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CYCLINGFAN!!

自転車をこよなく愛し、自分の脚と熱いハートで幾つになっても、可能な限り、どこまでも走り続けます~♪

オリンピックを考える(11)

2024-08-11 08:59:55 | オリンピック
 今朝は北口榛花選手の金メダルのニュースで盛り上がっているようですが、その前に スポーツクライミングの女子の競技が終わり、日本の森秋彩選手はリードで最高得点を出したものの、ボルダリングの成績が響き4位でパリオリンピックを終えました。メダルには届きませんでしたが、身長の低い日本人でもここまで出来るという可能性を十分に示してくれた価値ある4位だと思っています。

 身長は日本人としても小柄な154cmで、元々ジュニアの時代からリードを得意とする選手で、ボルダーとの複合のオリンピックに参加するかどうか迷っていた時期もあるそうです。ボルダーを課題として挑んだオリンピックでしたが、身長の低さの影響が出てしまった第1課題でポイントが取れなかったのは止むを得ないことでした。その替わりパワーを要求される第3課題は見事に完登しているのです。上から覆いかぶさるような壁面を登る姿はまさにくノ一でした。

 確かに男子の安楽宙斗選手のようにボルダーとリード両方に秀でた選手も魅力的ですが、森選手のようにリードなら誰にも負けないというのも素晴らしい魅力です。彼女がボルダーにもチャレンジしているのは、リードにも活かせることがあるからでしょう。今回のリードでもフック間の距離があるセッティングもあり、身体の小さな選手に有利にならないような配慮も見られているのです。
 ボルダーもそうですが、小柄な選手が苦戦しそうなセッティングが多かったような気がしています。SNS上では不公平というコメントが見られるようですが、スポーツクライミングに関しては大きさが有利になるとは限らないのです。
 自転車のロードレースもそうですが、単にパワーだけは勝てない競技で、パワーウェイトレシオが重要になるので、重力との戦いは小柄で軽量な選手が逆に有利なることもあるのです。従って、ボルダーで小柄な選手が不利なセッティングになるのは止む終えないのです。そもそもバスケットボールやバレーボールだって小柄な選手は明らかに不利なのですから。それを、日本人のスピードや俊敏性で補っているのが実情なのです。ハイキューの星海光来君ではありませんが「小さいことはバレーボールに不利な要因であっても不能の要因ではない」のですから。

 逆に重力に抗う体操やスポーツクライミングでは小柄で軽量なことがむしろ有利に働くことになるので、オリンピックはあえてボルダーとリードの複合にしているのだと思います。東京ではボルダー・リード・スピードの3種目の複合でした。パリからはスピードが独立しているので、今後、ボルダーとリードが分かれることも考えられます。ワールドカップではそもそも種目別で行われているのですから。
 東京オリンピックから「追加種目」として採用された競技ですが、2028年のロスオリンピックでは「正式種目」になることが決まっています。リードが単独種目になれば森の金メダルは確実なのですが、このオリンピックでボルダーを経験したことは必ず今後の競技人生で活きて来るはずです。最後のリードをトップで終えた後も壁の上を悔しそうに見つめていた森の表情が印象的でした。完登できなかったのが悔しかったのでしょう。小柄な身体で機敏に懸命に一手一手着実に登って行く彼女の姿には感動を覚えました。これぞ日本人という粘り強さを存分に発揮してくれました。ありがとう。
 彼女も筑波大学の3年生で、スポーツだけという選手ではありません。一時は競技を休んで迄進学の準備をしていた期間もあったようです。若干12歳でリード・ジャパンカップを優勝した天才少女は、リードでは無敵ですが、今後、ボルダーとどう向き合って行くのかが楽しみです。
 
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オリンピックを考える(10)

2024-08-10 14:24:39 | オリンピック
 安楽宙斗選手のスポーツクライミングは銀メダルに終わりました。ボルダーの第1課題を一撃で仕留めた安楽選手は第2課題では壁に張り付く忍者さながらに完登。第3課題では天井に張り付く忍者のごとく進み、2回目にトップホールドをつかむかというところまで迫りましたが、身長は168cmと欧米勢と比べるとやっぱりリーチの差があるようで、距離のあるトップホールドをしっかり把持することが出来ませんでした。

