世界選手権で100km超からのアタックで「クレイジー」とも思われたポガチャルの勝利でサイクルロードレースの逃げの型が決定的に変化したことを実感させられました。タイム差が生まれても後に挽回可能なステージレースでは、有力選手以外の逃げは容認され易く、逃げ切りが決まることも少なくありません。ただ、タイム差の持ち越しが出来ないワンデーレースではそうもいかないというのがサイクルロードレースの常識だったのです。
ところが、今年はどうでしょう?ストラーデビアンケでポガチャルの80km超の逃げ切り勝利に始まり、ロンド・ファン・フラーデレンではファンデルプールが44.8kmの独走勝利、パリ〜ルーベでも59.6kmの独走、リエージュ・バストーニュ・リエージュではポガチャルが34.4kmの独走勝利を決めているのです。
この二人が強過ぎたというのは簡単ですが、口で言うほど容易なことではないはずなのです。それでも、今年のモニュメントでゴールスプリントになったのはフィリップセンが勝ったミラノ~サンレモだけ。加えるなら、ステージレースの代表格であるジロ・デ・イタリアでポガチャルがステージ6勝、ツール・ド・フランスでも6勝とスプリンター以上に勝ち星を重ねているのです。そのほとんどがアタックからの逃げ切り勝利でした。
思い返せば今年のツールの初日も50kmでアタックしたDSMフィルメニッヒ・ポストNLのロマン・バルデが逃げていたチームメイトのフランク・ファンデンブルークと合流し、そのままワンツーフィニッシュ。その結果バルデが悲願のマイヨジョーヌに袖を通しているのです。
近年のサイクルロードレースでは高速化が進み、ステージレースでもなかなか大きな逃げが生まれ辛いという状況が続いていたのですが、ワンデーレースでのこの独走勝利には驚かされるばかりでした。
これには何か理由があるに違いないと思い色々と考えてみました。最大の理由はレースの高速化にあるように感じています。そして、その高速化の背景にあるロードバイクのエアロ化とブラケットポジションによるエアロフォームの変化が大きいのではと推測しているのです。