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季節の中で 暮らしの中で -Through the seasons and daily life-

現代の都会でプチ昔&田舎暮らし
-old & country style in modern urban life

ビッグフィッシュ

2013-05-27 21:59:03 | ハンドワーククラブ HandworkClub
ハンドワーククラブにて。

もうすぐ雨が降る。わかる。
私の髪がうねってるので。 みんなの話によるともう梅雨に入るそうです。
蒸し暑い今日、それでも編み物やフェルトに取り組む人たち。

指編みでもうきっと何十メートルも編んでいる彼女だけど、一通り終わったら寂しくて仕方がないそう。
それで「ある毛糸どれでも使ってどんどん編んで良いよ!」と言う。彼女の好きな色を持ってくる。
出来た物は私がまとめて一つの作品に仕上げます。ぼちぼち。

セーターを編む彼は何回も着ては脱いで編んで…を繰り返しています。
袖の減らし目を自分の体に沿わせて決めている。面白いなあいつも。

いつもフェルト修行に余念のない彼女は今日も自分のペースで作品作りを深めて広めている。観ていて清々しいほどの前向きなパワー。

彼女はお孫さんにベレーを作っている。羊毛を乗せてる景色がとても可愛い。

       

出来上がりはこんな感じです。

       


話していると時々前にいた人たちの話になる。
今日も一人の伝説の人が。

毎回「何をやっとるんや。」と言って初めてのように訪れる。
そして「ハンドワークです。何か作りますか?」って聞いたら「やってみても良いな。」って言って座る。
「何がいいかなあ?」と言っていろいろと提案するのだけど、結局いつもの小さな手織り機を出して織り始める。そして「簡単なようで難しいな」と言う。

他の人が何を話をしていてもいきなりいつも話し出すのは軍艦に乗っていた時代の話。
それでみんなから「艦長」と呼ばれています。

いくつかのエピソードをみんなに話す。
どれもこれも生々しい戦争の武勇伝や世界に船で行ったお話。
私はそれらをもう何十回も聞いたのでそらで話せる。

前に観た映画でビッグフィッシュと言うのがある。



お父さんに子どもの頃からずっと聞かされていた話がほら話だと思う青年の話。
私たちも聞いているときはこの人みたいに半信半疑だった。

だって「オーストラリアの南を航行していた時に甲板から釣りをしていたらペンギンがかかった」って話や
「アメリカの湾で急にアメリカの船が半旗を掲げたと思ったらケネディーが亡くなってた」って話や
「ああそう言えばクリスマスに教会に行ったことあるなあ」と言うのでどこでですか?と聞くと「サンフランシスコや」と言ったり
「スエズ運河を航行するときは河岸に兵隊がこっちを狙って並んでて怖かったぞ」って話
3回沈没して「アップアップしてる時にフカのヒレが足に当たるんや。」って話など
ね、一つ一つがものすごい話です。それを淡々と語る。
少年兵で何の訓練もされないでいきなり軍艦に乗せられて厳しい規律に絶えないと行けなくて
機関銃をいきなり持たされて銃撃戦で誤って暴発してたいへんな事になった話など。

どれもこれも私たちからしたらおとぎ話のようなお話だ。
私はそれを数年間毎週のように聴いた。
その時はハンドワークも今ほど盛んじゃなかったからあるときは私と艦長二人でずっと過ごした事もある。
それが最少人数。

毎回「じゃあまた来週!」って言って帰って行って、また次の時は初めて来たみたいに現れる。
そんな不思議な時を過ごした。
艦長は小さなお爺さん。断酒後はお酒も飲まず、規則正しい生活をずっと続けていた。断酒会や体験談に参加しないので有名。
時々思う。あの人はもしかして妖精だったんじゃないかしら?って。
それくらい異次元の人でした。

みんなで時々懐かしんでいます。艦長どうしてるかな?って。

来なくなってから相当年月が経ってるから、こっちにいるのかあっちにいるのかそれはわからない。
それでもみんなで懐かしんでいます。
普通に会話は出来なかったけど、私たちはあったかい絆で繋がってたと思う。
そんな人たちが何人もいます。

「私の職場では一年に知ってる人が何人も亡くなったりする。」と言うと
それはたいへんな所だね、って言われる。
でもそれは本当だから仕方ないし、平気かって言われたらそうではないけど受け入れる体制は出来ている。
そしてそう言うのを繰り返しているとなんだか向こうの世界とこっちの世界が結構繋がってる気もする。
いないけどいる。みたいな。
今日も艦長と一緒に素敵な時間を過ごせたのかもしれない。
あっちからメッセージを貰ったり、こっちから温かい声援を送ったりできる気がする。それは生きてても亡くなってても。

会えなくなった人たち、どこにいたとしても幸せであったかく明るく暮らしてて欲しいなあと思います。そしていつかまた会いましょう!再会を楽しみにしています。
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