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CYCLINGFAN!!

自転車をこよなく愛し、自分の脚と熱いハートで幾つになっても、可能な限り、どこまでも走り続けます~♪

パリで輝いたエヴェネプール(2)

2024-08-05 14:36:26 | オリンピック
 今回はTverで初めて解説のないロードレース中継を観ましたが、とても長い6時間でした。途中、地上波や録画などを観ながらも、途中で完全に寝落ちし、気付いたらゴール5kmでレムコが1分以上のリードを得ていたのです。パンクなのかバイク交換のロスもありながら、エッフェル塔を背にしたゴールに飛び込むレムコの姿は美しく見えました。バレーやバスケット、柔道と大柄な選手たちのパワーや高さに圧倒されていた中で、日本人とほぼ変わらない、むしろ日本人よりも少し低い171cm。バスケットの河村選手もそうでしたが、50cm近い身長差をものともしない機敏な動きには魅了されます。MTBのXCで金メダルのトム・ピドコックも170cmと小柄な選手でした。

 それにしても今年のオリンピックではスペシャライズドが大喜びしそうな状況になっています。オリンピックに合わせて発表されたスペシャライズドの50周年記念の限定版、S-Works Forward 50コレクションは多分即完売になる勢いです。本来はツール・ド・フランスに合わせていたのかもしれませんが、スペシャライズドのバイクが活躍する場面がほとんどありませんでしたので、オリンピックでのW金メダルの宣伝効果は絶大なものがあるでしょう。

 自転車競技は屋内のトラック競技は別として、屋外で風にさらされるロードレースは必ずしも体格が大きい方が有利にならない競技のひとつです。スケートボードもそうなのですが、身体が大きくなり過ぎると不利に働く要因にもなるのです。
 体格に恵まれない日本人にはロードレースは向いていると思うのですが、自転車大国のオランダやベルギーなどの欧州に比べ競技人口が圧倒的に少ないのです。ただ、他競技で目が出ず自転車競技に転向して成功した日本人もいるのです。東京オリンピックのトラック 女子オムニアムで銀メダルを獲得した梶原悠未選手は高校進学前までは競泳に取り組むも、「トップを目指せる競技への挑戦」を模索し自転車競技に転向し大成功しているのです。

 未経験からのスタートにも関わらず、わずか2ヶ月でインターハイに進出するほどの実力を発揮し、その後も躍進は止まらず、アジア選手権ジュニアカテゴリで5種目優勝、 世界選手権ジュニアカテゴリで2年連続銀メダルを獲得しました。大学進学後は全日本選手権を5連覇、3種目の日本新記録保持、アジア選手権大会4連覇、ワールドカップ日本人史上初の4大会優勝の記録を樹立し、2021年の東京五輪では女子オムニアムで銀メダルを獲得し日本代表チームに唯一のメダルをもたらすことになったのです。今回のパリでもメダルの期待が高い数少ない選手のひとりです。
 




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オリンピックを考える(7)

2024-08-04 16:37:00 | オリンピック
 パリオリンピックも開幕から1週間を迎えています。フェンシングでの活躍はあったものの、且つてお家芸だった水泳での不振が目立っています。東京大会ではいきなりの混合ダブルスで金メダル獲得で気を吐いた卓球も早田ひな選手が残っているだけという状況です。その早田選手は左手を痛めながら銅メダルを獲得しました。痛み止めを打ちながらの強硬出場で、彼女の今後の選手生命に影響が無いことを願います。

 お家芸の柔道も中量級までは優位でしたが、体重が上のクラスではやはり苦戦を強いられています。「柔よく剛を制す」と言われる柔道ですが、女子は最軽量の48kg級の角田選手が金メダルと手にしましたが、阿部詩選手を筆頭にメダルにすら手が届かない状況になっています。かろうじて57kg級で舟久保選手が粘りに粘って銅メダルを手にしましたが、金メダルはカナダ国籍の出口選手でした。

 柔道に関しては国内に強い選手が多いので、オリンピックに出場すること自体が大変なので、国籍を日本以外に移してオリンピックに出場する選手も増えているのが実情です。ただ、そうして海外へ出て行った選手に日本の選手が負けてしまうのにはそれなりの理由があるように思います。
 メダルの数では圧倒的な日本の柔道ですが、メダルを取れる選手とどうしてもメダルに手が届かない選手がハッキリし過ぎているように感じます。連覇を果たした阿部一二三選手は3連覇も可能でしょう。また、銅・金・金と3大会連続でメダルを獲得した永瀬選手も素晴らしかったのに対し、何度もオリンピックの舞台に立ちながら一度もメダルに届かない選手がいるのもまた事実なのです。日本の柔道界は選手育成だけでなく、選手選考の基準を見直す時期に来ているのかもしれません。今後は団体で確実にメダルは取れるでしょうが、今一つ物足りなさを感じてしまったのも事実です。

