chuo1976

心のたねを言の葉として

たんぽぽと小声で言ひてみて一人

2021-04-30 05:49:50 | 俳句

たんぽぽと小声で言ひてみて一人                   星野立子

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ひく波の跡美しや桜貝

2021-04-29 06:14:55 | 俳句

ひく波の跡美しや桜貝                  松本たかし

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咲き誇りたる北大のチューリップ

2021-04-28 05:25:58 | 俳句

咲き誇りたる北大のチューリップ
                           秋沢 猛

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相模原事件の弁護団

2021-04-27 16:04:33 | 死刑

相模原事件の弁護団

 

『相模原に現れた世界の憂鬱な断面』 森達也 2020年 講談社現代新書




弁護団によるサボタージュ

 

 措置入院の解釈や精神鑑定だけではなく、相模原事件の法廷にはもうひとつの特異点がある。弁護人の顔が見えないのだ。名前もわからない。普通なら判決後には弁護団が記者会見を開くが、今回はそれもなかった。だから「弁護団について教えてください」と僕は*篠田に言った。「全部で何人いるんですか」

「正式な人数はわからないです。今回の弁護団はマスコミの取材にまったく応じないし、名前や人数も公表していない。植松に訊いたら、それぞれの弁護団メンバーは面会に1回は来たらしいけれど、中心的な2人以外は植松自身もほとんど知らないし、公判前整理手続の内容などもまったく聞いていないと言っていました」

「わからないと同時に、熱量が足りない弁護団という印象があります」

「うーん」と唸ってから、「これは推測だけど」と篠田は言う。「いくら弁護士として着任したとはいえ、植松の犯行に心情的な同調は絶対にできないから、責任能力で争うことを方針にして、それ以外については距離を置くこと考えたのかな、という気はしますね」

「植松は弁護団を解任しようとしましたね」

「裁判が始まってからね。そもそも裁判が始まるまで弁護団と植松の関係は希薄だったから、裁判が始まって初めて、自分に責任能力がないことをあれほど強く主張されて驚き、初公判後に私が面会したとき、弁護団の解任を強い口調で訴えていました。それを私にだけでなく、面会に訪れたマスコミすべてに話していた」

「TBSが報道していました」

「ただ、公判が始まってからの解任は簡単じゃない」

「特に裁判員裁判だと、三者で協議した公判前整理手続がぜんぶひっくり返ります」

「だから面会のときに言いました。今から解任は難しいって。裁判所も認めないかもしれない。どうしても譲れないのなら、自分は弁護士の方針と違うということを被告人質問の際に表明すればいいのでは、とアドバイスして、それで決着がついたわけです」

「とにかく公判前に、植松とほとんどコミュニケーションができていなかった。それは弁護士団のサボタージュですよね」

「サボタージュっていうかネグレクトっていうか。ただね、植松が面会でマスコミにみんなしゃべっちゃうから、ということも理由だったのかもしれない」

「なるほど」

「ただまあ、判決のときも弁護団の会見はなかったし、記者クラブが申し入れはしたのだけど、メディアに対してはいっさい拒否なんです」



*篠田~篠田博之(しのだひろゆき)月刊「創」編集長。専門はメディア批評だが、植松聖死刑囚以外にも、宮崎勤死刑囚(既に執行)と12年間関わり、和歌山カレー事件の林眞須美死刑囚とも20年以上にわたり接触。その他、多くの事件当事者の手記を「創」に掲載してきた。



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四月には死んだまねする甘納豆

2021-04-27 05:27:05 | 俳句

四月には死んだまねする甘納豆                      坪内稔典

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 職人                   吉村昭

2021-04-26 17:23:22 | 文学

   職人                   吉村昭

 

 三十八年前に、二間つづきのアパート住まいから建坪十五坪の家を新築して移り住んだ。

 場所は、東京郊外の西武線沿線にある東伏見で、敷地は六十三坪であった。坪価は一万円で、当時会社勤めをしていた私の月給は二万円であった。つまり月給で二坪の地が買えたのである。

 現在、東伏見は坪価が二百万円はしているから、地価から逆算すると、私の月給は四百万円でなければならなかったはずである。いかに地価が高騰につぐ高騰をしたかがわかる。

 その家に十年間住んでいた頃、環状道路建設の話が持ちあがり、私の家がすっぽり道路に入っていることがあきらかになった。当然、住民と道路建設側の機関との間でさまざまな交渉が繰返されるはずで、小説を書く私は、そのようなことに時間を多くさかれることに恐怖に近いものを感じた。

