遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

アブラムシがキツネに化けた?

2021年04月10日 | ものぐさ有機農業

長閑な日が続いています。

そろそれ畑も忙しくなってきました

サクラ&コンポストの手前には、ソラマメが花をつけ始めました。

小粒の赤ソラマメと大粒の大福ソラマメを蒔きましたが、両者、ほとんど見分けがつきません。実ってみないとわかりません(^^;

 

この時期、一番の大敵はアブラムシです。

若芽にびっしりと群がっています。

 

で、例年行うのが牛乳のスプレー。

今回も、2回スプレーしました。

小さい黒粒がアブラムシの死骸。

牛乳で気管が詰まり、窒息死するのだそうです。

うん、うまくいった・・・・

でも、よく見ると、まだ緑色の元気印アブラムシがあちこちにいます。

若芽の隙間にまで、なかなか牛乳がいきわたりません。

手間がかかりますが、牛乳は3回、スプレーが必要なのです。

テントウムシの幼虫も助っ人にいるようなので、気をとりなおして、3回目を行うことにしました。

 

やっとスプレーし終わり、ふと顔を上げると、桜の木&コンポストの傍で、じっとこちらを見ているものがいるではありませんか。

やせ型の顔と体、毛は茶色、シッポをピント張っています。

今時、野良犬か?

その距離、2m。

じっと見つめ合うこと、1分くらい。

ずいぶん長く感じられました(^^;

 

おー、これはキツネではないか。

こんなところにキツネが。

そういえば、最近、黒マルチの上に大きめの動物の足跡がいっぱいありました。

キツネを見たのは生まれて初めてです。

手にあるのは牛乳スプレーのみ。カメラは家に置いてきました。

とりに戻ろうか、どうしようか・・・・

。W

迷っているうちに、キツネさんは、スタスタと(堂々と)中山道を横切って、故玩館の竹藪の方へ消えていったのでありました。

白昼堂々と、

アブラムシがキツネに化けた?(^.^)

 

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サクランボ転じて桜となる

2021年04月08日 | 故玩館日記

今はもう、どこを見回しても桜だらけです。

目を西にやると、樹間に伊吹山が。

ほんのわずかに雪が残っています。

今年の積雪は多くなかったようです。

積雪量の日本記録は伊吹山だという事を昔何かの本で読みました。今も記録が保持されているかはわかりませんが、大雪が降る場所であることは事実です。

それほど高い山ではない(1377m)のですが、日本海から伊勢湾に抜ける風の通り道にあり、山にぶつかった空気が雪雲となって、時には大量の降雪をもたらします。不思議なことに、例年、向こうの滋賀県側より東の岐阜県側の方が雪の量がはるかに多い。教科書では、季節風が高山にあたってできた雪雲が雪を降らし、山を越えると乾いた風になる、とあります。ところが、伊吹山はそれほど高くないので、手前に雪を降らす前に雪雲が岐阜県側へ流れるのではないか、と考えています。高山植物や薬草などの特異な植生も何となく説明できそう(素人説(^^;)

さて、少し南を見ると、桜の巨木が立っています。

私の畑の西端です。中山道脇にそびえています。

電線より高くなってしまったので、5年前に庭師さんに半分の高さに切ってもらいました。

桜をこれだけ切り詰めると、いずれは枯れるはずですが・・・・・

まだ、勢いよく咲いています。

コロナ時代に、超過密ですね(^^;

50歳ほどの老木。

実は、昔、この場所に、サクランボを植えたのです。当時、サクランボは大変珍しく、ホームセンターなどもなかったので、苗木組合に一本だけ取り寄せてもらいました。

木はぐんぐん成長し、毎年、多くの花を咲かせます。ところが、いっこうに実がなりません。

どこでどうまちがったのか・・・立派な桜でありました(^^;

もう一度サクラ(ンボ)の巨木に目をやると、空が晴れ、遠くに養老山脈が見えてきました。

 

巨木の横には、サクラ系の木がまだ3本並んでいます。

サクランボのはずが、ハズレてサクラになってしまったので、その後、サクランボの苗を入れ直したのです。種類にもよるのでしょうが、土地になかなか合わず、現在は、初代サクラ(ンボ)から数えて、3代目と4代目がが現役です。

花の時期が半月以上早いですね。もう、青い実がたくさんついています。

これからは、毛虫やヒヨドリとの闘いが待っています(^.^)

 

 

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

生活笑百智 『萬法秘術集』(7、終)

