Cabin Pressure(脚本:ジョン・フィネモア 出演:ベネディクト・カンバーバッチ他)

イギリスBBCのラジオ・コメディ CABIN PRESSURE について語ります。

S4-4 Wokingham(後)

2013-07-13 07:21:04 | 日記
後半です。


 ↓



(ドアの開く音)
キャロリン:さて、では。帰国、準備、万端、なの?
ダグラス:うん。準備、完了。君は?全員、席に、つい、てる?
キャロリン:ええ。全員、座席、、もう!この、遊び、うん、ざり。
ダグラス:私も、同感。
キャロリン:私達、上手、すぎ、るの。引き、分け、にし、ない?
ダグラス:そう、すべ、きだ。うん。
(沈黙)
キャロリン:でも、君は、まだ、1音、以上、ある、単語、使う、こと、して、ない、のね。
ダグラス:君も、同様、にね。
キャロリン:ええ。
ダグラス:そう。では、どう、やら、王手、には、ほど、遠い。
キャロリン:ええ。でも、そう、なの?
(ピンポン)
ダグラス:おい!
キャロリン:良い、日を、皆様。我々、離陸、まで、あと、少し、です。でも、その、前に、少し、話を、その、、前で、帽子、被る、人物、から。
ダグラス:ああ。感謝、する。(インターコム)では。やあ、みな、さん。本日、搭乗、頂き、私は、大変、光栄、です。この、機の、短い、旅は、、、ここ、から、UK、まで。私の、名は、ダグ、、ス、ミス。私が、本日、皆様、と、飛行、しま、す。飛行、時間、は、約1、時間。そして、高度、は、、、大変、高い、です。では、これ、から、皆様、には、、先程、話し、た、人、から、の、機内、での、安全、設備、の、説明、を、聞い、て、くだ、さい。
キャロリン:あり、がと。こう、しま、しょ。前の、席に、ある、案内、を、読ん、で、くだ、さい。
ダグラス:ああ、


(ジグソーパズルの音)
マーティン:端っこがあったよ、アーサー。
アーサー:ありがとう、スキップ。
サイモン:(玄関先で)ハロー!ハロー!誰かいるかい?
ウェンディ:あら、サイモンだわ。サイモン!私たちはこっちよ。
(ドアの開く音)
サイモン:ママ!
ウェンディ:サイモンったら、来なくてもよかったのに。
サイモン:俺の大切なママが戦場で負傷したのに来なくてもいいって?俺を遠ざけようって魂胆だな。
マーティン:ここ5日間は、遠ざける必要すらなかったよね。
サイモン:マーティン!ここへ来いよ。
マーティン:いや、いいって、、
サイモン:大きなハグを!
マーティン:むむむ、、僕も会えてうれしいよ、サイムズ。
サイモン:いやいや、そんなんじゃないだろう。大きなハグだ。
ウェンディ:あら、かわいい!
マーティン:かわいくないよ。
サイモン:会えてうれしいよな。
マーティン:持ち上げないで!
サイモン:高い、高~い。
マーティン:やめろよ。
サイモン:ほ~ら!
マーティン:下ろしてくれ!
サイモン:空を飛ぶぞ。ほ~ら!
マーティン:下ろせよ。下ろしてくれ!
ウェンディ:まあ、あなたたちったら、楽しそうね。
サイモン:それで、ママ、どうして病気になったことを教えてくれなかったんだい?
マーティン:僕は教えたよ。
ウェンディ:だってあなたはとても忙しいから。
サイモン:仕事より母さんのほうが大事さ。世話する人が誰もいないのに、ここに寝かせておくわけにはいかない。
マーティン:「誰も」じゃないよ。
ウェンディ:そうよ。マーティンがよく看てくれて。
サイモン:本当かい?よくやったな、お前。
マーティン:ありがとう、サイモン。 ダメだよ、待った、
サイモン:じゃあ、ママ。明日朝一番に、俺の医者に診てもらえるよう、手配しよう。
ウェンディ:そんな必要ないわ。
マーティン:きみの医者?かかりつけがいるの?
サイモン:古き善きスマイリー先生さ、もちろん。
マーティン:え、ネイサン・スマイリー?学校の?
サイモン:その通り。覚えているか?
マーティン:もちろん覚えてるさ。僕のかばんを科学室の屋根の上に投げたヤツだ。彼は足病医だぞ。
サイモン:それに名医だ。
マーティン:狭心症のことは詳しくないと思うけど。
ウェンディ:マーティン。サイモンに任せましょう。一番いいと思うことをやってくれるわ。
サイモン:うん、これがきっと最良の策だ。だが意見を曲げないことはいいことだぞ、お前。よくやった。これからも頑張れ。
マーティン:ありがとう、サイモン。 ダメだって!


