加奈のdiary

ソプラノ歌手 根來加奈 の
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ロッシーニ歌劇《アルミーダ》

2010年10月23日 | music
今日は、ロッシーニ協会の定例会で《アルミーダ》の上映会でした。

年会費1万円払っているのに、なかなか定例会に出席できず、
これでは勿体無い!と今日は何とか予定を空けて出かけました。

1988年7月、エクサン・プロヴァンス音楽祭で上演されたものです。
この作品はテノール6人とソプラノ1人とバス2人の配役の作品。

そして、何と!・・・あの 山路芳久さんが歌っている映像なんです!
それもあってどうしても聞きに(観に)行きたかったのです。

コレを歌った数ヵ月後の11月に山路さんは他界されたのでした。
その時は日本のオペラ界に激震が走りました。今でも覚えています。

私の記憶が正しければ、この年の9月、
藝大オペラの定期演奏会に出演されていたと思います。
それこそ、その2ヵ月後の衝撃ニュースでした。

藝大で教鞭をとりながら世界各国のオペラ劇場へ歌いに出かる。
人間の体が楽器の声楽。本当に大変だったであろうと思います。

でもでも・・・・完璧な演奏でした!!す、素晴らしい!!!
でもメイクはしていても心なしか顔がむくんでいたように見えました。

体調が悪かったのではないか?と憶測しながら見ていました。
あんなに早くこの世を去ってしまったとは・・・残念でなりません。
もし山路さんがご存命で今でも活躍して下さっていたら・・
そう思うと本当に残念でなりません。

折角頑張ってあれだけの声を手に入れてまだまだこれからという時に
若くして亡くなられてしまった名テノール:山路芳久。
日本人のいえ、世界中のオペラファンの心の中には
いつまでも生き続ける・・・そう思います。

そしてまたキャスト全員完璧な演奏でした。
この難しいロッシーニ作品をここまでキャスト全員が完璧に歌った映像。

この完璧な演奏空間に身をゆだねていると、確かに心地よい。
でも、正直クラシック音楽やオペラは、
現代に生きる我々の感性や現実生活からは遠く離れた音楽です。
いつもその違和感を感じ、普段の一般人の生活との癒合を
どうしたものかと考えているのも事実です。

そんな中、セミクラシックなるジャンルが耳にも心地よく
流行ってきています。

それはそれで良いことなのだと思います。

でも、作品そのものを本来の形で演奏する事を抜きにしてはいけない、
作品そのものの良さは変えてはいけない。そう思ってもいます。

今日この映像を見て(聞いて)、そしてその空間に身をゆだねながら
やはりこの私の考えは正しいよな~と思いました。本物はやはり良い!

でもね~正直これだけ完璧な演奏は、そうそうないのも事実です。
だからわざわざ高いお金を払って海外へ出かけるのですね。

映像はやはりしょせん映像。オペラハウスや舞台空間で
生演奏を 『体感』 することが出来たら、人生変わるように思います。

絵画も、やはり本物を見るためにわざわざ美術館に足を運びます。
同じように、音楽も生の演奏空間に足を運ぶ事はなくならないだろう
と思いました。

参考までに、本日のキャストを下記に記しておきます。

アルミーダ(S)    ジューン・アンダーソン
リナルド(T)     ロックウェル・ブレイク
ジェルナンド(T)   ラウル・ヒメネス
ゴッフレード(T)   山路芳久
エウスターツィオ(T) クリスター・ブラディン
ウバルド(T)     ラウル・ヒメネス(2役)
カルロ(T)      山路芳久(2役)
イドラオテ(B)    ジョルジョ・スリヤン

指揮:ジャンフランコ・マジーニ
演出:ジャンクロード・ファル

それにしてもアンダーソンのあの完璧な演奏。。。
ものすごく勉強になりました!今日行って良かった!