 続く第4課題もトップホールドまでの距離があり、2度飛びつきトップホールドに指をかけるところまで行きながら完登できませんでした。素人ながら観ているだけで指先が痛くなりそうな気なり、結構肩が凝りました。見ている人がこうなのですから、当の選手の疲労度は図りしれません。ボルダーをトップの成績でリードに移りましたが、2位との差はわずか1ポイント。後半のボルダーで結構体力が削られてるなあと思っていたら、リードでは力尽きた感じでした。本人もリードがダメだったと反省していましたが、ボルダーの第3・第4課題で体力が削られていたことが大きく影響してしまったように見えました。
 金メダルはジュニア時代のライバルだったイギリスのトビー・ロバーツ選手でした。身長は174cmと決して大柄な選手ではありませんが、この6㎝の身長差はこの日の課題では優利に働いたようです。予選では安楽が圧倒していたのですが、課題によっては得て不得手がある競技のようです。もう少しスタミナが付いて、経験を積んでくれば、4年後のロスオリンピックでは圧倒したクライムを見せてくれることでしょう。

 今回のオリンピックで奮闘しているレスリングでは、今朝も2人の金メダリストが誕生しています。これで金メダルが5個となり柔道を上回りました。最も強化費が多い柔道に比べ、本当にコスパが高い結果だと思います。柔道に比べ歴史の古いレスリングですが、オリンピックの最古の競技のひとつグレコ・ローマンは日本では不振の時代があり、一度はオリンピック参加を見送る議論もあったと聞いています。女子にはグレコ・ローマンは無くフリーだけしたし、男子の過去のメダルは全てフリーでのものだったからです。

 グレコ・ローマンとはギリシャ・ローマという意味で古代から続く伝統的な競技で、欧米ではこちらの方が人気が高いようです。下半身に触れられないグレコ・ローマンは上半身のパワーがものをいい、日本人には不利と言われてきたのです。それが、60kg級の決勝で、文田健一郎選手が中国の選手に4対1で勝ち金メダルを獲得したのです。グレコ・ローマンでの金メダルは、1984年のロサンゼルス大会以来、40年ぶりだそうです。
 77kg級でも日下尚選手がカザフスタンの選手に5対2で勝ち、続けて金メダルを獲得したのです。これまで苦手としてきた種目で金メダルが2個です。得意なフリーが始まったらどうなってしまうのかと思っていたら、新霊長類最強女子の藤波朱理選手が圧巻の金メダル、57kg級でも櫻井つぐみ選手が金、男子57kg級でも樋口黎選手が金メダルを獲得。明日は鏡優翔が6個目の金メダルに挑みます。
 



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SNS時代のオリンピック

2024-08-08 09:36:10 | オリンピック
 SNS時代のオリンピック。選手に多くの激励が届けられる一方で、無責任な誹謗中傷が飛び交うという悲しい現実もあるようです。先日、イタリアとの激闘の末敗れてしまった男子バレーボールの小野寺太志選手へのSNS上での誹謗中傷が問題になっています。

 確かにフルセットのマッチポイントでのサーブをミスしたことは事実ですが、何故、それが誹謗中傷の対象になるのかが分かりません。第3セットでミスすれば負けるというシーンで厳しいサーブを決め続けたイタリアのジャネッリ選手は素晴らしかった。ただ、彼がサーブミスをしたとしてもイタリア国内から彼に対する非難の声が上がることは無かったはずです。理由は簡単で、イタリア人はバレーボールを良く知っているからです。
 現代バレーボールはサーブ&ブロックが主流で、普通のサーブを安全に入れていては勝てなくなっているのです。特に身長差がある日本には厳しいサーブロ入れ、少しでもレシーブを崩し、セッターにAパスを入れさせないことを目指すのは戦術なのです。

