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【書評】ネット右翼になった父

2023年01月20日 | デモ



一昔前まで、働いて家族を養ってさえいればアジア唯一の先進国市民という、優越感を得られた時代があった。こういった層が老境に入ると、日本社会や自分の衰えから優越感を削られ、苛立ちを募らせ始める。それはインターネットやテレビによって形を与えられ仲間を見出す。今さら、どっぷりつかった日本社会や家父長意識を否定できるはずもなく、一方通行のまま先鋭化しネット右翼へ。遅咲きの政治デビューとなる訳だ。割とよくある話。

ネット右翼がことさらに、「普通の日本人」「市民」「右でも左でもない」など世間と地続きであることを強調するのも、無自覚な優越感が発端だからだろう。ヘイト発言する父親とネット右翼は、別個のものでなく同じ病根を持つ枝と葉で、程度の差に過ぎない。左翼やリベラルでも中国や韓国への敵意を示す人がいるが、要は、元々家父長制内左派や生活保守左派だったというオチ。これも「積極的日和見主義」(p.112)などと、中途半端にやり過ごしてきた戦後史の負の遺産だ。

とはいえ家族や友人関係でヘイト発言が収まっているなら、それは良くないよと、その都度注意する対処療法ぐらいしかないか。ことさら家族内で対立することもないが、父親の名誉回復のため積極的に融和しようと、あれこれ並べ立てて自分に心理操作を掛けるのはどうかと思う。もしかすると父がネット右翼になったのは、そういう微温的な団塊ジュニア世代の息子を意識的にか無意識的にか挑発したかったのではないか。父親達が人生を賭けて築き上げた優しい似た者同士の「家」を乗り越えさせるために。



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