56.火山旅
旅は字のごとく旅行を意味する卦ですが、名所巡りをするような観光旅行ではなく、いわば傷心旅行や療養のための湯治に近いイメージです。普段の慌しい日常から離れ、リラックスやヒーリングを求める心境から別の土地に出かけるという感じ。また、旅卦は放浪という意味も含んでいます。帰る場所(約束の地)とか心の安息所を探す日々。そして自分の才能を活かせる場の希求。就活や婚活。定住することなく各地を転々としながら生活する人や派遣社員を長年続けている人、カタツムリやヤドカリのように車で寝泊りする人(「ハウルの動く城」みたい!)などを表わしています。さすらいの流浪人。
それから、旅は現実的な放浪だけでなく、精神的な意味での遍歴にも当てはまります。何人もの師匠の下を訪ねては教えを請うたり、色んなジャンルの本やアートに触れたり、学問や宗教・精神世界の遍歴を重ねたり、恋人を短い期間で何人も変えたり…と人によって様々です。そうした行為の中で、本当に自分に合うものを見つけ出そうとしているのかもしれません。ただ、あまり甲斐性がないというか現実感の希薄な時期なので、心のつながりを求める程度ならいいですが、具体的な関係を築くには不安を感じることが多いでしょう。外卦離というパッと見の魅力に惹かれて安易に飛び込むのではなく、ちゃんと内卦艮としての着実さ・信頼できる人格があるかどうかを確かめると良いと思います。同時に、自分自身も信頼に値する人間でありたいという願望を持つ傾向があります。
綜卦は雷火豊。豊卦は豊かさの象徴ですが、これはひとえに「親の七光」的なところがあって、どこか世間知らずのお嬢様・お坊ちゃん風の気質を持っています。なまじお金に余裕があったり権力があるために、わがままとか甘えた性格になりやすく、他人に対して居丈高に振舞いがちです。心当たりがある人は意識してセーブした方がいいと思います。親などの後ろ盾がなくなったとしたら…という状況を想定して、普段から自分自身の才能を磨きましょう。仮に何らかの事情で独りになったとしても逞しく生きていけるように(旅卦)、血気盛んな内に実力を備えておくことが重要です(豊卦)。なお、親や上司の期待とか仕事・学業での責務に息苦しさを感じる人もいます。その場合は、自分が真に求める生き方と周りが期待する生き方とが合致しているのかを良く考える必要があります。
裏卦は水沢節。節は節度・制限・区分・管理・関節といった意味です。古典的には竹の節のイメージ。ドミノの要所要所に入れるストッパーや、空間を有効利用するための間仕切り、BOXなどを考えてもいいです。区切ることでそれぞれの場所に意味が生まれる。例えば年月日時の時間の区切りがそうですし、国境や県境などの空間の区切りもそうです。占いで言えば、占星術の12サインや12ハウスも、東洋占術の干支も同様です。一つながりとしての全体を個々に分割することで、各々に価値や意義を割り当てています。旅と節で陰陽は異なりますがベースは同じ。旅では豊で集中化され高められた力を分化して個別の経験として処理するようになり、節では渙で分散しそうになっているものを危機管理または自主規制して、抑止したり整理整頓するのです。
類似関係は地雷復。屯&晋から共に22番目の卦。22は3巡目の4(4→13→22)。内向性とか受動性が一段と強まった4です。単なる4よりもカバー範囲が広がってはいますが、意味の基本はやはり土台を固めることです。21である剥や豊で山が崩れ、あるいは頂点を過ぎたことで自分の立脚点に不安を感じるようになった人は、もう一度グラつく足元(地盤)を固めたいと思うし、世間を渡っていく力が足りなければ資格を具えるなどの必要性に駆られます。この不足感(満たされない思い)を埋め合わせようという心情が、旅での自分探しや復での人生のリスタートを誘発するのです。ここではないどこかにオアシスや理想郷があるのではないかと考えたり、違う仕事や新しい人間関係に身を置こうとしたり、心機一転して汚名返上・名誉挽回したいと切望するようになるわけです。
補完関係は天沢履、その先のヴィジョンは地天泰。自身と統合することで欠損を充填しようとするのが補完関係なので、孤独な旅を支えるためには、天沢履の“自分で自分を鼓舞する性質”が是非とも必要です。誰にも頼れない状況下でも、自分自身を信じて進んでいけるかどうか、その強さを得るためには「虎の尾を踏むような危険」さえも乗り越えていける強さがなくてはなりません。そのためには、旅の恥はかき捨てではなくマナーを弁えた言動が要求されますし、何より実践の場でやり繰りできるだけの能力が絶対条件です。
補完する関係と言っても、実際にはその卦にとっての挑戦分野に当たるので現実には厳しいケースが多いですが、どこに行っても通用するような力を具足できれば、地天泰のヴィジョンが現実のものになります。旅先で気に入った場所に腰を落ち着けることも自由自在でしょうし、人々との出会いや別れも素直に受け容れることができるでしょう。さらに、結婚相手を見つけて幸せな家庭を築くことも、適職にありついて磐石な日々を送ることも夢ではなくなるはずです。大概は、前段階として相当の努力をする覚悟が求められますが、それをしている人達は世間には大勢いますし、見知っている人の中にもいるでしょう。そして、たぶんあなたにもできます。人それぞれやり方は違っても、次第に守備範囲を広げていくことは誰にでも可能だからです。
<爻意は後日、追加更新します。>