 小野寺選手が安全にサーブを入れても、相手のアタックで簡単に点を取られて終わっていたでしょう。こうした知識が無い人が自分の無知をさらけ出すような誹謗中傷をするのは、ある意味国の恥です。そもそも、結果は伴いませんでしたが、強豪イタリア相手にフルセットの熱戦を見せた選手にはリスペクトこそすれ、非難する事すら憚られます。
 これまで日本がオリンピックに自力で出場すら出来ていなかった理由はセンター線が弱かったからでした。ブラン監督になり、センター線を強化することに成功したことが日本がここまで強くなった理由のひとつなのです。そして、そのセンター線で活躍したのが小野寺選手と山内選手なのです。どうしてそんな選手が誹謗中傷を受けなければならないのでしょう。
 おそらく、小野寺選手をSNS上で誹謗中傷している人はオリンピックでしかバレーボールを観ない、アニメの「ハイキュー」も知らない人なのでしょう。こんな無知蒙昧な意見は無視すればいいという意見もあるでしょう。ただ、全てをオリンピックのために捧げ戦ってきた選手の疲れ切った心には、そんな余裕もないはずです。そもそもイジメられる方にも問題があるという考え方が間違っているように、イジメや誹謗中傷それ自体が悪なのです。
 欧米では悪いプレイをした選手や敗れたチームに対しては厳しいブーイングや非難があることは事実です。これはそのスポーツを愛しチームを愛し選手を愛するからこその非難なのです。この国ではスポーツに対して筋違いの非難や、誹謗中傷が生まれるのはスポーツに対する知識や愛情が無い人が無責任に発信してしまうからなのでしょう。こうした無責任な誹謗中傷をする人は少なからずいるので、大切な選手達を守るためにもプラットフォーム側の適切な対応が求められます。
 



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1点が遠かった男子バレーを考える

2024-08-07 08:46:53 | オリンピック
 男子バレーボールのイタリア戦は本当に残念でした。優勝候補のイタリア相手に2セット先取しながらフルセットの末大逆転負けしてしまったのですから。メダル獲得を目指し、最強メンバーで臨んだこの大会。個人的もメダルを期待していましたが、初戦のドイツ戦の敗戦で厳しい戦いを強いられることになってしまったようです。アメリカにも敗れセット率でギリギリベスト8へ進出したものの、準々決勝の対戦相手が世界ランク2位のイタリアになってしまったのです。
 正直、勝つのは厳しいのではと思っていたのですが、ゲームが始まればまさかの2セット先取し、迎えた第3セットも先に20点を取り、後5点というところから、24対21とマッチポイントを迎えたところで勝ったと思いました。スパイクが決まらなくてもサーブの失敗やタッチネット等のミスがあっても勝ちなのですから…ところがイタリアのジャネッリのサーブがさく裂し、デュースの末にセットを落としてしまうのです。

 ネットに掛けてもオーバーしても負けとう状況でサービスエースを決めて来る。これがバレーボールの世界最高峰といわれるセリエAでもまれて来たキャプテンの実力なのでしょう。日本も石川選手や高橋蘭選手など同じセリエAでプレイする選手もいますが、やはり底力が違うなあと痛感させられたシーンでした。たかが1点、されど1点。本当に1点が遠い試合でした。
 ただ、まだ1セット勝っている中で第4セットも奪われ、フルセットもマッチポイントを先に迎えながら、イタリアに屈してしまいました。リベロを除くすべての選手の身長が2m超えるイタリアの高さが、世界の壁に感じてしまいました。日本にも世界レベルのセッター関田選手がいますが、相手のセッターは2mのジャネッリ。スタッツを見てもディグはイタリアの倍近く上げているのに、やはりブロックの差が大きかった。日本は絶好調の西田選手が2セット目に脚を痛めたのが影響していたのかもしれません。彼は今後しばらく代表を休むことを表明しているようです。相当無理をして戦っていたのでしょう。
 これが決勝戦なら満足だったかもしれませんが、準々決勝だったのが残念な限りです。イタリア相手に善戦したともいえるのですが、選手たちはさぞ悔しかったことだと思います。後1点、たった1点が取れていれば勝てていたのですから。男子バスケットボールにしてもサッカーにしても、善戦はするものの結果が伴わないという現実。立ちはだかる世界の壁をどう突き崩して行くのか。この悔しさをバネに、次に向けて切り替えるしかありません。それにしてもバレーボールの神様は酷なほどに残酷です。
 サッカーもそうですが、やはり早い段階から海外でプレイする選手を増やし、その経験を持ち帰ることが求められます。チーム力は勿論ですが、今の日本に欠けているのは個の力だと思います。石川選手のようなスターはいますが、その数が少な過ぎるのです。石川選手や高橋蘭選手のレベルの選手がもっともっと必要です。バスケットでも八村選手クラスの選手がもうひとりふたりいたら結果が少し変わってくるかもしれません。

