遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

内海焼そば猪口

2021年05月16日 | 古陶磁ー国焼

うつみ(内海)焼のそば猪口です。

 

5客あったはずですが、一個、見あたりません(^^;

 

底は無釉。

 

いたってシンプルな器です。

 

 

径8.8㎝、底径5.8㎝、高6.2㎝。明治~昭和。

半陶半磁の素地ですが、陶器質が勝っています。

黒っぽい呉須で圏線が引かれ、間をグラデーションに塗っています。上釉にも、ほんのわずかに呉須が含まれているようで、全体が少し藍色がかっています。

底の外周が少し厚くなっていて、高台を兼ねています。内側は無釉です。

 

うつみ焼は、愛知県知多半島の内海で焼かれていた陶磁器ですが、今では地元でも知る人は少ないようです。

加藤藤九郎の『原色陶器大辞典』では、「愛知県知多半島の内海(知多郡南知多町)で焼かれた陶器。「うつみ」の印銘がある。」と書かれているのみです。

南知多町の教育委員会によれば、

「内海焼は、明治19年(1886年)から昭和26年(1951年)までの六十数年間にわたり、南知多町内海に作られた四っつの窯で焼かれていた製品です。大量生産されていなかったため、現存する内海焼は多くありません・・・」とあります。

なるほど、底には「うつみ」の印銘があります。

でも、4客の内の3客は、印は、無釉の広い場所ではなく、底の端、わずか数㎜幅の狭い所に押されています。

渋い焼物を焼いていた内海焼ですが、こんな場所に押された印をみると、「どうだ俺達の技は」と陶工がつぶやいているような気がします(^.^)

 

このそば猪口は、大きさ、形からして、珈琲碗にピッタリです。

陶器質ですから、磁器と違って、熱さが手にチーンときません。口あたりもやさしい。

ということで、ここ何年かは、このそば猪口をMyコーヒーカップとして使っています。

陶器なので、布コースターにも合います。

 

 

 

敷物はまだいくらでもあるので、日替わりチョイス(^.^)

 

しばし、世の雑事をわすれて(^.^)


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
遅生さんへ (Dr.K)
2021-05-16 16:55:07
「うつみ」という印銘があるんですね(^_^)
このような印銘があるのは貴重ですよね。
氏素性がはっきりしますものね(^_^)
氏素性のはっきりと知れた器で飲むコーヒーの味も格別なことでしょうね(^-^*)
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な、なんとっ! (ダム)
2021-05-16 17:54:08
今回は表題を見て、「えっ…!でも、まさかねぇ」と思いつつ、そのまさかだったので驚き×2乗でした(^^)
確かに、粘土質の土は内海にもあると存じます。
今度、地元の方にも聞いてみます!
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Dr.Kさんへ (遅生)
2021-05-16 18:18:10
国焼きというのでしょうか、こういう地方窯の焼物も捨て難い味がありますね。
いずれも記録がほとんどなく、だんだん忘れられていくのが淋しいです。
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ダムさんへ (遅生)
2021-05-16 18:23:28
地元ですからね、驚かれるでしょう。
地味な玄人好みの器が多いので、知名度は高くないです。
今でも、たまに骨董市や骨董店に出ることがあります。ひらがなの小さな銘「うつみ」を見逃さなければ、ゲットできます。数は少ないですが、値段はそれほど高くありません(^.^)
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遅生さんへ (酒田の人)
2021-05-16 21:58:26
内海焼というのがあるんですね、初めて知りました
地方窯ですでに閉窯しているとなると、ある意味「幻の品」みたいな扱いができそうです。
この品は落ち着いて控えめな感じが魅力的です
それに、ひらがなで「うつみ」の窯印がまたいい味わではないでしょうか。
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酒田の人さんへ (遅生)
2021-05-16 22:50:15
似た窯に、兵庫の舞子焼きというのがあります。そちらの方が少しメジャーですけど。いずれも、海浜の小さな窯。
内陸ですが、岐阜には、こういう地方窯がかなりありました。なかには、それこそ幻の○○窯というのも。
しかし、現物も資料も少ないので、郷土史のテーマになり難いのが現状です。
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