遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

これも禁裏御用品? 古伊万里染付竹菊紋小皿

2021年03月13日 | 古陶磁ー全般

前のブログで、江戸時代に宮中で使われたと思われる2種類の皿を紹介しました。

その皿を入手した店で、半年後、似た皿をみつけました。

同一手、2枚です。

いずれも、周囲に使用痕が多くあり、私が金継ぎで補修しました。

 

16弁の菊花、3個が竹の間に散らされています。

皿を3分割した絵柄というよりは、3回対称のデザインと言った方が良いでしょう。

径 11.5㎝、高 2.6㎝、底径 6.1㎝。江戸中~後期。

以前の2枚の皿より、一回り小さい、文字通りの小皿です。

 

裏の圏線、唐草模様など、以前の皿とほぼ同じです。

唐草模様は、丁寧に描かれています。

 

竹の円弧もふくめれば、この皿は丸づくしです。

十六弁菊花の外周をぐるっと円がめぐっているので、手っ取り早く八重菊になっていますね(^.^)

圏線は轆轤で回せば楽に描けるとしても、菊花の周の円などはフリーハンドで描くのでしょうか。

菊花をよく見てみると、まず円を描き、それに沿って花びらの丸い部分をグリグリと16描き、直線で結んで16弁の花にしているようです。手慣れた職人技とはいえ、大変ですね。

よく見てみると、竹の方がもっと手がこんでいます。

これだけびっしりと竹が描き込まれていると、16弁菊花の重みが薄れます。

それでも、この皿は禁裏御用品なのでしょうか。

御用品というより、どことなく鍋島の雰囲気が少し感じられる?・・・・・相変わらず、自分の品には贔屓目の遅生でした(^.^)


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6 コメント

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遅生さんへ (Dr.K)
2021-03-13 14:33:12
これも、平戸ではなく、有田で焼かれたようにみえますね。

裏面の繋ぎ唐草文は、枠取りをして、ダミ染めをしているのでしょうか、、。
先回までの裏面の繋ぎ唐草文は、付立て風で描かれていると思いますが、これは違いますね。丁寧な描き方で、時代も遡りますよね。

竹の文様など実に丁寧に描かれていますよね。
江戸期に、有田の禁裏御用窯を務めた辻家は、このようなものを作っていたのでしょうか、、、。
貴重な資料になりますね(^-^*)
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Dr.Kさんへ (遅生)
2021-03-13 15:46:13
きちんと枠取りをして、中を埋めています。
本当に小皿ですから、細い唐草です。そこまでする必要もないように思うのですが、仕事きっちりですよね(^^;
特に、竹の部分は手間がかかると思います。
伊万里の心意気ですね(^.^)
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先日はありがとうございました (ゆり)
2021-03-13 22:55:27
こんばんは。

私は裏を見て、銘が入ってないと普段使いのお皿なのか…なんて思ってましたが、
お教えいただいてみる目が少し変わりました。

母屋には少ししか昔のものは出してありませんが、土蔵他物置のものを見るのが楽しみになりました。

ご自分で金継ぎで補修をなさるんですね。こういうお皿も見ましたよ。
そうはいえ、忙しくなり、いつ土蔵へ入れるか・・・です。
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ゆりさんへ (遅生)
2021-03-14 06:24:17
物を見る目とは不思議なもので、何かのきっかけでガラリと変わることがあります。
今振りかえってみると、その感覚が味わいたくて、これだけ長い間、ガラクタ遊びを続けてきたのだと思います。(^.^)

土蔵の中の物たちが、また、新たな目に気づかせてくれるかもしれませんね。
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匠の逸品は普段使いこそ (ダム)
2021-03-14 06:40:07
遅生さん、おはようございます。
今回のお皿、宮中ながらも「普段使い」のものだったとしたら、まさにお皿冥利に尽きるのではと思いました。
有名な作家さんがこしらえた器になると、中には飾っておく方もみえます。
高額な物であれば、それもいたしかたないとは思いつつ、僕は使ってなんぼとも思います。
一方、現在は100円均一のお店でも、お皿を手に入れることができます。
作家さんの顔が見える焼き物を、買い手のお財布が悲鳴をあげない(苦笑)程度で買い、その人の日常に潤いを…。
僕の街の焼き物たちも、買ってよし、売ってよし、世間よしになると良いのになぁと思う次第です。
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ダムさんへ (遅生)
2021-03-14 10:01:21
これは禁裏御用品のうちでも、初期の品だと思われます。まだ窯元が自分たちの発想を活かせた時期の物でしょう。幕末以降は、いかにもという品になってしまい、面白みに欠けます。ただ造りは上手ですから、下賜品とはいえ、これを使えば贅沢な気分になれます。

今はどこの焼物産地も、海外からの廉価品に対抗するのが難しくなっています。縫製品と同じ運命をたどってしまうのでしょか。
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