人質は首都、東京。
タイムリミットは10時間。
■監督・脚本 阪本順治
■脚本 長谷川康夫
■原作 福井晴敏 「亡国のイージス」
□オフィシャルHP http://aegis.goo.ne.jp/
原作が110万部を超えるベストセラーとなった福井晴敏氏の「亡国のイージス」。 監督阪本順治、主演は日本アカデミー賞最優秀主演男優賞に輝く真田広之、中井貴一、佐藤浩市、寺尾 聰。 ハリウッドのスタッフを結集させた話題作。
おススメ度 ⇒★★★☆ (5★満点、☆は0.5)
cyazの満足度⇒★★★★
これだけの役者とスタッフを集め、原作もベストセラーとなっているこの映画、予告編が流れた当初から気になっていました。 “イージス”艦を中心に閉鎖的な空間の中でドラマが展開してされていく。
まず注目は役者陣。 こんな一等賞物の役者を使える阪本監督は幸せ者だと思った。 監督のスケール以上の期待が、監督の力量以上に発揮されることは間違いないところだろう。 真田広之はもともとアクション出なので、こういった演技はお手の物だろう。 加えてこの映画では重要なポイントでもある如月(勝地 涼)との師弟愛的な微妙で繊細な演技は、『たそがれ清兵衛』で体得済。 素晴らしい演技を魅せている。 ただもう少し背が欲しいところだ(笑)
そして『雨上がる』、『半落ち』で実に見事な演技を見せた寺尾 聰。 再び最近は音楽活動を始めたということで演技以外でも精力的に動き出した彼だが、この映画でもその誠実で部下からの信頼感が扱った彼が、反旗を翻す役を上手く観せていた。 ただ息子との関係、妻との関係はもう少し細かい伏線がしかれていても良かったような気がする
ヨンファを演じる中井貴一、DAISの内事本部長を演じる佐藤浩市。 この二人を見てると、あの『壬生義士伝』の二人の素晴らしい演技対決が脳裏に甦って来る。 今回は直接対決する演技は観れなかったものの、双方持ち味を出した演技はやはり実力どおりだと思う。 特に中井貴一は日本人離れした風貌(失礼)で、某国工作員役は適役だったかもしれない
僕の大好きな原田芳雄。 今回は内閣総理大臣という不似合いな役だが、僕が見ている限り、彼流の総理を演じているところが、緊張した極面にありながら、彼独特のユニークでかつコメディ的要素で楽しませてくれた。 独り言のようなちょっとした一言はまるで彼のアドリブではないかと思うような場面がいくつかあった。
以外で特筆できるのは、工作員のドンチョルを演じる安藤政信と、同じく女性工作員役を演じるチェ・ミンソだ。 二人とも殆どセリフもなく、内面的から出てくる冷徹さと敵対心は彼らの演技に十二分に感じることが出来た。 安藤クンはこういう役が恐らく初めてだったと思うので、是非この演技は今後の彼のステップアップに繋がるものだと思う。 チェ・ミンソと如月、またチェ・ミンソとヨンファ、なかなか目の演技が微妙で良かった
今回、ノーマークだった如月 行役の勝地 涼。 彼はまだまだ知名度もない若い役者だが、今回の存在感は素晴らしいものがあった。 過去に深い心の傷を負いながら、重大任務についた冷酷なこの役をよくこなしていた。 こういう役柄をチョイ売れの中途半端な若い役者が演じてしまっていたら、この映画は台無しになっていたことだろう。 実際彼はこの映画に臨む前に、自衛隊に一週間入隊し、また過酷なアクションのトレーニングを積んできたという。 同じアクション俳優だった真田広之とのそのへんの息もピッタシだし、微妙な心の揺れと、監督から要請のあった笑うことを“封印”し、どのシーンを撮るときも、目の鋭さを強調され、姿勢と歩き方も何度も指摘され、表情がぶれないことを約束事とされたという。 今後が期待できる役者だと思う
大看板の役者ばかり揃えても、役者の本来持つ個々の特性が引き出しきれないケースが過去結構あった。 この映画も観る前にはそういう懸念が脳裏を掠めた。 だが4人の主役たちは、臆することなく互いを干渉せず、いい映画に仕上げてくれたように思う。
映画は脚本だと思う。 今回の脚本はあの『ホワイトアウト』の脚本家長谷川康夫だった。 テンポと柔軟性のある重厚な脚本はこの映画を素晴らしいものに仕上げている。 長谷川氏自身が原作者の福井晴敏に会い、ためらいながら「書かれているのは浪花節ですね」と話すと、福井氏がにっこりして「そうなんです。浪花節なんですよ」と返したのを聞いて、脚本を受け持つことを決めたそうです
約3億円をかけたイージス艦のセット、実物の約2/3(長さ77m、高さ27m、幅21m)のスケールとはいえ、ちょっとこれは実物を見てみたい気がしますねぇ~
<追記>
女性が殆ど登場しないこの映画、チェ・ミンソ以外では原田美枝子さんが出演していましたが、短いセリフの中にすべての“想い”を注ぎ込んでいた演技は絶妙の匙加減だと思いました。 もしそんな演技に拘って阪本監督がキャスティングしたとしたら、「阪本監督、あんたはエライ!」
余談ですが↓
原田美枝子さん、石橋 凌ご夫妻を知るプロデユーサーを僕も知っているのですが、打ち合わせに訪れると原田さんがいつも手料理を作って歓迎してくれるそうです。 あの原田美枝子さんがですよ!! うらやますぃいではないですか~^^ 今度行くときは僕も「私を原田家に連れてって!」とそのプロデューサーに言っているのですが(笑)?!
