ある司法書士の修行時代

司法書士の修行の日々に思う徒然事

河内の苛立ち

2005-01-14 22:04:29 | 競馬
ブログを始めたばっかだから積極的に書いていこう(^^)

河内の苛立ちといっても何のことかさっぱりだろう。
広島カープの河内ではなく、「かわち」と読む。
カテゴリーが競馬だから分かってる人は分かってるだろうが、
そう、今の調教師、かつての名騎手、武豊の兄弟子である河内洋のこと。

僕にとって競馬は汗と煙草臭いおっさんそのものだった。
丸の内線で通学してると、土曜の夕方に後楽園を通過すると、
どっとむさ苦しいおっさんたちが乗り込んできて
冷房で冷えた車内が一気に汗臭くなったのを覚えている。
軽薄なOL的発想で、当時若造の僕はただそれだけの理由で競馬を嫌悪し、
競馬にのめり込む人たちを蔑んでいたのかもしれない。

僕が初めて競馬を見たのはどっぷり欝に浸かっていて、
朦朧とした絶望感と倦怠感の中で、
フジTVの「スーパー競馬」を観た時に遡る。
観るともなく何気なく観ていた、その時、

秋の澄んだ陽光が一面に敷き詰められた美しいライトグリーンのターフに
軽やかに戯れるかのように溢れているその最中に、
勝負の時を前に静かな闘志を秘めて返し馬を行うサラブレッドを観た。
その鞍上にはカラフルな勝負服を身をまとった騎手が
祈りを込めるかのように姿勢正しくぶれることなく跨っていた。
普段ならけばけばしさすら感じかねない勝負服と帽子の蛍光色がかった
色彩は陽光を含んだライトグリーン一杯に映えて単純に美しいと思った。

その快晴に恵まれた秋の日はエリザベス女王杯の日で
ダンスパートナーの二連覇がかかっていると実況は言っていた。
どの馬が何で、どの人が誰なのかさっぱり見当もつかないまま
なぜとなく密かにダンスパートーを応援しつつ
一体となった人馬が怒涛のように駆け抜けるのを観ていた。

僕はダンスだけを追っていた。
ダンスが四コーナー曲がって直線向いて、
さあ、これから、という時にほんの僅かだが不利を受けたように見えたその瞬間、
あっという間に後ろから来た馬に交わされ、懸命に後を追うも二着に終わった。

勝ったのは的場騎手のエリモシックでダンスは二着。
クローズアップするカメラが捉えたその上気しているダンスの鞍上には
ゴーグルをかけたままの表情の分からない河内がいた。
が、僕は河内の悔しさと苛立ちをまざまざと感じ取った。
そしてあの不利ともいえないような不利がなければ、
勝っていたかもしれないダンスにいつの間にか肩入れしていた僕は
いつの間にかその時は名前も知らなかった河内に共感していた。
中継が終わったとき、僕は思った。
来週も観よう、と。

僕がサイレンススズカに出会うのはそれから四ヵ月後だった。