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【書評】シェアリングエコノミー(田村八洲夫)

2018年05月17日 | 書評


本書は、石油資源の枯渇から、これ以上の資本主義的経済成長の限界を説く。そして、再生可能エネルギーを基にしたインターネットによる交流で即時的な物品の融通と、公正な分配を行うシェリングエコノミーを提案する。

特に石油資源の枯渇という問題に力点が置かれている。いくら石油の埋蔵量があったとしても、それを掘り出すコストがかかり過ぎれば経済成長は望めない。海底や地中奥深くにある資源は使い物にならないのである。また発展途上国の石油消費量がアメリカ並みに増えれば、環境破壊は進み石油が足りなくなるのは容易に想像できる。現代は「石油ストックを食い潰す」時代になった。

昨今数多ある社会改革案は、右も左も経済の仕組みを変えることで生産性を増大させ、より高い経済成長を約束する。確かに、それは必要なことでもあろう。しかし同時に我々は、突き付けられる天然資源や自然環境の限界に目を向けなければならない。そのことを見据えた、ビジョンが要求されていることに思い至る一冊である。

ただ、現状分析と将来の設計図は詳細だが、誰がどのようにして変えいくのかという部分は不鮮明である。テクノロジーの進化によって自然に導かれる…といったレベル。この手の本にはありがちなことだが。


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