2021年04月06日 | 面白古文書

江戸時代のおもしろ生活百科『萬法秘術集』の最終回です。

15.4x23.2㎝、27丁。嘉永2年。

 

   衣服に油付たるをとる法
新しき土器を粉にしてほうろくにて
能いり何にても油の付たる物の上下ニ
紙を二三枚しき其上へ右の粉をふるいかけ
上にしつかりとをせおくへし不残取る也

   衣服についた油をとる方法
新しい土器を粉にして、焙烙で
よく炒り、油の付いた物なら何でも、その上下に
紙を2,3枚敷き、その上へ先の粉をふるいかけ、
上にしっかりと重しを置いておく。残らずとれる。

 

   あわひ  はま栗
        是をかい〇〇〇きる傳
あわびの中の身をは物にて丸くとり
身ハミにて外の鍋ニて味を付かいわ別々ニて
につめれバやわらかに也夫より身を入包丁ニて
きるへし

鮑 蛤
        これをかい○○○切る口伝
鮑の中身を刃物で丸くとり、
身は身で外の鍋で味を付け、貝は
煮つめれば柔らかくなる。それから身を切る。

 

   いもしるにへかんにてきれふ(ぬ?)法
いつものとうりニすりばぢへいもをおろし
其中へいも百目くらいならバ生栗を四五十ほどしろく成程かわを取能をろし
いもの中へ入又能すり座敷へ出ス時なべ
ゑいりにへかんにして出すへしきれぬ事
妙なり 栗ヲ入ル時人目用心すへし

      芋汁煮え羹で切れない方法
いつもの通りに摺り鉢へ芋をおろし、
そのなかへ芋百匁くらいならば、生栗を4,50ほど白くなるまで皮を取り、よくおろして芋の中へ入れ、また、よくする。座敷へ出す時、鍋へ入り煮え羹にして出すのがよい。不思議にも切れない。栗を入れる時は、人目を用心するように。

 

   女人さんの時のはざんとる法
是ニハゆすの種二ツほ斗土にして
さゆニて用へしき妙なり

   女性がお産する時破産をとりあげる方法
これには、柚子の種を2粒ほど土にして(意味?)、
白湯で呑むべし。不思議だ。 

 

   豆腐ニ繪を書傳
一 豆婦をはいの上ニぬのを置其上ニ置バ
水引也繪思ひ付ヲ書へし
〇思ひ付書あとニて水を入用べし
紋字也とも思ふままなり

    豆腐に絵を描く口伝
一 灰の上に布を置き、その上に豆腐を置けば、
水が引く。思いついた絵を描けばよい。
◯思いついた文字を書き、その後水に入れる。
文字であっても思いのままだ。

 

   紙にて酒を包火の上にて間をする傳
紙にこんにやく玉を皮をむき手にぬり紙ニ
能ぬりつけるなり火影ほしニしてたと紙
ニて包間をする也

 紙で酒を包み、火の上で間をする口伝
コンニャク玉の皮をむき、手に塗り、紙に
よくこすりつける。陰干にした後、たとう紙
で包み、間をすればよい。

 

  正中を四日ニみりんニする傳
壱合の中へ串柿四ツこまかに切入置バ
四日ニみりんになる也諸白き酒ハ一日ニ
なるなり

  焼酎を四日で味りんにする口伝
一合の中へ、串柿四つを細かに切り、入れておけば、
四日で味りんになる。白酒なら一日でよい。 

 

   年中酒をたもつ法
赤きとうからしを壱つ袋へ入いと壱尺
斗酒の中へ入いつ迄是あつても味かわらぬ也
壱合より壱斗迄壱つ弐斗より二ツ三斗より三つ

   年中酒を保つ方法
赤唐辛子を一つ袋へ入れ、糸一尺ばかり、
酒の中へ入れる。いつまでも味が変わらない。
一合から一斗までは一つ、ニ斗からは二つ、三斗以上は三つ入れる。 

 

   すく成酒を一夜之内に直す傳         
四斗之積ニ印手引三度間をして                
ちくばい四斗ニ壱升よくいり丁子肉佳五分
各細末はまくり四斗ニ四拾匁粉二して入
一夜之内ニ直るなり

    酸っぱくなった酒を一夜で直す口伝 
四斗の所に印をつけ、3回間をして
四斗に竹灰を一升をよく炒り、丁子、肉佳五分
それぞれの細末とはまぐり四十匁を粉にして入れる。一夜の内に味が戻る。 

 

