ある司法書士の修行時代

司法書士の修行の日々に思う徒然事

時よ止まれ、君は美しい

2005-06-10 22:43:23 | 徒然
といっても僕が転んだだけだ。

左目が殆ど見えないので、気はつけているのだが、限界はあるらしい。
朝、電車に乗り遅れないようにマンションの階段を注意深く駆け下りた、
つもりだったのに…

見事に転んだ。
排水溝の掛かっている金属製の柵(網?)のようなやつで、
滑って転んで、吹っ飛んだ。
たまたまと通りかかった小学生がじっとこちらを見ていたが、無視。
手をアスファルトで思いっきりすりむいてひりひりしていたが、
手の惨状を見るのが怖くて結局昼過ぎまで見なかった。

僕が足を滑らせたとき、三流映画監督なら、一流でもジョン・ウーなら
スローモーションを採用するだろう。
デビッド・クローネンバーグなら採用しないだろう。
一瞬の出来事だったが、今思えば、スローモーションに値するとも思えるのだ。

クロード・ルルーシュなら吹っ飛ぶ僕を見て、映画化したいと思うだろうか?
僕は「思わない」と思う。絶対に。

小は大を兼ねるのか?

2005-06-10 22:26:54 | 司法書士
「大は小を兼ねる」に関しては、登記の世界では間々あるようだ。

例えば、A土地があって、bcdefの五筆に分筆した場合において、
bの所有権移転の登記済証はA土地を獲得して時の登記済証となり、
分筆の登記済証ではない。

所有権の甲単有から甲乙共有への更正の場合で、
甲の持分への抵当権設定登記の場合の登記済証は、
甲が当初所有権全部を取得した際の登記済証となるが、
この場合も実質はともかくなくとなくそれっぽく感じる…

さて、太郎、次郎、三郎共有の土地があって、
それぞれ別々の持分移転(所有権一部移転)登記で権利を取得。
今度、抵当権を設定しようと思ってるが、
うっかり者の次郎氏は権利証を紛失している。

この場合で、司法書士津田四蔵がこのたび本人確認情報を添付して、
抵当権設定の登記を代理申請することになった。
さて、昔の保証書制度の下では、保証書に登記済証の判が押されて、
登記済保証書となり、後々の抵当権設定登記などの登記済証として、
使えたものだが、改正後は保証書制度が廃止されたので、
登記済保証書自体がなくなった。

しかし通達によると、規則附則第15条第2項書面を添付しておけば、
それに登記済の判が押されて義務者に還付されことになり、
その書面は以前の登記済保証書と同様の役割を果たすらしい。

司法書士津田四蔵は次郎氏に還付される登記済証のために、
「申請書の写し」を添付し、登記原因証明情報は抵当権設定契約書の写しを添付し、
権利者への登記済証作成の素材としてその原本を使用することにしたのだ。

無事登記は完了し、設定契約書に登記済の判、
申請書の写しにも受付番号のない、登記済の判が押されて還付された。
津田四蔵は権利証を太郎氏と三郎氏に返し、申請書の写しを次郎氏に返した。

三日後、またまた別の金融機関の抵当権を設定することになったという
次郎氏からの連絡が津田四蔵に入った。
その時、次郎氏はこう言った。

「あのー、こないだの先生の説明によると僕の登記済証は今回の抵当権設定
 の際の登記済証として使えるらしいですが、なんか兄が友達の司法書士受
 験生から聞いた話によると私が貰った申請書の写しには義務者として兄と
 私と弟の三人が記載されており、この申請書の写しがどの義務者に還付さ
 れたのか書面上では特定されてないので、この写しだけで兄と私と弟の3
 人分の権利証を兼ねるから権利証を渡す必要がないと入れ知恵されたらし
 くって、今回は兄と弟は権利証を渡さないといってますが…」

さて、この件では実際のところ小(次郎の登記済証)が、
大(太郎と次郎と三郎の登記済証)を兼ねることになるのだろうか。
登記所で書面を調べれば判明するが、調べなければいけそうだけど…