今回は、地域らしいまちなみづくりの取組み事例として、大阪市東住吉区田辺地区で活動されている、『にんやか田邊』のまちづくりについて紹介します。今回も記事の最後に近畿大学 脇田准教授による解説をお願いしていますので、そちらも是非ご確認ください。
【にんやか田邊の取組み】
田辺地区は、農家の屋敷や農地に建てられた長屋、近代になって建てられたタイル壁の店舗型町家など、農村集落から近郊住宅地へと発展した様子が伺える伝統的な様式の建物や、神馬塚や様々な社寺などの資源が現在も残っており、古代から受け継がれてきた歴史や伝統の厚みを感じられるまちなみが広がっています。
にんやか田邊では、地域の住民が中心となり、『街道と歴史が織りなす にんやか田邊郷』をまちづくりのテーマとして、大阪市HOPEゾーン事業を活用し、大阪市と連携して、田辺地区の古い歴史や文化などの資源を活かしたまちなみ修景整備(まちなみをつくること、整えること)を進めておられます。
具体的な取組みとして、田邊らしいまちなみを実現するために、まち歩きやパネル展示、まちなみづくり勉強会、広報誌の発行・配布などを実践されています。
まち歩きにより、田辺地区に残る町屋・長屋などの歴史的な建物の価値やまちなみづくりの課題を住民同士で再確認・共有するとともに、まちなみの今と昔の写真やまちづくりイベントの写真、HOPEゾーン事業の説明パネルなどによるパネル展示会を開催することで、住民がまちの変化に気づき、まちなみづくりを長期的な視点から考えるきっかけにされています。
住民自らがまちなみづくりに取組むなかで、『田邊に合ったまちなみ・方向性・テーマ』などについて住民同士で話し合う検討会を実施し、まちなみづくりの方針(ガイドライン)を作成されました。現在はこのガイドラインに則って、大阪市がHOPEゾーン事業まちなみ修景補助制度を実施し、建物の外観の修景整備を進めています。
住民自らまち歩きや検討会などを行うことによって、自分たちの地域の問題や地域資源に気付くことができます。そして住民の意見が反映されたまちなみガイドラインを作成することで、地域の景観は守られています。
住民の景観に対する意識を高め、これからのまちのあり方を住民の視点で考えていくことが大切です。
それぞれの家や建物が個々人の好みのみで建てられれば、まとまりのある町並みはできません。かつては、材料や構法・技術にある一定の制限があったため、おのずと似たような家が建ち並び、それが結果として調和のとれた町並みを生み出していました。しかし、いまの時代にあって美しい景観や調和のとれた町並みを作り出していくには、その地域の人々が、共通の想いをもっていなければいけませんし、実際には個々の建物の外観にルールが必要になります。それは高さであったり、屋根のかたちであったり、壁の材質や色であったりします。敷地の大きさや道路際の植栽や町並みに大きな影響を与えやすい駐車場の扱いについても検討が必要です。
それらの前提となるのは、そのまちがもともと持っている「その地域らしさ」です。景観まちづくりでは、まずその地域らしさを発見・共有することが大切です。まちを歩き、新鮮な目で地域の景観を捉えなおすことが、はじめの一歩になります。
2004年に景観法が制定され、国は良好な景観を「国民共通の資産」と位置づけました。罰則規定を設け、それまで法的な後ろ盾がなかった景観に対して、規制の法的根拠と実効性を与えました。数多くの自治体が景観計画を策定しつつあります。しかし一番大切なのは、地域の中で地域の人々が自分たちのまちの景観を何とかしたいという想いです。
にんやか田邊のホームページ
【にんやか田邊の取組み】
田辺地区は、農家の屋敷や農地に建てられた長屋、近代になって建てられたタイル壁の店舗型町家など、農村集落から近郊住宅地へと発展した様子が伺える伝統的な様式の建物や、神馬塚や様々な社寺などの資源が現在も残っており、古代から受け継がれてきた歴史や伝統の厚みを感じられるまちなみが広がっています。
にんやか田邊では、地域の住民が中心となり、『街道と歴史が織りなす にんやか田邊郷』をまちづくりのテーマとして、大阪市HOPEゾーン事業を活用し、大阪市と連携して、田辺地区の古い歴史や文化などの資源を活かしたまちなみ修景整備(まちなみをつくること、整えること)を進めておられます。
具体的な取組みとして、田邊らしいまちなみを実現するために、まち歩きやパネル展示、まちなみづくり勉強会、広報誌の発行・配布などを実践されています。
まち歩きにより、田辺地区に残る町屋・長屋などの歴史的な建物の価値やまちなみづくりの課題を住民同士で再確認・共有するとともに、まちなみの今と昔の写真やまちづくりイベントの写真、HOPEゾーン事業の説明パネルなどによるパネル展示会を開催することで、住民がまちの変化に気づき、まちなみづくりを長期的な視点から考えるきっかけにされています。
住民自らがまちなみづくりに取組むなかで、『田邊に合ったまちなみ・方向性・テーマ』などについて住民同士で話し合う検討会を実施し、まちなみづくりの方針(ガイドライン)を作成されました。現在はこのガイドラインに則って、大阪市がHOPEゾーン事業まちなみ修景補助制度を実施し、建物の外観の修景整備を進めています。
住民自らまち歩きや検討会などを行うことによって、自分たちの地域の問題や地域資源に気付くことができます。そして住民の意見が反映されたまちなみガイドラインを作成することで、地域の景観は守られています。
住民の景観に対する意識を高め、これからのまちのあり方を住民の視点で考えていくことが大切です。
近畿大学都市計画研究室 松本
それぞれの家や建物が個々人の好みのみで建てられれば、まとまりのある町並みはできません。かつては、材料や構法・技術にある一定の制限があったため、おのずと似たような家が建ち並び、それが結果として調和のとれた町並みを生み出していました。しかし、いまの時代にあって美しい景観や調和のとれた町並みを作り出していくには、その地域の人々が、共通の想いをもっていなければいけませんし、実際には個々の建物の外観にルールが必要になります。それは高さであったり、屋根のかたちであったり、壁の材質や色であったりします。敷地の大きさや道路際の植栽や町並みに大きな影響を与えやすい駐車場の扱いについても検討が必要です。
それらの前提となるのは、そのまちがもともと持っている「その地域らしさ」です。景観まちづくりでは、まずその地域らしさを発見・共有することが大切です。まちを歩き、新鮮な目で地域の景観を捉えなおすことが、はじめの一歩になります。
2004年に景観法が制定され、国は良好な景観を「国民共通の資産」と位置づけました。罰則規定を設け、それまで法的な後ろ盾がなかった景観に対して、規制の法的根拠と実効性を与えました。数多くの自治体が景観計画を策定しつつあります。しかし一番大切なのは、地域の中で地域の人々が自分たちのまちの景観を何とかしたいという想いです。
近畿大学 脇田
にんやか田邊のホームページ