 個人では圧倒的な強さを見せ、金メダルを9個と量産した東京大会ですが、団体ではフランスに敗れ銀メダルに終わっているのです。金メダリストが9人もいても勝てなかったのは団体の体重の区分にあります。女子は57キロ級、70キロ級、70キロ超級の3選手が出場し、男子は73キロ級、90キロ級、90キロ超級の3選手が出場します。この区分が日本にとって微妙にビトインで、選手選考で迷うのです。

 
 

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パリで輝いたエヴェネプール(1)

2024-08-04 09:13:14 | オリンピック
 2週間前にツール・ド・フランスを終えたばかりとは思えないエヴェネプールの走りでした。1週間前には雨の中の個人TTで現世界チャンピオンの強さを見せつけたエヴェネプールが、ロードレースでも後続に1分以上の差を付けて2個目の金メダルを獲得しました。これは史上初の偉業です。

 これまではロードレースの中でもTTは特殊な種目でスペシャリストがいたのです。それが、近年のロードレースのスピード化の影響か、TTに弱い選手はロードレース、特にグランツールでは総合優勝できない時代になっています。ポガチャルにしてもヴィンゲゴーにしてもツール・ド・フランスを総合優勝する選手は個人TTでも勝っているのです。
 勿論、平坦の純粋なスピード比べではフィリッポ・ガンナのようなトラック選手が強いのは当たり前なのですが、そのガンナを抑えてジロの個人TTをポガチャルは勝っていますし、今回のパリオリンピックの個人TTでもエヴェネプールがガンナを抑えての金メダルだったのです。

 身長が171cmと小柄なエヴェネプールのどこにそんな力があるのかといつも不思議に思ってしまいます。元はジュニアのベルギー代表に選ばれるほど優れたサッカー選手でしたが、自転車競技に転向するとあれよあれよと勝ちまくり、2022年には22歳の若さでロードの世界チャンピオンにまで登り詰めて行きます。昨年は個人TTでの世界チャンピオンになっているのです。2000年生まれの24歳で、今年はツールのヤングライダー賞をポガチャルから引き次いでいます。
 戦前の大方の予想はファンデルプールVSファンアールトのようでしたが、2位・3位にはフランス人のヴァランタン・マディアスとクリストフ・ラポルトが名を連ねました。これは、フランス代表の選出をツールの第1週が終わる迄遅らせたヴォクレール監督の英断が実を結んだ結果だと思っています。本来ピーキングは所属チームや選手個々の判断になることが多いのですが、国別対抗戦になるオリンピックに選手のピークを合わせるのは非常に難しいのです。特にツールから間がない状況では尚更でしょう。

 それを開催地が地元パリだという利点も考慮し、選手の調子をギリギリまで観ての選出だったようです。逆に早々にオリンピックメンバーを確定させていたファンデルプールやファンアールトはオリンピックを意識し過ぎていたように見えました。ファンアールトはシーズン前半に落車骨折があり、当初のスケジュールが狂ってしまった影響もあったのかもしれませんが、ファンデルプールは東京のMTBのXCに続き、優勝候補筆頭に名が挙がりながらまたメダルに手が届きませんでした。

 今年の春のクラシックでは無類の強さを見せつけてたファンデルプールはいったい何処へ行ってしまったのでしょう。ツールの時から調子が良くないのは分かっていましたが、それはピークをオリンピックに合わせているためだと思っていたのですが、本当に調子が悪かったのか、国を背負うプレッシャーなのかは分かりませんが、力を出し切れずに終わってしまいました。
 一方のベルギー勢はレムコ(エヴェネプール)とワウト(ファンアールト)のどちらか調子の良い方で行こうとしていたのか、初めからレムコで狙うことを決めていたのかは分かりませんが、今は純粋にレムコの力の方が上でしょう。それは個人TTでもレムコに敗れたワウトが一番良く分かっていたことかもしれません。
 




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オリンピックを考える(6)

2024-08-03 10:01:28 | オリンピック
 団体戦は強いのが日本選手の特徴です。今回はフェンシング女子が初めての銅メダルを獲得しています。個々の選手の力は劣っていても団体ならこうしてメダルにも手が届くのが日本人の素晴らしいところだと思います。且つて陸上の100m×4のリレーで銀メダルを獲得した時も、バトンの渡し方の工夫がメダル獲得のポイントでした。個の力の差をこうした技とそれをものにする努力で世界と戦えることを、今回は女子のフェンシングがまたひとつ証明してくれました。