 逃げ出さなくてはいけない、と思った私は、土地探しをし、現在住む井の頭公園に隣接した地に家を建てて移り住んだ。

 家を造ってもらった工務店の工法が不十分だったらしく、半年ほどして雨漏りがし、そのためあちらこちら手入れをし、ようやく心安らかに住む状態になっている。

 他の地ではどうか知らぬが、私の住む地一帯では、驚くほどの改築ブームである。西隣りの家は壊され、南隣りの家も同様で、新しい家が建てられた。北の道路にそった十軒中三軒が、いずれもこの一年の間に改築された。

 近くを歩いていても、あ、ここもかと思うほど改築がされている。私の家を新築した頃建てられた家々で、当時の建築方法になにか欠陥があったのか。私の家も手入れを繰返さなかったら、住むに堪えないものになっていたはずである。

 私の息子夫婦は、私の家とほとんど同じ頃建てられた中古の家を買い取って住んでいた。この家の雨漏りがひどく、これも改築することになった。

 古くからの友人である設計士を中心に建築方法について話し合った。現在改築する家の工法は、外国で評価の高い方法によるものが多い由だが、設計士の強い主張に従って基本的に日本式の従来の工法によることに決定した。

 地元で信用されている六十八歳の大工の棟梁に依頼し、鳶の仕事も地元の職人が手がけることになった。

 古い家がこわされ、基礎が打たれた。私は毎日三、四回はそれを見に行った。

「先生、そんなに見にきちゃ、小説書けないんじゃないの」

 と、かれらは冷やかしながらも、私が見にくるのが嬉しいようだった。

 やがて棟上げの日がやってきた。私は終日それを見守っていた。刻みの入った材と材が、寸分たがわず音を立てて組み合わされる。

 私は感嘆の連続であった。なんという優れた頭脳であろう、と思った。一心同体であるかのように手順がよく、次々に家の骨組みが形をととのえてゆく。職人というものの素晴らしさに、私は言葉もなく立ちつくしていた。

 予定通り夕刻、棟上げは終わった。神主が来て祝詞をあげ、それから職人たちと杯をあげた。車を運転する者はウーロン茶で……。翌日から大工をはじめさまざまな見知らぬ職人が入り、屋根と外壁が張られ階段が出来、ガス、電気が入って、工事をはじめてから四ヵ月後に住居可能になり、仮住まいをしていた息子夫婦と子供が入った。一ヵ月早い完成であった。

 息子の家は多くの職人の手によって成った。それらの職人は入念に、しかも素早く自分に課せられた仕事を成し遂げて去って行った。

 息子一家は、満ち足りたようにその家で過ごしている。私は、その家を見るたびに、今後二度と会わぬかも知れぬ職人たちに深い畏敬の念をいだく。

 

(『私の流儀』  吉村昭  1998年)

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「こえなき人たちのうた」          堀江菜穂子

2021-04-26 05:59:55 | 文学

 「こえなき人たちのうた」          堀江菜穂子

くちがきけず いしのそつうの できない人たち

その人たちのうたを きいてほしい

みみでなく 心のおくで きいてほしい

みんなしっかり うたってる

こえがなくても うたってる

そのうたは おとではなく くうきのしんどう

きっとあなたの心も ふるえるから

     *

 「The songs by people without voices」     英訳 神崎優花

Listen to their songs

By those who can’t speak and communicate

through their voices.

 

Listen to their songs

Not with your ears,

but with the bottom of your heart.

 

They sing strongly.

 

Without voices,

They sing surely.

 

What the songs make is

Not the sounds, but the air vibrations

――For it will touch your heart.

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入学の朝ありあまる時間あり

2021-04-26 05:10:41 | 文学

入学の朝ありあまる時間あり                    波多野爽波

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午前より午後をかがやく春の泥

2021-04-25 05:42:00 | 俳句

午前より午後をかがやく春の泥                       宇多喜代子

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ねこの子の猫になるまでいそがしく

2021-04-24 05:01:54 | 俳句

ねこの子の猫になるまでいそがしく                     鈴木明

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札幌国際芸術祭

 札幌市では、文化芸術が市民に親しまれ、心豊かな暮らしを支えるとともに、札幌の歴史・文化、自然環境、IT、デザインなど様々な資源をフルに活かした次代の新たな産業やライフスタイルを創出し、その魅力を世界へ強く発信していくために、「創造都市さっぽろ」の象徴的な事業として、2014年7月~9月に札幌国際芸術祭を開催いたします。 http://www.sapporo-internationalartfestival.jp/about-siaf