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スプーン一杯 5

2006年12月03日 | Weblog

その日の夜、寝室を訪れるとKittyは「それを取り除いてよ。それを…」と呟いていました。「それ」が何なのか意味することは私も既に理解出来ていましたがどうすることも出来ませんでした。まるで悪魔にとりつかれているようでしたよ。呪文のように繰り返すことによって、痛みを和らげてるようにも見えたし更に苦しめているようにも見えました。

その時までに数々の本を読み漁りましたが、その悪魔に関する記述はどの本にも書かれていませんでした。それからしばらくしてだったと記憶しています。Te University of MinnesotaのAncel Keys博士の古い本にに偶然出会いました。第二次世界大戦中に36人の心身ともに健康な男性を被験者として集めて飢えについて研究した論文でした。最初の3ヶ月は普通の食生活でその間に研究者たちは彼らの性格や行動パターンを記録して、次の6ヶ月間は食事の量を半分に減らされての食生活。ほとんど皆25%体重が減ったそうです。入院したときのKittyとまるで一緒でした。それから3ヶ月かけて元の状態に戻して研究終了。そして1950年代にその結果をまとめて出版したのが「The Biology of Human Starvation」でした。その悪魔たちは彼ら全員にもとりついたそうです。食事を減らされてる期間ではなく、回復期間にですよ。食べ物を細かく砕いて今までなら数分で食べられる量を数十分かけて食べるようになり、それだけではなくうつ状態や反社会的行動も目立ったそうです。間違いなく「悪魔」ですよ。Kittyにとりついてる悪魔だと私はそれを読んで思いました。

その研究者たちによれば長期の空腹期間が続くと全ての細胞に影響が出てくるそうです。Kittyをみてる私には納得出来ることでした。でも分からないことが1つだけありました。どうして彼ら被験者は、拒食症の症状が出てのにそれを継続することなく普通の状態に戻れたのかということでした。彼らだけではないですよね。世界中には過度のダイエットや飢餓で苦しんでる人がいるけど、拒食症にならない人だっていっぱいいるのよ。Kittyと彼らの違いは?って思ったの。