  味噌のくさりたるを直傳 
生松の皮をさりて三ツ割四ツ割ニして
味噌ニ打込むべし直る事妙なり

   腐った味噌を直す口伝
松の生皮を剝いで3つ、4つ割りにして、
味噌の中に入れ込む。不思議にも味が戻る。

 

  玉子をそふめんのよふニして味ふ傳
玉子の白み斗△此ごとく成上ハふくろニして
上子(じょうこ)のよふにしひたじ成共湯成共ねやし
置其奈賀へ上よりしぼるなりそふめんの極(ごとく)ニ
成事妙なり                                     ねやす=こねる

  卵をそうめんの様にして味わう口伝
卵の白味だけを図の如く、上は袋状で
漏斗の様にして、シタジでも湯でも捏ねておき、
その中へ上から絞る。すると、そうめんの様に
なる。不思議だ。

 

   玉子をミなきいみにする傳
玉子ニちいさなあなをあけてみを少し出し
中へ酢を入能ふりまぜて其あなをふたぎ
能うでる也

  卵をすべて黄身にする口伝
卵に小さな穴をあけて身を少し出し、
中へ酢を入れよくふり混ぜて、その穴をふさぎ、よく茹でる。

 

祈りのようなあとがき(^^;

最終的には神仏に頼るのでしょうか(^.^)

信州の地で、この秘術集を書き残した人は、どんな人物だったのでしょうか。

 

30丁もない小冊子のようなこの書ですが、93もの秘術(^.^)が記されています。食べ物関係が36、病気などが15、その他諸々のマル秘知識が満載です。

最初は、何が書いてあるのかまるでチンプンカンプンだったのですが、書き手のクセなどがわかってきて、少しずつ内容をつかめるようになりました。そんなわけで、とりかかってから、半年近くたってしまいました。それでも、6つほどの秘術は、Unknownのままです(^^;

いつの日か、捲土重来(^.^)

でも、まだ同じような本がどっさりとあるので、そちらの方が先ですね。このペースでいくと、時間切れ(^^;

 

 

 

コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

故玩館と輪中堤の春

2021年04月04日 | 故玩館日記

いつのまにか、すっかり春爛漫となりました。

中山道を右に見て、故玩館とその横の輪中堤を眺めます。

広重が描いた竹藪はまだ健在。

変わったのは、この辺りの無数の野池が埋められ、湿地帯ではなくなったこと。

 

千手観音堂からの眺め。

西から東へ向かう中山道歩きの人が、足を止める場所です。

 

桜並木は、故玩館から北へ約1km続きます。

 

コロナで途絶えていた中山道歩きの人々も少しずつ戻ってきました。でもまだ、平日は数人です。団体、グループはゼロ。

 

 

 

 

 

階段を上がった所には、季節の花が(私の管轄外(^^;)

懐石料理屋と間違えて入ってきた人もいました(^^;

 

横へ回ると輪中堤です。本来は塀の高さほどあったのですが、明治以降、削られて道路ができ、現在の状態になりました。

 

 

葉がないこの季節だけ出現する怪獣ドラゴン。私のお気に入りです(^.^)

 

 

その向こうは、北へずーっと桜並木。最初の写真で見えていた所です。

 

とりとめのない桜の花よりもヤドリギの方がおもしろい?(^^;

 

Uターンして、中山道へ戻ります。

 

故玩館の斜め向かいには、かつて高札場がありました。当時は、カーブミラー上部位の高さだったでしょう。中山道は輪中堤を乗り越えて行き来するようになっていたのです。67宿、139里の中山道の中で、このような形で堤乗り越えをするのはここだけだと思います。

その理由は、この辺りの中山道の地理的位置にあります。中山道の前身は東山道です。東山道は、数km北を東西に走っていました。洪水の危険が少ない場所です。ところが、江戸時代になって中山道が整備される時、流通事情などから少し南にルートがとられました。そこは、濃尾平野の中で洪水が頻発する北限。濃尾平野に築かれてきた多くの輪中の内、最北の輪中がここなのです。

故玩館は、輪中堤にへばり付くようにして建っています。

中山道と輪中が交差するこの場所には、江戸時代には樋門があって、出水時は水が宿場へ流れ込まないよう閉じられました。

 

ここから南へも、ずっと桜並木は続いています。ソメイヨシノだけでなく、いろいろな種類のサクラが2kmほど点々と続いています。ズーーーッと歩いていけば(相当ありますが(^^;)、墨俣一夜城に行きつきます。