ダグラス:立ち向かえばいいじゃないか。
マーティン:やってみたけど、でも兄さんは強引だし、それにあの声と口ひげがさ。
ダグラス:口ひげがどうした?
マーティン:あんなもしゃもしゃした口ひげをはやしている人と口論するのは難しいんだ。
ダグラス:私なら試してみるがね。
マーティン:きみなら出来るさ。きみやキャロリンならね。でも残念ながら僕はきみでもキャロリンでもない。僕は僕なんだ。
ダグラス:確かに。だがきみは私とキャロリンを知っている。
マーティン:だから?
ダグラス:次の日曜に車でスタンステッド空港に行くだろう?途中でちょっと寄り道して、きみの母上のお見舞いに伺うってのはどうだい?全クルーが。制服姿で。
マーティン:うん、いいね。名案だよ!


(ドアベル。玄関ドアが開く)
アーサー:やあ、ウェンディ。僕だよ。
ウェンディ:いらっしゃい、アーサー。
アーサー:そしてこちらが母さん。
キャロリン&ウェンディ:はじめまして。
アーサー:母さん、こちらがマーティンの母さん。マーティンの母さん、こちらが僕の母さん。こう言うの、面白いね。そしてこちらがマーティン。もう知ってるよね。
(家の中へ)
ウェンディ:マーティン、あなたの制服姿。格好いいわね。それにその帽子も!
キャロリン:素敵な眺めでしょう。あ、キャロリンです。
キャトリン:キャトリンです。コートをお預かりしましょう。
キャロリン:ありがとう。
キャトリン:それからあなたの帽子も、マーティン。
マーティン:あ、いや。大丈夫だよ。
キャトリン:どうして?寄っていかないの?
マーティン:ううん。でも、その、、サイモンはまだかい?
キャトリン:いるわよ、中に。どうして帽子をとらないの?
マーティン:サイモン!
サイモン:やあ、お前か。中に入って来いよ。
マーティン:え、うん。でもここに来てくれれば、、
サイモン:お前がこっちに来るなら、俺が行く必要はないだろ。
マーティン:そうだね。 (キャトリンに)いいよ、帽子を受け取って。
キャトリン:あら、ありがとう。
サイモン:分かった、分かった。行くよ。そっちでなにのんびりしてるんだ?
マーティン:ああ、サイモン。 (キャトリンに)返して。早く返してよ!
キャトリン:何を返すの?
マーティン:帽子だよ。早く帽子を返して!
サイモン:マーティン。
マーティン:サイモン!やあ。こんな格好で申し訳ない。仕事に向かう途中なんだ。キャトリンが持っているのが僕の帽子だよ。
サイモン:へえ、そうか。ともかく、ハグは?
マーティン:いや、いいよ。制服にしわがよるから。僕の機長の制服にね。
サイモン:そうは思えんな。どう見てもそいつはポリエステルだ。ほら、おいで!
マーティン:持ち上げないでよ。お願いだから、持ち上げないで。
サイモン:高い、高~い!
(ドアベル)
ダグラス:この家でよかったかな?
マーティン:早く降ろしてよ!
サイモン:空を飛ぶぞ!
ダグラス:うん。間違いない。
ウェンディ:どうぞ入って。あの子たち、ちょっと遊んでいるの。
ダグラス:そのようですね。
サイモン:ほら、着地だ。
マーティン:えっと、その、こっちがウェンディ、キャトリン、そしてサイモン。こちらはダグラス。副操縦士(=ファースト・オフィサー)だよ。
ウェンディ:はじめまして。
キャトリン:ファースト・オフィサー?それって機長の上司?
ダグラス:いえ、違います。
マーティン:僕が機長だよ。知ってるだろう?僕が機長だ。
キャトリン:ええ、知ってるけど、あなたは彼より上のはずがないわ。
マーティン:僕が上なんだ。そうだろう、ダグラス?説明してやってよ。
キャロリン:ええ。是非。
ダグラス:ええ、彼は、彼は、私の、、彼は、その、通り。
キャトリン:あら。彼は上手なの?
ダグラス:ええ!彼は、最も、最も、上手、です。
マーティン:どうもありがとう、ダグラス。痛み入るよ。
ウェンディ:さあ、中に入って。お先にどうぞ、ミセス・ナップ=シャッピー。
キャロリン:あら、どう、か、私の、こと、は、、
ダグラス:なに?
キャロリン:キャと、呼ん、で。
マーティン:キャ?
キャロリン:ええ。キャ。短く、した、の。
ダグラス:なに?
キャロリン:遊び、で。短い、ほう、が、楽し、いわ。
マーティン:ああ、そんな。きみたちまだ、、
キャロリン:なに?全て、問題、なし、よ。
マーティン:オーケイ。きみたち2人、キッチンに来てくれるかい?