 純粋にフィジカルがモノをいう陸上競技が始まると、日本選手は苦戦を強いられることになります。且つては我慢強い日本人はマラソンには強かったのですが、マラソンの高速化に伴い日本人はなかなか勝つことができなくなってしまいました。短距離では決勝進出ができれば良しという状況です。室伏選手がハンマー投げで金メダルを獲得したのは2004年のアテネ大会のことでした。今年は北口榛花選手のやり投げに期待が高まっていますが、純粋に個人の身体能力が問われる陸上競技では日本人選手はどうしても苦戦を強いられることになるのです。

 ただ、これが団体競技になると話が変わって来ます。陸上ではリレー以外はほとんど個人種目なのですが、高さが圧倒的と言われているバスケットボールやバレーボールは団体競技なので、日本も何とか世界に対抗できる可能性があるのです。先日、圧倒的なアウェイの中でフランスを追い詰めた男子バスケットボールや身長差3cmのアルゼンチンを圧倒した男子バレーボール、予選リーグを全勝で1位通過した男子サッカー、2位通過した女子サッカー等、スピードとスキルで世界に挑む日本人選手には大いに期待をしていました。

 ただ、男子サッカーはスペインに3-0で負け、男子バスケットボールもブラジル相手に完敗、男子バレーボールもアメリカ相手に3-1で敗れてしまいました。男子バレーボールはセット率でベスト8に入ることが出来ましたが、サッカーとバスケットは終戦となってしまいました。
 バスケットはやはりフランス戦の惜敗が大きかったと思っています。加えて八村選手が故障で戦線離脱したことも大きなマイナス要因でした。NBAの選手は故障の規定が厳しく、止むを得ないのですし、これがアスリートファーストだと思います。反対に日本の柔道は故障明けの選手や古傷の癒えていない選手が何人かいました。力があっても試合中に故障が再発するリスクを取った選出でしたが、全て裏目に出てしまったようです。試合中の怪我は止む終えない不可抗力ですが、古傷の再発は予想できることなので、全く別物と考えています。
 WBCで源田選手が骨折しながら出場し続けていたのは記憶に新しいと思います。源田選手の場合は守りの要で、怪我が小指ということもあり、プレーに大きな影響はないという判断で、WBCで日本は世界一になりましたが、源田選手はシーズンの前半を犠牲にしてしまうことになったのです。このようなことはアメリカでは考えられないことなのです。他の為に個を犠牲にするという考え方がそもそも薄いのです。所属チームのマイナスになるようなことは、各国を代表する選手であっても決して許さないのです。
 この自己犠牲の精神が日本の団体戦の強さの源でもあるのですが、怪我をしている選手を使うのは、いくら本人が望んでも試合に出場させるべきではないと私は考えています。日本人は怪我を押して出場する選手にエールを送る傾向になりますが、アスリートファーストを第一に考えるのなら、怪我はしっかり治すことをファンも認める必要があるのです。
 3-0でスペインに敗れた男子サッカーですが、ワールドカップでスペインに勝っているので、ここも何とかなるかもと思って見ていましたが、育成では世界最高峰にあるスペインの若い世代はやはりレベルが違いました。カンテラ出身のシャビやイニエスタが後に世界を席捲したように、今回のスペインンのU23にはそんな選手が何人かいました。そこに、欧州リーグを制したオーバーエイジの選手が加わったスペインの強さは別格でした。
 試合を観ている限り、日本は東京オリンピックより選手の能力もチーム力も上がっていましたが、この試合に限っては運が無かったということでしょう。前半の細谷のゴールが本当に微妙なオフサイド判定で取り消され、シュートも2度3度とポストに阻まれていました。どれか1本でも入っていたら流れも変わっていたかもしれません。
 日本は予選を無失点全勝で1位通過を決めましたが、準々決勝の相手はエジプトだと思っていたら、スペインが2位通過で来てしまったのも不運だったと思っています。スペインは決勝の相手はアルゼンチンと見ていて、決勝トーナメントはアルゼンチンの居ない山を選んだというメディアもあるようです。

 ワールドカップでスペインとドイツに勝ったといっても、あくまでも予選リーグでの話。決勝トーナメントでスペインに勝つことは容易ではないのです。今大会のアルゼンチンも予選で1度負けていますが、優勝候補筆頭であることには変わりがないのです。それが強豪国の戦い方なのです。今回のメンバーからA代表へ呼ばれる選手もいるはずですから、2年後のワールドカップに期待しましょう。
 




