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UAEの年間最多勝を考える(2)

2024-10-11 14:33:49 | プロ・ツール
 イル・ロンバルディアの前哨戦と目されたグラン・ピエモンテが終わり、EFエデュケーション・イージーポストのニールソン・パウレスが42.5kmを独走して勝利しました。Cannondaleの同じバイクに乗っている身としてはパウレスの勝利は嬉しい限りですが、トップ10にUAEのメンバーの名前はありませんでした。残り10レースで6勝は流石に難しいでしょう。

 ただ、それは今年に限ってのことです。UAEは新たに18歳のパブロ・トーレス(スペイン)と、2030年までの6年契約を結んだと発表しています。パブロ・トーレスはイネオス等の強豪チームからもオファーされるほどの才能ある選手です。
 今年下部チームであるUAEチームエミレーツGenZに加入し、1月にスペインで行われたワンデーレースをトップチームのメンバーとして転戦。その後もミラノ〜トリノなどトップレベルのレースで経験を積んでいます。

 今年のツール・ド・ラヴニールでは既にプロで4勝を挙げているイスラエル・プレミアテックのジョセフ・ブラックモアには総合では敗れ2位に終わっていますが、難関山岳での10kmの独走勝利や登坂記録を更新した注目のクライマーなのです。
 昨年のツール・ド・ラヴニールの覇者イサーク・デルトロもUAEに加入していますが、ツアー・ダウンアンダーではステージ1勝を飾ったものの、初出場のブエルタでは目立った成績は残せませんでした。ただ、2018年の覇者のポガチャルの活躍や今年のジロで終盤まで新人賞ジャージを着ていたキアン・アイデブルックス等、才能ある選手の名が並ぶ若手の登竜門なのは間違いないでしょう。

 彼ら以外にもポストポガチャルの有力候補のフアン・アユソ。今年のツールはコロナ陽性でリタイヤせざるを得ませんでしたが、今季は4勝を挙げているのです。来年はさらなる活躍が期待されます。マルク・ヒルシはチームを去りますが、ブエルタでも印象に残る走りを見せたマルク・ソレルはチーム残留。彼も2015年のツール・ド・ラヴニールの覇者なのです。

 その他にもアダム・イエーツ、ジョアン・アルメイダ、ジェイ・ヴァイン、パヴェル・シバコフといったステージレースでも勝利が見込める準エース級の選手が揃っているので、ポガチャルの調子が悪くなければ年間86勝という新たな記録更新は不可能ではないでしょう。ただ、勝利数を重ねるならヒルシに変わるスプリンターの獲得は必須でしょう。

 スプリンターの新規加入の話はありませんが、アントニオ・モルガドという有望な若手選手とUAEは2027年までの契約を結んでいます。まだ20歳の若手ですがスプリント力がありTTも強く、期待の新人です。ファンデルプールが征した今年のロンド・ファン・フラーンデレンでは5位に入っているのですから。

 また、TTスイス国内選手権とトラック競技のジュニア国内王者でもあるヤン・クリステンも2027年までの契約で今期からUAEで走っています。ヤン・クリステンは昨年1月のシクロクロス世界選手権男子ジュニアでチャンピオンに輝くと、7月のヨーロッパ選手権男子ジュニアロードレースでも優勝、更にマウンテンバイク世界選手権の男子ジュニアで銀メダルを獲得している次世代のファンデルプールとも呼ばれる選手なのです。
 来年のポガチャルはおそらくツアー・ダウンアンダーから始動するはずで、前半の最大の目標はモニュメントのミラノ~サンレモの勝利になるでしょう。今季グランツールだけで12勝の固め打ちをしたポガチャルが来年はツール以外にどこを狙って来るのかによって勝利数は大きく変わりますが、来年は果たして何勝してくれるのかが今から楽しみです。
 UAEはポガチャルという選手を通して、様々な有用なデータを蓄積しているはずで、そのデータを元に若手の育成に力を入れている印象があります。先に名を挙げたパブロ・トーレス、アントニオ・モルガド、イサーク・デルトロ、ヤン・クリステン等は皆20歳以下の選手達なのです。彼らと4年から6年という長期契約を結び、レースを通して育てる方針なのでしょう。来年のグランツールのスタートリストにこれらの選手の名前が必ずあるはずです。
 ポストポガチャルの筆頭と言われているアユソですが、今季の成績は4勝止まりと低迷しています。同じチームでポガチャルと比較されるのは辛いかもしれませんが、このままだと下の世代の選手にポストポガチャルの座を明け渡してしまうことになるかもしれません。
 



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