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chuo1976

心のたねを言の葉として

「だまつてゐる心と心」   坂本遼

2012-06-18 04:19:29 | 文学
「だまつてゐる心と心」   坂本遼




おかんの咳の白い息が

火燵の上までおろした十燭のかさにあたる

屋根窓からとびこむ粉雪が

あぶら褪せた赤いおかんの髪の毛に音もなくとまる

ああ なき妹と揉みくらべした時にくらべて

いまつかんでゐるこの肩の筋肉のゆるみ

それからのびきつたこの皮膚

おかんはぢつと燻つたかさをみつめては

また苦しく咳こむ

たたいてもたたいても息をつかず

ブリキ鑵のやうに空虚にひびく

痩せた脊のかなしさ

うびゆうと唸る旋風が通りゆく

咳のこえ

ああ あしたでていく今夜をどないしよう

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札幌国際芸術祭

 札幌市では、文化芸術が市民に親しまれ、心豊かな暮らしを支えるとともに、札幌の歴史・文化、自然環境、IT、デザインなど様々な資源をフルに活かした次代の新たな産業やライフスタイルを創出し、その魅力を世界へ強く発信していくために、「創造都市さっぽろ」の象徴的な事業として、2014年7月~9月に札幌国際芸術祭を開催いたします。 http://www.sapporo-internationalartfestival.jp/about-siaf