 

コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

生活笑百智 『萬法秘術集』(6)

2021年04月02日 | 面白古文書

江戸の面白古文書『萬法秘術集』の6回目です。

 

   もちにむせくるを其座ニて直ス傳
おは黒のだしかねを茶碗ニ少し入口へ
つき入ル又其茶碗に水を少し入れこうむりの
ふん一ツ入口へつき入ルなりすくに本腹(ほんぷく)す
る事妙なり
おはぐろハもちをちゞめるこうむりの        
ふんハもちをとかす             本腹する:回復する 

    餅にむせたのをすぐに治す口伝
お歯黒の鉄漿を茶碗に少し入れ、口の中へ入れる。
また、その茶碗に水を少し入れ、コウモリの糞を一つ入れ、口へ突き入れなさい。不思議にも、すぐに回復する。
お歯黒は餅を縮め、コウモリの糞は餅を溶かす。

 

   玉子きいみかへしの法
玉子をたくわん付のこのかの中へ十日斗入        
置其後満てる也 かへる事妙なり     このか:こぬか、 満てる:完了

    卵の黄身返しの方法
卵を沢庵漬の小糠の中へ、10日ほど
入れておく。それで完了。黄身が外側へ来る、不思議だ。

 

   玉子を三角四角にする傳
玉子を水にて湯でる此中へかたうふみ草
少し入湯でるあたゝか成内ニ三角ても四角ても
ちよふに也事妙なり

   卵を三角、四角にする口伝
卵を水からゆでる。その中へ、 かたうふみ草 (不明)
を少し入れ、茹でてあたためているうちに、三角でも四角でも
自由になる事、不思議だ。

 

   玉子の中へ字を入ル傳
玉子の上ニ書こふと思ふ字を酢ニて
三四へん書ほし其後正中の墨ニてあとを
とめ書してもち米のかすミニて能うでる也      かすみ:酒
皮にきすつかすして内に字入なり

     卵の中へ字を入れる口伝
卵の上に書こうと思う字を酢で
3、4回書いて干し、その後、焼酎の墨で跡を
止め書きして、餅米の酒でよくゆでる。
皮に傷をつけずに、内に字が入る。

 

   満十拵様
一 かしあけの餅米壱升麹四合      
さ湯壱升八合入能さまし種入て
能ねる也右のしほりかす也

   饅頭拵え方
一 かしあげた餅米一升、麹四合、
白湯一升八合を入れ、よくさまして種を入れ、
よく練る。この絞りかすが饅頭だ。

 

  女人後産(あとざん)お取方
一 ゆすの種三つぼ斗能粉ニして
さゆニて用るへし妙薬なり

   女人の後産の取り上げ方
一 柚子の種を3粒ほどよく粉にして、
白湯でのませる。妙薬だ。

 

      ようかんこしらいる傳
一 小豆一升能にてさとふ二斤入
合てつなぎに小麦の粉少し入て
火ニて能合せる也

   羊羹を作る口伝
一 小豆一升をよく煮て、砂糖二斤を入れ
合せて、つなぎに小麦粉を少し入れて、
火でよく合せる。

 

     白酒
  一 もち米三升麹一升ト酒一升
右三品ニてつくる也

     白酒
  一 もち米三升、麹一升と酒一升、
この三品で作る。

 

    瀬戸物焼次の傳
一 唐土五匁もつ孝五匁二品合て白玉の粉
上へにぬる也是ハ玉子の白味ニてとく也
右三品釜に入赤く也程焼白玉ハ五まの
油にてねる也

        瀬戸物を焼継ぐ口伝
一 唐土五匁、もっこう(木瓜?木香?) 五匁、この二品を合せて、白玉粉の上に塗る。この二品は、卵の白味でとく。
これら三品を釜に入れ、赤くなるほど焼く。白玉は、胡麻の油でねる。                白玉:鉛ガラス粉末

 

  春物付様の傳
一 ゆすを付るニハ塩水に赤鉄ヲ
入て付置べし葉迄何時ニても
時の物のよふなり

   春物を漬ける方法口伝
一 柚子を漬けるには、塩水に赤鉄を
入れて漬けおきなさい。いつまでも、葉に至るまで、
時期の物の様に保たれる。

 

  松だけしめじ久しく置法
一 豆婦のからに塩を入て直に付置べし

    松茸、シメジを長く置く方法
一 豆腐のおからに塩を入れて、すぐにつけおきなさい。

 

 

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする