彼女の左腕のバンダナをちらりと見て、もう1度目を合わせた。
彼女が小さく、うなずいた。
彼女に手をのばして、ゆっくりとバンダナをほどいた。
目の前に、ケロイドのような、赤黒い、無数の傷痕が現れる。
そっと触れてみると、でこぼこしていて、固かった。
彼女の体は小さく震えていた。
その震えを押さえるだけの力で、そっと彼女の両肩に、両手をおいた。
傷痕に口を近づけて、ぺロッと舐めてみた。瞬間、彼女の体がビクッと動いた。
顔をあげて、彼女の目を見た。
ダイジョウブ。
そう目だけで合図して、再び顔を下ろした。
腕を掴み、傷痕に口を近づけて、噛み付く。
「……ツッ!」
彼女が悲痛の声をあげる。だが、おれは己の牙を抜かない。
傷痕から血を吸いつくすように、牙と唇を離さない。
やがて、
彼女は声をあげなくなった。
そして、
感じるはずのない彼女の血の味が、おれの口の中に広がった。
その瞬間、両目から涙がこぼれた。
そのまま彼女の両肩をぎゅっと掴んで、左肩に顔をうずめて、咆えるようにして泣いた。
彼女は何も言わなかった。
おれはしばらく、自分の体の震えと嗚咽を、止めることができなかった。
最後にそっと、傷痕に口づけた。
顔をあげて、彼女の顔を見る。
ごめんね
涙で濡れた彼女の頬を、掌で拭った。
今すぐ抱きしめたいけれど、その前に、云わなきゃいけないことが、ある。
≪つづく≫
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彼女が小さく、うなずいた。
彼女に手をのばして、ゆっくりとバンダナをほどいた。
目の前に、ケロイドのような、赤黒い、無数の傷痕が現れる。
そっと触れてみると、でこぼこしていて、固かった。
彼女の体は小さく震えていた。
その震えを押さえるだけの力で、そっと彼女の両肩に、両手をおいた。
傷痕に口を近づけて、ぺロッと舐めてみた。瞬間、彼女の体がビクッと動いた。
顔をあげて、彼女の目を見た。
ダイジョウブ。
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腕を掴み、傷痕に口を近づけて、噛み付く。
「……ツッ!」
彼女が悲痛の声をあげる。だが、おれは己の牙を抜かない。
傷痕から血を吸いつくすように、牙と唇を離さない。
やがて、
彼女は声をあげなくなった。
そして、
感じるはずのない彼女の血の味が、おれの口の中に広がった。
その瞬間、両目から涙がこぼれた。
そのまま彼女の両肩をぎゅっと掴んで、左肩に顔をうずめて、咆えるようにして泣いた。
彼女は何も言わなかった。
おれはしばらく、自分の体の震えと嗚咽を、止めることができなかった。
最後にそっと、傷痕に口づけた。
顔をあげて、彼女の顔を見る。
ごめんね
涙で濡れた彼女の頬を、掌で拭った。
今すぐ抱きしめたいけれど、その前に、云わなきゃいけないことが、ある。
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