大平とよばれる器です。
径28.8㎝、高13.9㎝。明治―大正。
とても大きな器です。刳り抜きで成型され、頑丈な造りです。素朴な漆塗りが施されています。
本体:
径 26.5㎝、高台径 14.6㎝、高 8.3㎝。
底面が非常に分厚く、5㎝ほどもあります。立ち上がり部から急に薄くなり、縁では5㎜弱です。
蓋:
径 28.8㎝、摘み径 13.7㎝、高 4.7㎝。
やはり分厚く、2㎝ほどの厚みがあります。外側へ向かって薄くなり、縁は3㎜ほどです。
大平は、大きく平たい器という意味でしょう。頑丈な造りで、普段使いの器です。菓子や蒸した芋などを入れていたようです。こういった容器は、日本で長く使われてきた漆器の本来の姿に近い物ではないかと個人的には思っています。なお、大平椀という扁平の吸物椀がありますが、形から類似の名称がつけられているのであって、今回の大平とは別物です。大平とちがい、汁椀もしくは煮物を入れる容器です。
以前、木製の漆器には必ず木目が見られる、と書きました。しかし、この品には、それらしい木目模様を見つけることはできません。大きな物なのに不思議です。考えられるのは、原材料の切り出し方です。大きな品ですから、太い丸太状の材を轆轤で挽いて器に成型していると思われます。これは、木の成長方向に沿っていますから、一番理にかなった切り出し方だと言えます。その分、歪みや収縮度が小さく、木目の凸凹が表れ難いと思われます。
ところで、この巨大な容器に一体何を入れましょうか?
菓子や蒸し芋を入れて客人に出してもパッとしません。
ということで、例によって、何かないかと探しました・・・・・あれこれ物色したあげく・・・・
おお、これなら、と中にいれました。
蓋をとると・・・・
ビックリ箱(^^;
鬼面系土俗面:16.6㎝ x 11.8㎝、厚7.7㎝。江戸時代。
でも、ドッキリは、近頃、受けませんね(^^;
ならば・・・
美江寺土鈴、宝珠。14.3x7.4㎝、高14.2㎝。戦前。
もう一つありました。
美江寺土鈴、鈴。径13.0㎝、高11.2㎝。戦前。
この土鈴は、「独楽」だと思ったのですが、日本玩具博物館に同じ品があり、「美江寺の土鈴、鈴」となっていたので、「鈴」にしました。「土鈴の鈴」なのですね(^^;
いずれも大型の土鈴です。まあ、郷土にちなんだ品ですから、これで行きましょう。
大平さんから、こんにちわ(^.^)
内藤のお殿様からの拝領したものだと聞いたような記憶ですが、ホント飾っておくだけで実用なんて思っても見ませんでした(笑)
今では華麗な品物が漆器の代名詞になっていますが、漆器は本来頑丈で、日本では縄文時代から使われてきたと言われています。
今回の品の特徴は、非常に分厚い器体と素朴な塗りです。いずれも、今の漆器とは逆です。実用品の証拠ですね(^.^)
漆でも、木目の見えないものもあるのですね。
いろいろと勉強になります(^_^)
こんなに大きいと、正にjapanの代表選手ですね。
確かに、今では、「菓子や蒸し芋を入れて客人に出してもパッとしません」ので、郷土にちなんだ土鈴などを入れるのに適しているかもしれませんね(^_^)
ああ、遠い祖先たちは、こんな風に一生懸命木を刳り貫いて使っていたんだなあ、と神妙になります。
今は高級品になっていますが、東北の漆器なども、元々は、分厚い造りに素朴な塗りで、実用第一だったはずです。
民芸の原点ですね(^.^)