 バレーボールに関してはブラン監督の後任問題もあります。結局、メダルが取れない競技にお金が回らないという実情から変えていかなければ、競技の底上げにはなって行かないのです。選手の数が多いスポーツなので、海外遠征をするにも莫大な費用がかかります。河合会長が頑張ってくれているようですが、もっと日本の企業などがバックアップしても良いのではないかと思ってしまいます。バスケットボールもホーバス監督が続投するのか不透明な状況です。オリンピックやワールドカップでは選手は勿論ですが、監督も世界を知る人でないと難しいのかもしれません。
 あれだけ素晴らしい選手を揃えながら、ベスト8止まりだった大熊ジャパン。確かに予選を全勝したのに準々決勝でスペインと当たるのは不運だったのかもしれませんが、ここはどこが来ても勝てる力が無いと世界で戦うのは難しいのです。
 バレーボールに関してはイタリアとフルセットを戦える力は十分に見せてくれましたから、やはり初戦のドイツ戦を落としたのが悔やまれます。石川の不調でアメリカに屈したのも痛かった。メダルに手が届く戦力でも負けてしまう。選手たちは全力で戦ってくれましたが、負けても止む無しとは思いたくありません。石川選手が言うように「世界との差は経験の差」なので、次のオリンピックはもっとセリエAで経験を積んだ選手が増えてくれることを願っています。

 身長に関してはどうしようもありませんので、ブロックに関してはどうすれば良いのかわかりません。今のトレンドのサーブ&ブロックでは分が悪いのは致し方ありません。ただ、ディグに関しては世界トップといって良い守備力はありますので、速攻のスピードやスパイクの工夫等でなんとか壁をこじ開けるしかないのです。ただ、今大会は西田選手は機能していましたので、牛島若利君のようなサウスポーのOHがもう少し増えてくれればと思っています。プロ野球では大谷翔平のように右投げ左打ちで成功している選手がいるので、バレーボールでもそういう育成の仕方はないのでしょうか?
 



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オリンピックを考える(9)

2024-08-06 14:49:22 | オリンピック
 パリオリンピックも終盤に入り。男子体操では20歳の岡慎之助選手が団体・個人に続き種目別の鉄棒でも金メダルを獲得しました。あの内村航平選手でさえなし得なかった偉大な記録です。幼い頃から高い才能を認められながら、前十字靭帯断裂という大怪我があり、この大会でここまでの活躍を見せてくれることを予想した人は少なかったのではないでしょうか。

 エースの橋本選手の怪我がある中で、男子団体で鉄棒での奇跡の逆転劇を生んだのも岡選手の堅実な演技でした。決してずば抜けた技があるわけではない選手なのですが、とにかく堅実でミスが無いのが最大の特徴で、彼の安定した演技が有力な選手たちのミスを生むという流れで、最後の種目別の鉄棒でも、彼の後の演技者が次々とミスをし自滅して行ったのです。
 誰もがこいつモッテるなと思ったことでしょう。こうした運も味方しないと一発勝負の舞台で世界の頂点には立てないのかもしれません。且つてはお家芸ともいわれた時代もあった男子体操ですが、日本の選手がひとりで3つの金メダルを取るのは1972年ミュンヘン大会の加藤沢男選手以来52年ぶりのことなのです。

 活躍が目立った男子体操の他にも3つのメダルを獲得しているフェンシングの躍進も今大会の大きな出来事でしょう。2008年北京五輪の男子フルーレ個人で、日本勢初の五輪メダルとなる銀メダルを獲得した太田 雄貴氏の活躍を知る迄、この国ではほとんど注目されていなかったフェンシングですが、今や日本のお家芸になりうる競技へと変貌しつつあるのです。

 柔道に次ぐ予算を得て、積極的にフランス人コーチを招聘し、海外遠征で強敵相手に戦う機会を増やし、確実に実力を付けて来た結果なのです。体は小さくても動きが機敏な日本人向きの競技なのは間違いありませんが、ほとんど何の実績も無いところからここ迄持ってきた関係者には頭が下がります。JCF(日本自転車競技連盟)も見習って欲しいと願っています。何度も繰り返しますが日本人には自転車ロードレースは向いているはずなのです。


 
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