ローマ近郊ティヴォリにゴールするジロ・デ・イタリア第8ステージは、序盤からの5名の逃げをメイン集団はゴール前で吸収し、大集団のままゴールに向けての上りになだれ込んだ。
有力選手たちが鎬を削るスプリントをリカルド・リッコ(イタリア、サウニエルドゥバル・スコット)が制して優勝。
第2ステージに続くステージ2勝目を飾った。マリアローザはジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、クイックステップ)がキープしている。
注目しているアスタナ勢はタイム差なしで、クレーデンが11位、ライプハイマーが14位、コンタドールが23位という結果に終わった。
総合ではコンタドールが8位に、クレーデンが14位に、ライプハイマーが21位に順位を上げた。
レースそのもはディルーカがよもやの位置から仕掛け、一度は先頭に踊り出たものの、最後はさすがに力尽き、リッコやベッティーニに交された。
前半戦を見るとステージ2勝のリッコと総合で4位につけているディルーカの動きの良さが目立っている。
しかし、総合4位のディルーカと8位のコンタドールとの差はわずかに29秒しかないことに驚かされる。
チーム総合で見ると第6ステージで10分以上のタイム差で大逃げを決めたプリアーモが所属するCSFが1位だが、31秒差の2位にアスタナがつけている。
優勝候補のディルーカを抱え、前半であれだけ目立った動きを見せ、ボッシーオで第7ステージまで勝っているLPRに7分以上もの差をつけていることになる。
昨年の優勝者ディルーカが所属していたリクイガスのチーム総合成績もやはり2位だったし、ツール・ド・フランスでは勿論ディスカバリーがダントツの1位だった。
グランツールのような3週間にも及ぶレースでは個人の能力だけでは限界がある。
チーム力、つまりアシスト勢の能力も高くなければ総合優勝は難しいのだ。
確かにリッコにはピエポリという強烈なアシストがいるし、ディルーカにもサヴォルデッリという過去にジロ・デ・イタリアを征している実力者がアシストとして控えている。
にも拘らずチーム総合で見るとLPRとアスタナとのタイム差が7分以上、サウニエルドゥバルに至ってはリッコが2勝もしているにもかかわらず20分以上のタイム差が開いてしまっているのだ。
昨年のジロ・デ・イタリアでは、サウニエルドゥバルはピエポリとリッコの山岳での活躍もあり、チーム総合では1位だったことを考えると、昨年と比べ前半から上りのステージが多いにも関わらず、ほとんど目立った動きを見せていないアスタナと20分以上もの差が生じているのは何故なのか?
このままでいけば、第10ステージの個人TTでおそらくアスタナはチーム総合1位に返り咲くはずだ。
ディルーカがコンタドールは10日後には調子を戻してくると口にしていたのは、コンタドールが第10ステージの個人TTに調子を合わせてくると見ていたからに違いない。
ディルーカとしてはそこまでに少しでもコンタドールとの差を広げておきたかったはずなのだ。
昨日の早仕掛けも思ったようにコンタドールとのタイム差を開けないディルーカのあせりと見ることはできないだろうか?
このままのタイム差だと第10ステージでコンタドールに逆転を許す可能性をディルーカは一番怖れているのかもしれない。
TTが速いクレーデンとは1分以上、ライプハイマーとは2分近い差があるので、第10ステージでの逆転はないはずだが、コンタドールの調子が戻っていればタイム差は大幅に縮まるはずである。
第1ステージのチームTTでは遅れそうになっていたコンタドールが、今ではチームのトップに君臨しているのだから、まさに奇跡の男と呼ぶにふさわしいすばらしい選手だと思っている。
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