今回の品は、珍しい墨絵の能画です。
70.4㎝ x 95.3㎝。昭和。
作者の詳細は不明です。
タイトルには「夜の祈り」とありますが、能『鉄輪(かなわ)』の前半部の情景描写と思われます。
鬱蒼とした大木が茂る中、何かに憑かれたように女が夜道を急ぎます。
能『鉄輪』は、若い女に走り、自分を捨て去った夫に対する激しい怒りと恨みで、鬼となった都の女の物語です。前半は、貴船神社へ参詣をする女に、丑の刻参りによって鬼に変身させるとの神託が下ります。後半、鬼女となった女は、凄い形相で恨みを語り、夫と新妻の人形を激しく責め苛みますが、陰陽師、安倍清明の祈祷により、とりあえずその場を去って行きます。
鬼女が登場する能は多くありますが、最後まで怒りを失わない設定の能は『鉄輪』だけだと思います。鬼女は一時退散するだけなのです。
鬼女のつける面も、怨念がつのった面で、前半は泥眼、後半は橋姫です。
『鉄輪』では、後半部、五徳に燃え盛る蝋燭をつけた鬼女の立ち回りが有名です。しかし、前半部、女が怨念に燃え、鬼女に変身する様も見所です。
今回の絵画の女は、いかにもいわくありげな表情をしています。目に金泥は塗られていませんが、面としては、泥眼と考えてよいでしょう(墨一色の絵だとばかり思っていましたが、ほんのわずかに彩色がなされています)。
真夜中に貴船神社を参詣する女 ・・・・・そうだ、人頭燭台。
和ろうそくをセットして、夜を待ちます ・・・・
女が現れました。
蝋燭を燈します。
芯をきらないと、どんどん焔が大きくなります。
危ないので、息を吹きかけて、消しました。
やがて女も、煙のように消えて行くのでした(^.^)
最近、疑問に思えてなりません。ヒット作のない監督さん、どうやって喰っているのでしょう(^.^)
それぞれ単独でも十分に貫禄があるのですが、コラボで1+1がいくつになったでしょうか。
そういえば、最近は夏でもホラー物があまり流行りませんね。
映画もそうですが、白黒は幻想的ですよね。
コレクションを組み合わせて「監督」の力量発揮ですね。
楽しみました!
日本伝統の怪談話の雰囲気がとても良くでているように思います
昭和30年代あたりには新東宝が怪談映画を量産しており、ワタシは近年何本か見ましたが
怖くはないものの、十分に楽しめました。
蝋燭の焔がもう少し揺れてくれると雰囲気が出たのですが・・・どんどん焔が大きくなり、風を入れるのは危ないのでやめました(^^;
貴船神社や鞍馬寺は相当に奥深いです。呪いのためとはいえ、こんな所へ深夜女性が参詣することは物語以外ではあり得ないでしょう。
早速実行されたのですね(*^^*)
やはり蝋燭が絵に動きを出してくれますね。
使ってこその人頭燭台なのですね(;^_^A
神社好きですから貴船神社は行ってみたい神社なのですが、行ったら、このお話を想いだすでしょう(;^_^A
実は、Drの芯入れのブログコメントで、あっそうそう、となり、別府細工の芯入れを紹介しました。その時すでに、芯入れ ⇛人頭燭台 ⇛墨絵の能画 のルートが浮かんでいたのです(^^;
この作者はセミプロ画家かもしれませんね。ずっとほうってあった品です。おかげさまで、今回日の目をみました(^.^)
描写は細かく、光と影の描写も見事ですね(^-^*)
さっそく、前回の人頭燭台が活躍していますね(^-^*)
すかさず、前回の人頭燭台を活躍させるなど、遅生さんの創造力と実行力にも乾杯です\(^O^)/
ただ、やはり五徳がないと迫力に欠けますね。
人頭の赤蝋燭で代わりをしてもらいました(^.^)
1972年の新藤兼人監督「鉄輪」における音羽信子さんの形相を思い出しました。