明治6年2月24日、太政官布告 第六八号(明治5年以降、布告は各年度毎に通番)で、次のような布告が府縣に向けて発令されました。
「布告発令毎二三十日間便宜ノ地ニ掲示シ並ニ従来ノ高札ヲ取除カシム」
これによって、徳川幕府以来300年以上続いた高札制度は終わりました。しかも、五榜の掲示発布時の意気込みとは異なり、ひっそりと、むしろ、こっそりと終えたのです。
布告の文面は次の通りです。
「自今諸布告御発令毎ニ人民熟知ノ為メ凡三十日間便宜ノ地ニ於テ令掲示候事
但管下ヘ布達ノ儀ハ是迄ノ通可取計従来高札面ノ儀ハ一般熟知ノ事ニ付向後取除キ可申事」
(読み下し)
自今、諸布告御発令毎ニ、人民熟知ノ為メ、凡ソ三十日間便宜ノ地ニ於テ掲示セシメ候事。
但シ、管下ヘ布達ノ儀ハ是迄ノ通リ、取計ウベシ。従来高札面ノ儀ハ、一般熟知ノ事ニ付キ、向後取除キ申スベキ事。
(意訳)
今後、諸々の布告は、人民が熟知するよう、発令ごとに、約30日間、適切な場所に掲示すること。但し、管下への布達は、これまで通り取り計るようにせよ。従来の高札の文面は、広く熟知されているので、今後、取り除く事。
この太政官布告は、二つの内容から成っています。
1.これから発する布告は、30日間、適切な場所に掲示する事。
2.これまでの高札は取り除く事。
高札を廃止することを、付け足しのように、後に持ってきています。高札廃止の事実を、少しでも薄めようとしたのでしょう。
さらに、高札撤去の理由を、「一般熟知ノ事ニ付」としています。切支丹厳禁を含め、「高札の内容が一般民衆に周知されたから撤去する」というのです。強弁、詭弁の類と言われても仕方ありません。それとも、撤去しても五榜の掲示の精神は生きている、と本気で思っていたのでしょうか。
高札制度廃止の理由は、もちろん、「一般熟知」のためではありません。五榜の掲示が新しい時代に合わなくなったこと、切支丹禁制などに対する諸外国の反発、さらには印刷技術の発達などが考えられます。
いずれにしても、明治政府の富国強兵政策にそぐわなくなってきたことは間違いありません。
このように、強引に決めた政策がうまくいかなくなった時、苦しい言い訳を添えて、そっと幕引きすることは、時代が変わってもよくあります。
国会で、黄色い声で「ニッキョーソ、ニッキョーソー」と唾を飛ばしながら叫んでいた、あの安屁¨元総理。2007年6月、改正教育職員免許法を強引に成立させ、教員免許更新制度を2009年4月1日から導入しました。教員免許に有効期限を設け、更新延長するために、10年に1度の更新講習を義務付け、その費用を教員に払わせるというものです。安屁¨元総理の薄い頭が、生長の家残党や神社本庁の戦前回帰策で洗脳された結果でしょう。今から思うと、統一狂会が一枚かんでいたのですね。なにしろ、洗脳ですから(^^; 気にくわんヤツラを締め上げてやれ、ということでしょうか。更新制度を医師免許にも導入するならわかります。でも、献金&集票マシーン、医師会の御意向を無視するはずがありません。
さて、件の教員免許更新制は大不評。当然ながら、この頃から、教職の人気は急降下。おまけに、子供を縛りつけるはずの部活が、教師も縛る。ブラック労働が敬遠されて、教員志望の学生も急減し、教員確保もままならない事態になってしまいました。これでは学校が立ちいかない。さすがに文部省はあわてて免許更新制を再検討。2022年5月、教員免許更新制度は廃止されました。この時の文部大臣は、安屁¨元総理の子飼い、萩生田光一。皮肉なもんですね。萩生田センセー、統一狂会のお許しは得たのでしょうか(^^;
教員免許更新制の廃止について、文部省のホームページには次のような文面が出ています。
「教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律」が成立
5月11日(水曜日)
教育
5月11日、参議院本会議において、今国会に提出していた「教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律案」が可決、成立しました。
本法律は、公立の小学校等の校長及び教員の任命権者等による研修等に関する記録の作成並びに資質の向上に関する指導及び助言等に関する規定を整備し、普通免許状及び特別免許状の更新制を発展的に解消するものです。
グローバル化や情報化の進展により、教育を巡る状況の変化も速度を増しています。このような中で、教師自身も高度な専門職として新たな知識技能の修得に継続的に取り組んでいく必要が高まっています。また、オンライン研修の拡大や研修の体系化の進展など、教師の研修を取り巻く環境も大きく変化してきました。
このような社会的変化、学びの環境の変化を受け、令和の日本型学校教育を実現するこれからの「新たな教師の学びの姿」として、主体的な学び、個別最適な学び、協働的な学びが必要であると考えております。
今後、本改正を踏まえ、個々の学校現場や教師のニーズに即した新たな研修システムを整備するとともに、文部科学大臣が定める教師の資質向上に関する指針の改正や、それに基づくガイドラインを新たに策定することを予定しています。
なお、教員免許更新制の解消に伴う、施行日(※)までにお持ちの教員免許状の取扱いについても、別途分かりやすく周知する予定です。
全国で「新たな教師の学びの姿」が構築できるよう、現場の先生を含む関係者や関係団体の皆様の御意見も伺いながら、文部科学省として必要な取組を着実に進めてまいります。
ダラダラとした文面はほとんど言い訳の羅列です。
中味はここ☟
『 本法律は、公立の小学校等の校長及び教員の任命権者等による研修等に関する記録の作成並びに資質の向上に関する指導及び助言等に関する規定を整備し、普通免許状及び特別免許状の更新制を発展的に解消するものです。』
内容は二つ。
1.公立の小学校等の校長及び教員の任命権者等による研修等に関する記録の作成並びに資質の向上に関する指導及び助言等に関する規定を整備する。
2.普通免許状及び特別免許状の更新制を発展的に解消する。
『発展的に解消する』とは笑わせますね。
どうでもいいことを最初に持ってきて、その後にくる本題への注目をそらす ・・・・・・・・
クズ政治家や官僚の姑息なやり方は、明治初期から150年以上たった今も変わらないのです。
それにしても、「高札」などというものは、時代劇などで見聞きしている程度で、特に関心も抱いていなかったのですが、この一連のシリーズを読んで、「目から鱗」という思いです。
高札をコレクションし、高札の意味を付加し、高札制度を解説した一連のものは、故玩館の誇る一大特徴ですね(^-^*)
本当は、「高札泣き笑い」のような内容が私としてはいいのですが、さすがに江戸期の瓦版や戯画にも、高札を揶揄したものは見つかりません(^^;
そうはいっても、この道は最後まで、真贋がつきまとうので気が抜けません。
おかげさまで、人間の真贋はかなり見抜けるようになりました。贋と付き合うのは全く時間の無駄(残された時間がわずか(^^;) さっさと引導を渡してやりましょう。