チマコッピのガビア峠の下りでLPRのアタックが見られることはなかった。
コンタドールはガビア頂上付近で最大のアシスト・クレーデンを失っていた(リタイヤ)というのに、この日のLPRは動かなかったのか、動けなかったのか?
結局モルティローロの上りで遅れたディルーカはこの日タイムを大幅に失い、総合優勝争いから脱落してしまった。
モルティローロでのディルーカの脱落はコンタドールを非常に楽にしてしまった。セッラが仕掛けリッコが追うという展開を横目でみながらコンタドールはほっとしていたに違いない。
この日のアスタナは昨日のLPRの攻撃を教訓にして、コロムを逃げに乗せていた。クレーデンのリタイヤは予想外だったかもしれないが、チマコッピのガビア峠を無事にクリアした段階で、先にコロムが直近にライプハイマーを配したアスタナの体制は万全に見えた。
アスタナの思惑通り、コロムが先頭でモルティローロの下りに入る。後は追走のコンタドールたちが追いついてくるのを待つだけだった。
2級山岳アプリカの上りでセッラが飛び出したが誰も反応を見せなかった。しばらくしてシモーニが意地のアタックを見せたが、シモーニのジロは前日で終わっていた。
続いてロドリゲスもアタックするが、総合上位陣は全く動かない。唯一ディルーカとの表彰台争いをしているブルセギンだけが追いたい素振りを見せていたが、リッコも全く動きを見せなかった。
リッコはシモーニにまで追いつければボーナスタイムでコンタドールを上回りマリアローザを手にするチャンスはあった。しかし、それでも動かなかったのは、動けなかったのか、仮にここで数秒のアドバンテージを得てもミラノの個人TTでは到底コンタドールには叶わないと諦めたのかのどちらかだと思っている。
それにしても三千数百キロ以上走って来てわずか4秒のタイム差が明暗を分けるのだから自転車ロードレースというのは過酷なスポーツだと思う。またそれが魅力でもあるだが・・・
前日あれだけ果敢な走りを見せていたディルーカが完全に脱落してしまうなどということは誰も予想していなかったに違いない。前日の走りで全ての力を出し切ってしまったのだろうか?
コンタドールはとうとうミラノまでマリアローザを守り通すことになった。急遽の参戦に加え、落車により右腕を亀裂骨折している状況でである。コンタドールにとっても苦しく長いステージだったと思っている。
ツール・ド・フランスに参加できていればここでこんな厳しい走りを求められることもなかったはずで、決して満足の行く走りができていたわけではない。それでもここまで無難にマリアローザを守り通すのだから、改めて彼の能力の高さと、ヨハン・ブリュイネールの手腕には感心させられる。
TVをご覧の方ならお分かりのことと思うが、逃げたコロムが再三無線で指示を仰いでいた。そして、コンタドールに合流してからもしきりに無線を触っていた。コンタドールが追いつくまではタイム差などの指示があるのは当然だが、合流してまで無線で何を話していたのだろうか?
プロのロードレーサーなら自分の役割は分かっているはずなのに、コロムは何度も無線で指示を求めていた。おそらく指示は何もするなということだったのではないかと私は推測している。それに対してコロムは本当にそれでいいのかと確認をしていたのではないかと・・・
コンタドールに合流してからのコロムの仕事はリッコが動いた時に彼をマークすることだけだったはず。それよりも彼の最大の仕事はモルティローロまで逃げ、後続のアタックを封じ込めることだったはず。
結局リッコが動かなかったためコロムの仕事はコンタドールと合流した時点で終わっていたことになる。これぞブリュイネール采配の妙だ。アスタナにとって残す仕事は後ひとつ。全てはコンタドールに託された。
今日も一番最後にスタートしリッコとのタイム差に応じた走りをすればいいのだから、コンタドールも楽なはず。ブルセギンとは2分あるので、よほどのアクシデントさえなければ、コンタドールはリッコとのタイム差を広げてマリアローザを確定させることになるだろう。
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