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オリンピックを考える(5)

2024-08-01 13:20:58 | オリンピック
 男子バスケットボールの予選は完全アウェイの中、フランス代表を追い詰めるも、延長戦の末に敗れてしまいました。八村選手のファウルでの退場や、最後の河村選手のファウルを巡ってSNS上で様々な意見が飛び交っています。柔道での審判の判定に疑問の声も上がっているのも輪をかけてしまっているのかもしれません。
 スポーツであるある以上、審判の判定が全てなのが原則ですが、審判が人である以上誤審は避けられないのもまた事実です。近年はVARの導入等で、正確性を期すようになってはいますが、残念ながらバスケットでは1試合に1度しか認められていないのです。

 1セット毎に2度認められているバレーボールでは、ドイツ代表が日本代表に上手く行使して試合の流れを変えていました。今回の試合ではホーバスヘッドコーチが前半で使い失敗していたので、最後の河村選手のファウル判定にVARが使えなかったのです。これもルールなので、その結果を審判のせいにするのは公平ではないと思います。写真を見る限り河村選手はファウルではなかったようですが、コーチがVARの権利を残していたら結果は変わっていたでしょう。審判も同じ気持ちだったのかもしれません。こうした結果を左右しかねない重要なプレイに関しては、審判団の協議でVAR判定に持ち込むルールを追加しても良いのではないかと思っています。

 ただ、バスケットボールはトラジッションスポーツで、常に攻守が激しく入れ替わるので、その流れを切りたくないという考え方があります。サッカーもそうですが、今はオフサイド判定は線審が旗を挙げますが、最終判定はVARで行われるシステムが導入されています。線審が旗を挙げてもオフサイドが確定するまで試合が続行されているのはそのためです。また、ファウルがあってもファウルを受けた側にボールがある場合は試合を流すというケースもあります。
 審判のせいで負けたとは選手自身が考えてもいないことなので、外野が色々言うのは違いなのかなと思います。フランス相手にここまで戦える今の日本選手は正直凄いと思います。NBAの選手が8人、その中に身長が220㎝を越えるような選手がいる相手に一度は勝利が見えるところまで行っているのですから。ただ、落ち着いてプレーしていれば勝てていた試合でした。そこはこれからの経験です。

 残り16.4秒で4点差、相手の3ポイントが決まっても1点差でまだ勝っているのですから、あそこで3ポイントシュートを無理に止めに行く必要はなかったと思います。こちらの攻撃で1点差、残り時間を考えれば、落ち着いてボールを回していれば良かったのですから。延長でのフランスは残り6秒で同じく4点差でしたが、日本の3ポイントにはガードに行かず、全員がゴールを向いてリバウンドに備えていたのとは対照的でした。河村選手も今後NBAでプレイし、修羅場を数多く経験し、次に繋げて欲しいと願っています。連敗で厳しいスタートになっていますが、最後のアルゼンチン戦に勝てばまだ先へ進む可能性は残っているので、切り替えて次戦への準備をして欲しいと思います。

 私の世代はサッカーの「ドーハの悲劇」を知っています。1994年開催のFIFA ワールドカップ・アメリカ大会への出場国を決めるアジア地区最終予選で日本はグループリーグ首位で迎えた最終第5節イラク戦で、試合終了間際まで2-1でリードしていながら、ロスタイム残り数秒でコーナーキックで同点ゴールを入れられ、韓国に勝ち点で並ばれ得失点差で敗れて、「予選グループ3位」となり予選敗退となってしまったのです。私も眠い目をこすりながら日本のワールドカップ初出場を願いながら観ていたことを鮮明に覚えています。あの時も無理に攻めに行ってボールを奪われた結果でした。これも経験の無さだったと思っています。日本サッカーはこの経験とJリーグの発足によってワールドカップの常連国へと階段を上がって行きましたが、ワールドカップでは未だベスト8の壁が立ちはだかっているのが実情なのです。
 サッカーに比べれば今のバスケットボールはもの凄いスピードで進化を見せていると感じます。昨年のワールドカップで躍動しアジア最上位でパリオリンピックの自力出場を決めているのです。48年間もオリンピックへの自力出場が出来なかったバスケット男子。Bリーグが出来、NBAで活躍する選手も出て来たことで、確実にステップを上がっている感じです。日本は世界ランクが26位なのだということを忘れてはいけないと思います。12カ国しか出られないオリンピックでは、実力は明らかに下で、フランスに勝てていれば 「パリの奇跡」と呼ばれて良いほどのことだったのです。
 




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