福岡タワーとの対話

タワーと出会い早30年。動画制作にも意欲を持つ令和版高齢者!

山本一力著「牛天神」再読

2019年08月25日 08時41分52秒 | 積読、音読、心読
2019年8月25日日曜日、天候曇り。午前8時現在時外気温21.7℃湿度75%、南東の風2.1m/s。
随分と涼しい朝だ。室内のエアコンを止め、窓と言う窓を開ける。
ひんやりとした気持ちの良い風が肌をくすぐる。
これからこれでいいのだと思うくらい、気持ちいい。

山本一力の本を読んだ。
以前にも読んだ本であるが今回、再読した。
「牛天神」

損料屋喜八郎シリーズである。
火除跡地に建てた市場で食材等をディスカウントして売り、
深川の町で商う店と客の争奪を図り、店の商売が立ち行かなくなるのを意図するところから、
今回の筋書きが始まる。
現代版ディスカウントストアとでも言おうか。
深川で買えば二十四文の豆腐を、半値の十二文で売り捌くとか、
赤を見込んで客を奪うやり方は、現代に通じる乱暴な商売とも言える。
これまでの商いで太刀打ち出来なくなった店を、居抜きで買い取ると言うのが、
狙いのようである。
現在でも見かける様相だ。

恐らく著者は、江戸時代の昔も平成(令和)の今も同様だと言いたいのだろう。

その背景にあるものは、深川の町に怨嗟を残す一人の商人の心。
人並みな生活を送れば有り得ないことでも、父を失い、母と生き別れになった少年は、
そのことをバックボーンとして、或いは糧として生きて来たのか。

この著者の作品によく見られる筋書きである。
人並みに生きた人生と、そうでない人生の対比。
そうでない人生を経た人物が財を成し、仇を討つ展開。
いわゆる、ワンパターン。
またか、と思いながらも読み進んでしまう。

何となく先が読めてしまうつまらなさもあるが、「まあ、いいか」と妙に頷いてしまう。
今回の読後感にも、その思いを色濃く残した作品であった。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。