『箱入り息子の恋』

 

□作品オフィシャルサイト　「箱入り息子の恋」
□監督・脚本　市井昌秀
□脚本　田村孝裕
□原案　マックス・マニックス
□キャスト　星野 源、夏帆、平泉 成、森山良子、大杉 漣、黒木 瞳、竹内都子

■鑑賞日　６月１６日（日）
■劇場　１０９ＣＩＮＥＭＡＳ川崎
■cyazの満足度　★★★★（５★満点、☆は０．５）

＜感想＞

　　　“箱入り娘の恋”って常套手段なテーマなれど、
　　　「箱入り息子の恋」って突然むちゃぶりされたようなテーマで、それだけで興味倍増な感じでした（笑） 

　しかもミュージシャンである星野 源がその箱入り息子を演じるというのも一興（笑）
　市役所に勤める３５歳になる天雫（あまのしずく）健太郎（星野 源）は、１３年間、無遅刻、
　無欠勤、お昼は自宅に帰って済ませるか、吉牛。　定時で真っ直ぐ自宅に帰る、言わば
　自宅と役所の往復だけの人生。　帰ってからも部屋に籠もって格闘ゲーム三昧。
　唯一の友はペットのカエルだけ（笑）　今日の今日まで女性とも付き合ったことがない。
　内気な性格で且つ愛想がないから当然だとも言えるのだが・・・。
　見かねた両親（平泉 成・森山良子）は親同士が婚活する“代理見合い”に参加した。
　そこで今井家の一人娘・奈穂子（夏帆）とお見合いするチャンスを掴んでくる。

　ところが、見合いの席で実は奈穂子は目が見えないというハンデを突きつけられる。
　奈穂子の父親（大杉 漣）は会社社長で健太郎のことを全く気に入らない。　ところがこの
　お見合いの前に伏線があり、ある雨の日に健太郎は雨宿りする奈穂子を見て、自分の傘を
　差し出していた。　奈穂子の母（黒木 瞳）はその傘に貼ってあった名前を見て閃く。

　健太郎は初めて奈穂子に一目惚れ。　目が見えないハンディを背負えるかと言う奈穂子の父親に、
　「あんたは奈穂子のな本当の気持ちがわかっていない。」と正面から対抗する。
　この映画は、目が見えないという片方のハンディは、履歴書にあるような杓子定規で
　定例のような人間評価ではなく、“見えないからこそ見える真実があるという”ことを描いている。

　幾つかの障害が逆に、健太郎と奈穂子の絆を硬くしていき、幸せな方向を自分たちが
　切り開いていく。　内気な健太郎が、奈穂子と出会ったことで以前の健太郎から脱皮しよう
　とし、それまでの親の言うことを真面目に聞いていた奈穂子がはっきり自分の意思を
　曝け出すようになる。　奈穂子の父親の大反対でシリアスなストーリーになるかと思いきや、
　母親の援護射撃と、二人の純粋な愛情がに、観ている側が二人にエールを贈ってやまない。
　最後の最後は健太郎がカエルになって（笑）、裸で走り回ったりして・・・
　おいおいどっちに行くんだい的な・・・　ってまあオチはいいかっ

　いくら傷つこうとも、奈穂子に合うために、今まで踏み続けていた心のブレーキを離し、
　アクセル全開で奈穂子への恋を成就させようと走り続ける健太郎に思わず同情してしまう。
　そんな健太郎演じる星野 源がイコールに見えてしまって、しかも滑稽だし。
　夏帆も映画としては『きな子 ～見習い警察犬の物語～』が印象に残っているが、
　今回は目が見えないという設定だったので、難しい演技を上手くこなしていたと思う
　しかし何よりもおいしかったのは、夏帆とのラブシーンがたっぷりあった星野 源だろうか

　意外だったのは森山良子の演技が上手かったこと。　撮影途中で「直太朗」なんて言って
　たりしたらＮＧだったろうなぁ（笑）
　あと、大杉 漣が映画やドラマの度に、その役柄に合うようにメガネを変えると言っていたことが
　あったが、今回はメガネなしだった。　会社社長役だから、メガネかけたほうが品があって
　よかったかも（笑）
　この天雫家（平泉 成・森山良子）ｓ今井家(大杉 漣・黒木 瞳）の戦いも面白かったです。
　何か真綿に包まれたような純粋な恋愛模様に、笑いもあって、心温まりましたよ
　
　この映画、９月にカナダで開催されるモントリオール世界映画祭の「ワールドシネマ部門」に
　特別招待されたとか。

　　ちなみに「天雫」って姓があるかどうか調べてみたら、ありませんでした。
　　ただ「天 雫（あま  しずく）さんはいましたし、子供の名前に「天雫（まな）」とつけた人がいるようです