京都デモ情報《ブログ版》

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【書評】わが友ヒットラー (三島由紀夫)

2022年01月31日 | デモ



『わが友ヒットラー』が本当に染み入る読者とは、真理を是とする政治活動家だろう。真理的政治党派が俗界の壁にぶち当たる時、それまで手を携えてきたイデオロギーと暴力(強権)を維持するか切り離すか、という選択に迫られる。友情や理想や利害が絡み合い、党員達の心理は矛盾に押し潰される。美しい真理を抱える活動家の心は繊細であり、行きつつ戻りつつを繰り返す。それは倒すか倒されるかという実践でしか、乗り越えることができない。ヒトラーですら戦友レームを粛清する際は、精神的にかなり動揺したようだ。『わが友ヒットラー』はこういった政治活動家の宿命への備えとして、ワクチン効果が期待できる。ただし毒が強めだが。歴史上の陰惨な政治劇も、三島の手にかかると宝石のように美し表現で演出される。それが、せめてもの慰めだ。


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