昔、芳雄ちゃん家の新年会(忘年会かも)には色んな芸能人が集まったらしいのですが、な、なんと、料理を作っていたのはあの桃井かおりさんだったとか@@?! しかも一般人も紛れ込んで飲んでいたらしくて(笑) 今度紛れ込んでみようかなぁ・・・。
求む!芸能人宅に出入りできる方^^
原田芳雄さん、私も好きです。総理のひと言、ほとんどつぶやきが、毒があって全てを言い表しているというか。本当にさりげなく上手で、あのセリフが書ける脚本かは凄いと思います。原作にあるのかな?
安藤政信さんも良かったし、お気に入りの真木蔵人の使い方にもグッときました。
阪本順治監督は本当に男臭くて格好が良いですね!
厳しい評価(特に試写会をご覧になった方に多いような気がしたのはなぜだろう。しかも「試写会で(タダだったから)良かった」だけなんて書かれている。勘弁して欲しいです。「良くない」と思われるなら、公開されてから記事にして欲しいと思いました。費用をかけて招待した人たちが、主催した人と作品のことをあしざまに、しかも下手をすると公開前に批判する、こういうこと、cyazさんはどう思われますか?)も、たくさんあったので、cyazさんの評価がとても気になっていました。
良かったー! 勝地くん、いいですよね!
原田芳雄は、本当にうまい! あの役は、難しいと思います。また、観にいく予定なんです>これ!
私も彼の抜擢はバッチリはまってたと思います!観客動員だけを気にすれば、某アイドルグループからの配役が妥当なんだろうけど、舞台の彼を見て決めた監督に拍手です脚本のいきさつ、そんなことがあったんですね!だから良い物に仕上がったのかも
最後は結構泣けてきて、劇場をでたら人がいっぱいならんでて恥ずかしかったですっ
(TBありがとうございましたっ)
>総理のひと言、ほとんどつぶやきが、毒があって全てを言い表しているというか
そうですね、芳雄ちゃんのつぶやきがツボにヒットし、劇場であの緊迫感の中で笑ってのは僕だけでしょう(笑)
>本当にさりげなく上手で、あのセリフが書ける脚本かは凄いと思います
多分、芳雄ちゃんのアレンジだと思いますが^^
>阪本順治監督は本当に男臭くて格好が良いですね
ですね!
男臭いで思い出したので、原田美枝子さんのこと追記しました^^ありがとうございます!
>しかも下手をすると公開前に批判する、こういうこと、cyazさんはどう思われますか?
お答えします~(笑)
僕も多くの試写会に行っていましたが、特に新聞(或いは朝昼夕のTV)等で試写応募を募っている場合、時間に余裕のある人たちの応募が多いわけで・・・。試写会当たったからと連れ立って行かれる方も多く見受けられます。つまり本当に観たい人が観るとは限らないと言うことですね。
試写会のレビューは僕は見ません。上記のような理由からです。
ロクに映画を観ないで映画批評する某映画評論家のようなレビューは目にしたくありません(笑)
2回目ご覧になって新しい発見があれば、是非また聞かせてくださいね!
>舞台の彼を見て決めた監督に拍手です
そうですねぇ、目の力が決めてだったのかなぁと思います^^
>劇場をでたら人がいっぱいならんでて恥ずかしかったです
へぇ~、ちゃんと形を整えてから出ないとダメですね(笑)・・・m(_ _)m
やっとcyazさんの感想が読めてうれしく思います(笑)
この作品、ついつい原作先に読んでしまったんですよね^^;
ついでに、それ以前の作品まで手を出しちゃってたので
微妙に絡んでいる内容など、すっごく楽しく読めていて
楽しみにしていた猫だったのです(笑)
仙石と如月行との関係なんかクライマックス近くは泪こぼしちゃってましたから^^;;;
まっさらな状態で映画観てたら、もっと感じるものがあったかも・・・と思っています。
そういう意味では、残念な作品になってしまったのですが、
キャスティングは、とってもイメージに合っていて(笑)うなづきながら観てました♪
原田芳雄さんの意外な梶山総理姿と、あの会議室の雰囲気はいそかぜの中とはほんっと対照的で
ある意味、いまを象徴してるような感じがしましたっけ
大した感想かけないのにそう言って戴けて嬉しいですよ^^
僕は原作を読んでいないので深い輪郭まではわかりませんでしたが、
流されないストーリーという面では納得のゆくところでした。
でも「ん?はぁ?」と言うところもありましたが、芳雄ちゃんに免じて(笑) 許しました!
次は大和ですかねぇ(笑) ^^
なかなか、俳優陣の演技はよかったですね~。
私も原田さんは良かったです、それと岸部さん♪
脱力系(笑)
力のこもった艦内と、温度差のある政府関係者ってところがおもしろいですよね。
脚本が「ホワイトアウト」と同じ方なのですか?
あ~~、何となくわかります。匂いが同じですね。
男臭さが感じられました♪
ストーリー的にはちょっとよくわからないところが多かったのですが、俳優さんの個人の演技は良かったなあと思いました。
>力のこもった艦内と、温度差のある政府関係者ってところがおもしろいですよね
確かにそうでしたね^^
芳雄ちゃんや一徳さんのテイストが際立っていました(笑) ?!
>匂いが同じですね
そそ、確かに匂いました^^