マーティン:まだあの遊びを続けてるんだね。
キャロリン:え?いえ。とん、でも、ない。
マーティン:やってるじゃないか。
ダグラス:何の、遊び?
マーティン:「ソーセージ」って言ってごらん。どっちか1人。
(沈黙)
ダグラス:私は、断る。
マーティン:僕を助けるって言ったろ?そのために来てくれたんじゃないか。一度でいいから兄の前で格好いいところを見せたかったのに、きみたちはばかげたゲームに執心してる!
キャロリン:両方、出来、るわ。
マーティン:いや、出来ない。きみたちの話し方は壊れたおしゃべりおもちゃみたいだ。
ダグラス:それ、は、少し、辛辣、だね。
マーティン:もうやめてよ。オーケイ、僕が恩赦を布告しよう。この家にいる間は、ゲームは中断する。いいね?
キャロリン:いい、わよ。
ダグラス:私も。
マーティン:よかった。ありがとう。
ダグラス:よし。では、部屋、に、戻る、かい?
キャロリン:ええ、是非。
マーティン:ちょっと待った。「ソーセージ」って言って。
キャロリン:君が、先に。
ダグラス:いや。君、から。
マーティン:まったくもう!一緒に言うんだ。3つ数えるよ。1、2、3、、(沈黙)頼むよ、本気で!1、2、3、
キャロリン&ダグラス:ソーセージ!
マーティン:ありがとう。
キャロリン:やれやれだわ。国教廃止条令反対論。
ダグラス:素晴らしい!では玄関ホールでの家族の集いに再度加わることにしようか?
キャロリン:確実にね。


ウェンディ:問題ない?あなたたち、お仕事だったら行ってちょうだい。
マーティン:いや。いや。もう大丈夫だよ。
キャトリン:なにを言い合っていたの?
マーティン:なにも。ちょっと、航空関係の手続きについて検討していたんだ。
サイモン:そうか。でもこっちでは、きみたちが「ソーセージ」って叫んでいたように聞こえたぞ。
キャロリン:ええ。ケータリングの手配に関して、ちょっとした手違いが。でもマーティンが解決してくれましたわ。
ダグラス:いつものようにね。
サイモン:どんな問題?
マーティン:問題は、、問題は、次のフライトでどんな食事を出すべきかで。その解決策が、ソーセージさ。
サイモン:ああ、でも、どうかな、マーティン。俺ならもう一度考えるがね。お前はユダヤ教の人たちのことを忘れてるぞ。
マーティン:忘れてないよ。ビーフ・ソーセージなんだ。
サイモン:ああ、だが、ヒンズー教の人がいたらどうする?彼らは牛肉は食べられない。ダメ、ダメだな。俺が思うに一番いいのは、
マーティン:いや、ヒンズー教の人はいないんだ。大丈夫だよ!
ウェンディ:きっとそうでしょうね。でも、サイモンの考えを聞いてみてはどう?
マーティン:ダグラス!
ダグラス:で、サイモン。さっきはちゃんと自己紹介できなかったが、私はダグラス。マーティンの副操縦士です。彼の部下。彼の副司令官。
サイモン:はじめまして。こう言ってはなんだが、あなたのほうがこのマーティンよりも、私が想像するパイロットらしく見えますな。
ダグラス:本当に?そちらは私の想像通りの郡議会管理者らしく見えますよ。
サイモン:実は、上級管理者です。
ダグラス:ああ、本当に?上級。すごいな。
キャロリン:いろんな経験を積んでらっしゃるんでしょうね。
サイモン:まあ、そうですね。2、3の物語はありますよ。
ダグラス:是非聞かせてください。
(沈黙)
サイモン:あの、、だが、仕事の話はあまり、ね。
キャロリン:ええ。でもしていただけたら嬉しいわ。ずっとお話をお聞きしたかったの。先日マーティンからあなたのことを伺って。あれはモンテカルロ上空を飛んでいたときね。
ダグラス:モンテカルロだったかな、キャロリン。ウガンダじゃないか?
キャロリン:あら。そうだったわね。素敵なカメラマン達を、マウンテンゴリラの撮影のために乗せたんだったわ。
ダグラス:申し訳ない。あの旅行はあまり記憶に残らなくて。
キャロリン:ええ。でもサンクトペテルブルグは別よ。そこでは、離陸の時に鳥がぶつかって、マーティンが、エンジン1つだけで着陸させたの。
ダグラス:うむ。
ウェンディ:マーティン、あなたが?
アーサー:うん。彼、最高だったよ。
マーティン:まあ、あれも仕事のうちさ。
ダグラス:そう、私の仕事でもあったんだが、すっかり気が動転してね。
キャロリン:泣いちゃったのよね。
ダグラス:それを認めることを恥とは思わない。
キャロリン:女学生みたいに。
ダグラス:もう充分だよ。だがここにいるマーティンは、私の頬を叩いてバカなまねはよせと言い、たった一人で飛行機を操縦して、横風と戦いながら、凍結した滑走路に着陸して、我々全員の命を救ったんです。
ウェンディ:マーティン!
キャトリン:すごいじゃない!
ダグラス:あ、申し訳ない。話が横道にそれてしまった。あなたのお話を聞かせていただくところでしたね、サイモン。
サイモン:え、ああ、そうですね。話してもいいんですが、、でも、止めておきましょう。職業上の秘密でして。
キャロリン:もちろんですわ。
ダグラス:それ以上おっしゃらずに。


