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離為火 上九の解釈

2011-08-31 23:58:31 | 易の解釈

◇離為火 上九

離卦の天板部、つまり火の先端で理屈上は最も熱いところですが、内卦にも離(火)があって既に酸素を消費して燃えています。そして九四ではその炎に焚かれたり煙に燻られて苦しみ、六五では沁みる目で涙を流しました。当然、上九では熱や煙を嫌って危険を回避しようとするでしょうし、できる限り身近な者達をはじめとして救える人は救いたいと思うのが人情でしょう。

六五では応爻や比爻での同情的な関係においてオープンマインドになりましたが、上九では知恵を巡らせて影響の及ぼせる範囲全てに手を打とうとします。誰も思いつかないような方法で事態を切り抜けようとすることもあるでしょう。ただし、元々離卦は二律背反の卦です。見方次第では、周りが苦しんでいるのを横目に利を貪るような狡賢さを示すこともあり得ます。よく「戦争で誰が一番得をするかと考えてみれば…」ということが言われますが、そういう状況に立つ可能性もあるわけです。

変卦は離が雷となって豊上六。そこには繁栄の極致にあった者の落日の姿が描かれています。豊かさから孤独な旅への変遷。この栄枯盛衰の奔流は皮肉にも離上九の後ろを流れています。イメージ的には、ゼロサムゲームでの勝者や前もって取り分を得ておく立場の人間の末路に近いかもしれません。また裏卦の坎上六もそうですが、結果を判断するには長期展望や大局観が求められます。

加えて当事者の人徳(良心)と、得た情報・直感をポジティブな方向に活用するための知恵、そして行動力。これを誤って悪知恵としてネガティブな方向性に使ってしまわないように心を引き締めて下さい。処置の仕方次第でその後の在り方が大きく左右されます。「人として大切なことは何か、何を守るべきか」を意識して行動することが肝心だと思います。

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「人はその職業で大きな成功を収めると、五感を失う。

視力が失われる。絵を見る時間がなくなるからだ。

音が消える。音楽を聴く暇がないからだ。

言葉がなくなる。会話をするいとまがないからだ。

物と物との関係である、釣り合いの感覚もなくす。

人間性が消えるのだ。」【ヴァージニア・ウルフ】



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