Le contrebassiste

コントラバス奏者ちんの日常。
趣味の音楽、フランス語、興味関心などを書き散らしています。

Etre et avoir ぼくの好きな先生

2004年10月22日 06時04分32秒 | 映画
前回の予告通り、今回は、「Etre et avoir ぼくの好きな先生」を取り上げます。
ようやくこの映画を観る時間が作れた(と言ってもさっき見たばっかり)のですが、なかなか面白い映画でした。

フランスの片田舎で、3歳から11歳までの13人の生徒に授業をしているロペス先生の話なのですが、この年齢差がある生徒たちを同じ教室で一人で教えているわけです。
なかなか難しいのかと思いきや、このクラスにはこのクラスなりの社会があって、うまく流れているように思えます。

先生がもうすぐ定年でこの学校を去らないといけない、というシーンはちょっと寂しさを覚えます。でも、ストーリーが陰鬱になることもなく、さらっと終わり、後味が悪くなることはありませんでした。

フランス語+字幕だったのですが、最初の数分はまるで語学学校に通っているような感じを受けました。語学学校でも小学生に教えるような感じで教えられてるんだなって。
確かに考えていることがいくら大人であっても、語学レベルは小学生なのですが。
「悪夢(un cauchemar)」という単語を聞いて、「あっ、それ習ったばっかりだ」とか。

字幕を見ていると、ロペス先生の話し方が妙に怖かったりします。
「いや、そんな怖い言い方してないって」と突っ込みたくなります。


活用で苦しむ小学生を見ると、「頑張れっ!」って思います。
しかも半過去。うんうん、つらいよな。
っていうか、活用に苦しんでいる自分としては、「お前が頑張れよ」という感じですが(汗)。

「6の次は?」と言われて答えられない子供も、見ていて本当に「頑張れ」と思います。
っていうか、一生懸命「sept、sept」って教えている自分に気がつきます。なんとお間抜けな。。。
この映画を観ながら何度「頑張れ」と思ったことか。
ちっさいこどもはこうやって数字を覚えていくんだなと思いました。
そう考えると、日本語で同じ数字にもたくさんの読み方を覚えているこどもって、すげーなぁと思います。


個人的にはジュリアンの宿題のシーンが面白かったです。
母親に「5×6は?」と聞かれて「25」と答えるジュリアン。おいおい、上級生だろ。
そりゃお母さんも「まだぶたれたいの」って言いますよ。
そのシーンで出てきた九九で、5×10まで言っていたのが日本とちょっと違うなと思った。
他の国ってそこまでやるみたいですね。

あと、小学生なのにやたらみんなしっかりしています。
酪農地帯なだけあって、牛の世話をする子供、農作業の手伝いをする子供。
そしてお兄ちゃんが小さい妹のためにパスタを作ってあげたり。。。

それにしてもこの映画がはやった理由がなんとなくわかった気になりました。
学校をテーマにしたノンフィクションって、みんなの心の中にある小学校時代を想起させてくれるんですね。自分は小学生の頃どんなんやっただろか?って。

DVDで借りた場合は、ボーナストラックでついている、子供たちの詩の朗読、これは絶対に欠かせません。本当にかわいい。で、表現豊かに朗読している。こういう生き生きとした姿、いいですね。


最後に、この映画を巡っては、ロペス先生が肖像権を訴えて(自分の授業は自分の作品であり、それを侵害されたとか何とか)、映画制作会社、配給会社を相手に250,000ユーロの訴訟を起こしました。ペルピニャンの控訴院によって却下されたのちに、パリでも裁判が続いていたようですが、ここの記事によると、どうやらパリでも棄却されているようです。

最後にお金の絡んだちょっといやらしい話になってしまったのが残念ですが、そういう先入観を抜きにして見ると、色んな発見があって面白いかと思います。

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1 コメント

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etre et avoir (japarisienne)
2005-01-15 23:40:15
トラックバックさせていただきました。

Lopez先生が訴訟をおこしていたとは!知りませんでした。ちょっとショックです…。







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