遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

久しぶりに金継ぎをしました(絵瀬戸網目紋茶碗など)

2023年02月27日 | 古陶磁ー全般

今年の冬は寒い日が続いたので、家の中でできることはと考え、溜っていた疵物陶磁器を金継ぎでまとめて修理しました。

もう、10年近くも金継ぎをしていなかったので、やり方を大分忘れていました。なによりも、肝心の生漆がカチカチに固まっていて使い物になりません。あたらしく購入しました。少しずつ思い出しながらやり進んで1か月、どうにか出来上がりました。反省点:磨きー塗りー乾燥の地道な作業をはしょったため、補修部の形が滑らかでない(^^;

普段使いの食器:

養老焼向付

麦藁手小皿

瀬戸麦藁手蕎麦猪口:

絵瀬戸網目紋茶碗:

この品々は、ブログ初出演です。というより、あまりに傷だらけなので、補修をしてからと思い、ずるずると今日まで(^^;

補修前の写真を撮り忘れました。すべての器に大きな傷が複数個。とても人前に出せる状態ではありません。もし全部の疵に金を蒔くとあまりにキンキラすぎて、民芸の良さが損なわれてしまいます。そこで、今回の茶碗には、金ではなく、ホワイトゴールドを蒔きました。

器にうまくとけ込んでいると思います。ホワイトゴールド継ぎの右横にある線は、焼継ぎで補修(江戸?)された跡です。大切にされてきた器なのですね。

全体の出来上がりは、これこのとおり(^.^)

径 11.8㎝、高台径 4.7㎝、高 8.1㎝。江戸後期ー明治。

つまみの濃茶の部分は、あえて何も蒔かずに、漆のまま残しました。

古陶磁の世界では、飯茶碗はあまり評価が高くありません。必死で集めているコレクターもほとんどいません。そんな中で、絵瀬戸の網目紋茶碗だけは、なぜか値が張ります。茶懐石などに用いられるからでしょうか。しかも、脆い陶器でありながら、磁器の向こうをはって、一人前に薄造り。傷のない品が稀なはずです。

というわけで、こんなに酷く疵のはいった器は普通はオシャカが当然なのですが、今回、必死で補修して、ブログお目見えとなった次第です(^.^)

 

 


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (kinntilyann)
2023-02-27 09:39:48
すごい!
織部降臨!!
野点の季節がまいりました。
良い一日でありますように(^^)/
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ホワイトゴールドで (うばゆり3)
2023-02-27 10:02:44
こんにちは。

普段使いは欠けますと処分ですが、昔のものは金継ぎをしてあり、それがまたいいのですよね。
でも、ホワイトゴールドでは初めて見ました。
落ち着いていていいですね~~

>絵瀬戸の網目紋茶碗だけは、なぜか値が張ります

そうなのですか。勉強になりました。沢山拝見させて頂いてありがとうございます。
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Unknown (1948219suisen)
2023-02-27 10:25:19
こういうふうに直せることも存じませんでした。直せば、ずっと使い続けることができるのでございますね。直すことにより愛着も増してくるかもしれませんね。
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kinntilyannさんへ (遅生)
2023-02-27 10:39:20
うさぎさんにそう言ってもらえると光栄です(^.^)
土物は、土の近くで使うのが良いですね。
花の下での脱コロナ野点、最高でしょうね。
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1948219suisenさんへ (遅生)
2023-02-27 10:44:05
誰が考え出したのか知れませんが、こういう漆補修は時として無傷の品よりも味わい深くなることがあります。それに、漆接着は想像以上に丈夫です。
西洋にも長い補修の歴史があります。日本と違って、できる限り直しがわからなくする修理法です。
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うばゆり3さんへ (遅生)
2023-02-27 10:50:41
だんだん溜ってきて気になってはいたのですが、ずっと放ったままになっていました。男の仕事は、やり始めるまでがなかなかですね(^^;

私が主に使っているのは、金、次が銀です。金継ぎ教室では、金、銀、ホワイトゴールドをセットで定期的に購入したので、ホワイトゴールドが沢山あり、在庫処分も兼ねてやってみました(^^;
銀と違って、黒くなりません。かと言って、金ほどキンピカでないので、案外使い道は多いのかなというのが実感です。
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遅生さまへ (くりまんじゅう)
2023-02-27 17:19:55
昨年の夏NHKであった『ゴッドハンド』を観たとき
割れた ととや茶碗の欠損した△の部分が金継ぎで修復されており
素人は 金を使ったら豪華だわ と見ましたがその金継ぎをはがして
△部分を元の茶碗の色と質感に ゴッドハンドが修復しました。

驚きの数々でしたのでblog記事にしたとき 遅生さまからコメントをいただき
金継ぎをされるということで 見せてもらうのを楽しみにしていました。

素人は金継ぎしか知りませんが ホワイトゴールドを使うやり方もあるのですね。
この場合 銀継ぎとは呼ばないですか?欠けたところがたくさんあっても
遅生さまのゴッドハンドで 以前より味わい深くなった気がします。
こうして使ってもらえる皿・器は幸せですね。
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遅生さんへ (Dr.K)
2023-02-27 19:48:11
遅生さんは、補修を習ったのでしたよね。
まめに、丁寧に直していますね。

私も補修はしますが、補修したものを眺めるだけで、使うことを前提にとしませんので、自己流で、しかも、いい加減です(~_~;)
パテや白セメントなどで疵を塞ぎ、そこに水彩絵具を塗るだけです(~_~;)

遅生さんに補修されたものは、実用にも使えますから、直された器たちも喜んでいることでしょうね(^-^*)
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くりまんじゅうさんへ (遅生)
2023-02-27 19:55:37
ゴッドハンドでは従来の金継ぎではなく、限りなく元の姿に近づける修復法が紹介されていました。凄い技術だと思います。このような修復行う人は他にも何人かおり、ずっと昔、大きく割れた逸品を持っていて、何とかキレイに直したいと、人づてに聞いてもらいましたが、とても私ごときのかなう額ではありませんでした。
その点、金継ぎなら私のような素人でも何とかなります。しかも、時にはかえって味わい深くなることもあります。
金以外に、銀継ぎが一般的です。ホワイトゴールドはマイナーです。金にパラジウムなどが混ぜてあり、見る角度によって少しゴールドがかって光ります。銀のように黒くならず、ずっとピカピカです。何を使うかは好みです。
かえって味わい深くもなります。
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Dr.kさんへ (遅生)
2023-02-27 21:05:02
もう相当やってませんから、かなり忘れていました。たとえば、漆の固化を早めるために添加剤を加えるのですが、その比率をまる忘れ(^^;
金継ぎの出来栄えは、漆で埋めた所の成形如何です。そのために、塗ー固化ー削りを繰り返します。特に削りは、サンドペーパーでは陶磁器の表面を傷つけるので、トクサを使います。これに時間がかかり、指が痛くなります。で、今回はサボり、1回ですましました。
結果、どうも滑らかではありません(^^;
金継ぎは、使っていると金が少しずつ取れてきます。蒔き直せばいいのですが・・・そのままだとみすぼらしいです(^.^)
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