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chuo1976

心のたねを言の葉として

「はじめてのものに」   立原道造

2012-06-05 06:04:40 | 文学


「はじめてのものに」   立原道造





ささやかな地異は そのかたみに
 
灰をふらした この村に ひとしきり
 
灰はかなしい追憶のやうに 音立てて
 
樹木の梢に 家々の屋根に 降りしきつた



            
その夜 月は明かつたが 私はひとと
    
窓に凭れて語りあつた(その窓からは山の姿が見えた)
 
部屋の隅々に 峡谷のやうに 光と
 
よくひびく笑ひ声が溢れてゐた



 
――人の心を知ることは……人の心とは……
 
私は そのひとが蛾を追ふ手つきを あれは蛾を
 
把へようとするのだらうか 何かいぶかしかつた



                              
いかな日にみねに灰の煙の立ち初めたか
 
火の山の物語と……また幾夜さかは 果して夢に
 
その夜習つたエリーザベトの物語を織つた
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札幌国際芸術祭

 札幌市では、文化芸術が市民に親しまれ、心豊かな暮らしを支えるとともに、札幌の歴史・文化、自然環境、IT、デザインなど様々な資源をフルに活かした次代の新たな産業やライフスタイルを創出し、その魅力を世界へ強く発信していくために、「創造都市さっぽろ」の象徴的な事業として、2014年7月~9月に札幌国際芸術祭を開催いたします。 http://www.sapporo-internationalartfestival.jp/about-siaf