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坎為水九五の解釈

2011-08-21 12:28:53 | 易の解釈

これといった資料(データ)がなかったこともあり、構造的な面での考察から1時間ほどでババッと書きました。思い違いをしている可能性もありますが、とりあえず現時点での考えを書いたつもりです。参考になれば幸いです。

いずれ、もっとデータが集まった時には、再考して書き改めるかもしれません。

 

◇坎為水 九五

水はその性質から高きから低きに流れるもの。わざわざ最上部(上爻)を通るのは不自然です。それゆえに、坎卦の険難を脱する最善策はこの九五にあり、次善が比爻の六四となります。上六まで上り詰めようとすることは人為的に自然に抗う行為であり、実のところそれこそが坎として難事をもたらしている元凶だと言えます。いつも作為的に事を運ぼうとすれば、やがては自業自得の因果の鎖に絡み捕られて苦しむことになります。

さて変卦の師六五では、「他国からの侵略に際しては有能な指揮官を立てて迎え撃つべきで、そうでない者を将帥にすれば、いかに大義ある戦いといえども負け戦になる」と言っています。師では集団を率いる場合の適任者の重要性を謳っており、その意味内容はこの坎九五にも通じます。道理や自然の摂理に沿う気持ちこそが危難を潜り抜けるための鍵。適格でもないのにしゃしゃり出ると失敗します。つい野心や利得に駆られて存在を主張したくなるかもしれませんが、下手に飛び出せば出る杭は打たれる式に憂いを見るのは必然ですから、ここで思い止まらねばなりません。坎から坤に変化するように易しい道を探して、素直に地道な生き方を選択することが肝心です。

または、もし組織的な働きかけとして強い力(アイデアや技術など)を持っているならば、それを仲間内の利権や我欲のために使うのではなく、社会や人々の幸せに役立てるようにして下さい。それならば周りからとやかく言われたり、天に唾する形で苦しむことはないでしょうし、ずっと良い形で自分自身にも恩恵が返ってくるはずです。師卦の将帥に五常の徳(仁義礼智信)が必須なように、坎卦の勇者にも自己に対する厳しさと人々に対する誠心が求められています。他の訓示としては、戦国武将の黒田如水が創ったとされる水五則や老荘思想などを参照にするのも良いと思います。



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