旅は字のごとく旅行を意味する卦ですが、名所巡りをするような観光旅行ではなく、いわば傷心旅行や療養のための湯治に近いイメージです。普段の慌しい日常から離れ、リラックスやヒーリングを求める心境から別の土地に出かけるという感じ。また、旅卦は放浪という意味も含んでいます。帰る場所(約束の地)とか心の安息所を探す日々。そして自分の才能を活かせる場の希求。就活や婚活。定住することなく各地を転々としながら生活する人や派遣社員を長年続けている人、カタツムリやヤドカリのように車で寝泊りする人(「ハウルの動く城」みたい!)などを表わしています。さすらいの流浪人。
それから、旅は現実的な放浪だけでなく、精神的な意味での遍歴にも当てはまります。何人もの師匠の下を訪ねては教えを請うたり、色んなジャンルの本やアートに触れたり、学問や宗教・精神世界の遍歴を重ねたり、恋人を短い期間で何人も変えたり…と人によって様々です。そうした行為の中で、本当に自分に合うものを見つけ出そうとしているのかもしれません。ただ、あまり甲斐性がないというか現実感の希薄な時期なので、心のつながりを求める程度ならいいですが、具体的な関係を築くには不安を感じることが多いでしょう。外卦離というパッと見の魅力に惹かれて安易に飛び込むのではなく、ちゃんと内卦艮としての着実さ・信頼できる人格があるかどうかを確かめると良いと思います。同時に、自分自身も信頼に値する人間でありたいという願望を持つ傾向があります。
綜卦は雷火豊。豊卦は豊かさの象徴ですが、これはひとえに「親の七光」的なところがあって、どこか世間知らずのお嬢様・お坊ちゃん風の気質を持っています。なまじお金に余裕があったり権力があるために、わがままとか甘えた性格になりやすく、他人に対して居丈高に振舞いがちです。心当たりがある人は意識してセーブした方がいいと思います。親などの後ろ盾がなくなったとしたら…という状況を想定して、普段から自分自身の才能を磨きましょう。仮に何らかの事情で独りになったとしても逞しく生きていけるように(旅卦)、血気盛んな内に実力を備えておくことが重要です(豊卦)。なお、親や上司の期待とか仕事・学業での責務に息苦しさを感じる人もいます。その場合は、自分が真に求める生き方と周りが期待する生き方とが合致しているのかを良く考える必要があります。
裏卦は水沢節。節は節度・制限・区分・管理・関節といった意味です。古典的には竹の節のイメージ。ドミノの要所要所に入れるストッパーや、空間を有効利用するための間仕切り、BOXなどを考えてもいいです。区切ることでそれぞれの場所に意味が生まれる。例えば年月日時の時間の区切りがそうですし、国境や県境などの空間の区切りもそうです。占いで言えば、占星術の12サインや12ハウスも、東洋占術の干支も同様です。一つながりとしての全体を個々に分割することで、各々に価値や意義を割り当てています。旅と節で陰陽は異なりますがベースは同じ。旅では豊で集中化され高められた力を分化して個別の経験として処理するようになり、節では渙で分散しそうになっているものを危機管理または自主規制して、抑止したり整理整頓するのです。
類似関係は地雷復。屯&晋から共に22番目の卦。22は3巡目の4(4→13→22)。内向性とか受動性が一段と強まった4です。単なる4よりもカバー範囲が広がってはいますが、意味の基本はやはり土台を固めることです。21である剥や豊で山が崩れ、あるいは頂点を過ぎたことで自分の立脚点に不安を感じるようになった人は、もう一度グラつく足元(地盤)を固めたいと思うし、世間を渡っていく力が足りなければ資格を具えるなどの必要性に駆られます。この不足感(満たされない思い)を埋め合わせようという心情が、旅での自分探しや復での人生のリスタートを誘発するのです。ここではないどこかにオアシスや理想郷があるのではないかと考えたり、違う仕事や新しい人間関係に身を置こうとしたり、心機一転して汚名返上・名誉挽回したいと切望するようになるわけです。
補完関係は天沢履、その先のヴィジョンは地天泰。自身と統合することで欠損を充填しようとするのが補完関係なので、孤独な旅を支えるためには、天沢履の“自分で自分を鼓舞する性質”が是非とも必要です。誰にも頼れない状況下でも、自分自身を信じて進んでいけるかどうか、その強さを得るためには「虎の尾を踏むような危険」さえも乗り越えていける強さがなくてはなりません。そのためには、旅の恥はかき捨てではなくマナーを弁えた言動が要求されますし、何より実践の場でやり繰りできるだけの能力が絶対条件です。
補完する関係と言っても、実際にはその卦にとっての挑戦分野に当たるので現実には厳しいケースが多いですが、どこに行っても通用するような力を具足できれば、地天泰のヴィジョンが現実のものになります。旅先で気に入った場所に腰を落ち着けることも自由自在でしょうし、人々との出会いや別れも素直に受け容れることができるでしょう。さらに、結婚相手を見つけて幸せな家庭を築くことも、適職にありついて磐石な日々を送ることも夢ではなくなるはずです。大概は、前段階として相当の努力をする覚悟が求められますが、それをしている人達は世間には大勢いますし、見知っている人の中にもいるでしょう。そして、たぶんあなたにもできます。人それぞれやり方は違っても、次第に守備範囲を広げていくことは誰にでも可能だからです。
<爻意は後日、追加更新します。>
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