代から始まる労働運動や革命運動、そしてマルクス主義学説の歴史を掘り起こし、コンドラチェフやボクダーノフ、ヒルファーディング、ローザをも有機的に取り込み、その限界と突破口を示して見せる。労働価値説が情報技術による変転の裏づけとして蘇生させられる様には、驚いたり納得させられたりだ。労働価値説が極まると、労働と価値が分離するという逆説に認識の刷新を迫られる。

今のところ情報技術は独占企業によって管理運営されており、我々はその体制に服従を強いられている。グーグル、フェイスブック、ツイッター、ユーチューブ、マイクロソフトも全て同じ構造下にあり、情報技術は新自由主義と接続され、マーケティングと監視の道具に貶められているのが真相である。そんな現状から、人間と情報技術が持つ可能性を解放するきっかけを与え、ネットを介した世界全体の民衆自治という近い未来への懸け橋となる本として、今後爆発的に普及するのは確実だろう。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする