遅生の故玩館ブログ

中山道56番美江寺宿の古民家ミュージアム・故玩館(無料)です。徒然なる日々を、骨董、能楽、有機農業で語ります。

敗戦特集 4.代用品、ガラス戸滑り

2019年08月16日 | 敗戦特集

戦時中のガラス戸滑りです。

金属製の戸車の代用品として作られました。

戦争中、あらゆる面で軍事優先、金属類は武器、兵器の製造に使われ、生活用具には金属がまわされなくなったのです。やむを得ず、木、紙、陶磁器、ガラスなど他の材料が使われるようになりました。

この品は、ガラスでできた戸車の代用品です。陶磁器でできた物もあります。相当量の品が作られたようで、今でも、骨董市などでお目にかかれます。

 

 4種類のガラス製戸滑りです。

左から、木枠付きガラス戸滑り(ウグイス色)小、3.3㎝(ガラス部)5個 ; ガラス戸滑り(青色)大、5㎝、2個; ガラス戸滑り(青色)中、3.9㎝、2個; ガラス戸滑り(濃青)小、3.4㎝、1個

 

ガラス戸滑り(青色)大、2個です。

 両端に、半円上の穴があります。釘で直接とめるためのものでしょうか。

 

 気泡とヌメリ感。やはり、戦前のガラスです。

 

 側面には、模様にも見えるウネリが。

 

 

ガラス戸滑り(青色)、中、2個です。

 いかにも模様に見えますが、やはり製造時についたものでしょう。

 

 

ガラス戸滑り(濃青)小、1個です。

 

 

 

 木枠付きガラス戸滑り(ウグイス色)小、5個です。木枠付きの品は少ない。

「特許 伊丹式戸滑器」とあります。

何が特許なのでしょうか? 

 

 よーく見ると、ガラスの両側はテーパーになっています。木に台形の切り込みを入れて、ガラス部を嵌め込んであります。

 

 こんな形で使います。ピッチりと嵌め込まれているので、戸が動いても緩むことはありません。

これが特許なんでしょうね。

 

ガラスだけの戸滑りもよく見ると、全部、両端がテーパーになっています。

木の薄い部分は、2-3㎜の厚さです。切り込みは、かなり精密な仕事がなされています。また、木部の両側には、釘を打つための穴もあけてあります。これなら、ガラスと釘が触れ合わずに、ガラス戸車を戸に取り付けることができます。

家にある古い戸に、この木枠付きガラス戸滑りを取り付けて使ってみました。結構、滑ります。少し油を垂らしてやれば、もっとスムーズに動きます。乱暴に開け閉めしなければ、ガラスが割れることはないようです。


戦争に金属を使われ、やむを得ずガラスで代用した戸車ですが、日本人の創意工夫はこんなところにも生かされていたんですね。

 

 

 

 

 

コメント (8)
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