キャロリン:お会いできてよかったわ、ウェンディ。長くいられなくてごめんなさい。
ウェンディ:いえ、いえ。来てくださってありがとう。
(ドアの開く音)
ウェンディ:皆さんに会えて嬉しかったわ。
アーサー:じゃあね、ウェンディ。
ウェンディ:バイバイ、アーサー。 じゃあね、マーティン、さようなら。
マーティン:さよなら、母さん。水曜に来るね。
ウェンディ:ええ。あなたがイカロスのこと話してくれて、本当に嬉しかった。
マーティン:ありがとう、母さん。僕も、、イカロス?
ウェンディ:ええ、そういう名前でしょう?イカロス運送。
マーティン:うん。でも僕、名前は教えてないよ。
ウェンディ:そう?あなたから聞いたと思ったけど。
マーティン:ううん。
ウェンディ:あら、そう。
マーティン:知っていたんだね?
ウェンディ:その、実を言うと、マーティン、私は機械オンチだけど、でも自分の息子の名前をタイプして、グーグルで検索することは出来るわ。
マーティン:他の2人はどう?彼らも知ってるの?
ウェンディ:どうかしら。私、ええ、きっとね。知っていると思うわ。ええ、知ってます。
マーティン:2人から言われたことはないけど。
ウェンディ:当然よ。あなたが話したがらないから、2人も黙っていたの。あの子たち、あなたのことが好きなのよ、マーティン。特にサイモンは。だから、、彼にあんなこともうしないでちょうだいね。1度で充分よ。
マーティン:あんなことって?どういう意味?
ウェンディ:あなたのお友達に会えてよかったわ。じゃあね。愛してるわ。
マーティン:、、僕も愛してるよ。


ダグラス:問題ないかね?
マーティン:ああ、うん。そう思う。ねえ、僕たち、サイモンに対して厳しすぎたかな?
ダグラス:とんでもない。
キャロリン:そう思わないけど。なぜ?後悔してるの?
マーティン:えっと、うん、少しね。でも、同時に、すごくよかったよ!ごめんね。いけないことだと分かっているけど、でも、すごくいい気分!本当にありがとう。
キャロリン:どういたしまして。気持ち、分かるわ。その、ルースを知っているでしょ?あの人といると、5歳の頃の気分になるのよ。
マーティン:そうだね。彼のあの口ひげがなければ、僕、なんとか対処できると思うんだ。
ダグラス:きみは口ひげを重要視しすぎると思うがね。
キャロリン:やった!口ひげ!
マーティン:え?
キャロリン:3音節よ。私の勝ち。
ダグラス:でも今はゲームしてない。停戦中だ。
キャロリン:いいえ、違います。「この家にいる間は」。それが停戦の条件よ。
ダグラス:だがきみは家を出てからも、長い単語を使っていたぞ。
キャロリン:そうかしら?ルー、スが、私を、5歳、の、頃の、気分、に、させ、る事?いいえ、あれは罠だったの。あなたは見事に引っかかったわね、副操縦士のヘッフォラン象さん。
マーティン:オーケイ。次は僕の番だ。機内ではちゃんとやってなかったからね。
アーサー:ちょっと待って。僕は全然やってないよ。
ダグラス:きみもやってみたいのか、アーサー?
アーサー:もちろんだよ。
ダグラス:いいだろう。それでは、今から、始め。
アーサー:ブリリアント!
ダグラス:簡にして良。

 (エンド・クレジット)