晴れときどき化学、ところにより雑想

もしかしたら何かの役に立つかもしれない化学のお話(と、よしなしごと)

得意なことを伸ばす

2012年03月31日 23時14分01秒 | よしなしごと
学校の勉強では、たいてい不得意科目をなくすことが要求されますが、

社会に出ると、自分の得意なことを伸ばす方がよいことがわかります。


その理由のひとつとしては、

学校の勉強(テスト)は自分ひとりで行わなくてはいけませんが、

社会人のお仕事は、たいてい複数の人で構成されるチームで行われることが多いから、

ではないかと思います。


複数の人が集まるチームでは、それぞれのメンバーがお互いに得意なことを持ち寄ると同時に、

個々のメンバーの弱点はそれ以外の人がカバーすれば問題にならなくなります。

そうなると、それぞれのメンバーが得意分野においてどれだけ秀でているかが重要になります。


学校のテストでは上限が100点と決まっていますが、

社会人のお仕事においてはテストのような点数の上限はなく、仕事のレベルは高ければ高いほどよいので、何かに秀でている人は重宝されます。


学生のうちから、学校の勉強がすべてではない、ということを実感として知っている方が、後々変なところでつまづくことが少ないようにも思います。



アクリル繊維

2012年03月30日 01時14分05秒 | 化学のお話
アクリル繊維は、アクリロニトリルを付加重合させることで得られるポリアクリロニトリルを主成分とする合成繊維のことです。

アクリル繊維は一般に、染色性、吸湿性、溶解性、摩擦強度などの繊維性能を向上させる目的で、アクリル酸メチル、酢酸ビニルなどの成分を少量入れて共重合させることにより製造されます。

※ポリアクリロニトリル単独ではあまり用いられないようです。


合成繊維の中では最も羊毛に似ていて触感がよく、軽くて柔軟で、保湿性があります。

セーターや毛布、じゅうたんなどに用いられるほか、羊毛や木綿と混紡して衣料品に用いられます。

また、アクリロニトリルと塩化ビニルを共重合させた繊維は難燃性なので、防災用のカーテンやカーペットなどに用いられます。


なお、アクリル繊維を空気中で数時間熱処理した後、不活性ガス雰囲気下で高温加熱することにより、軽量で高強度・高弾性の炭素繊維(PAN系炭素繊維)が得られます。



アクリロニトリル

2012年03月29日 23時15分19秒 | 化合物のお話
アクリロニトリルは、プロペンニトリル、シアン化ビニルとも呼ばれる化合物で、CH2=CHCNという構造を有しています。

無色の引火性の液体であり、甘い臭気があって猛毒の化合物です。

光により徐々に黄色に着色し、強酸、強塩基、硝酸銀などの存在下で爆発的に重合する性質があります。

※保存方法としては、空気に触れるのを避けるため不活性ガスを封入した上で、重合禁止剤としてアンモニア、塩化銅(I)などを加えて冷暗所にて保管します。


アクリロニトリルは活性の高い二重結合を持っているので、ディールス・アルダー反応における親ジエン化合物として反応させることができます。

また、塩基触媒の存在下で、アルコール、アミン、アミド、アルデヒドなどの活性水素を持つ化合物を二重結合に付加させることも可能です。


アクリロニトリルの製法は、

1)塩化銅(I)触媒存在下でアセチレンにシアン化水素を付加させる。

2)エチレンオキシドとシアン化水素からエチレンシアノヒドリンを合成して脱水反応を行う。

3)金属触媒の存在下、プロピレンとアンモニアと空気から合成する(プロピレンのアンモ酸化(ソハイオ法)による)。

などがありますが、現在は上記の3)の方法で工業的に製造されています。


また用途としては、

・アクリル繊維、合成ゴム(ニトリルゴム)、合成樹脂の原料

・塗料や接着剤、医薬品、染料などの原料

・酸化防止剤、界面活性剤などの合成中間体

・貯蔵用穀類のくん蒸殺虫剤

などが挙げられます。



アルケン

2012年03月28日 22時39分51秒 | 化学のお話
アルケンは分子内に二重結合を1つ持つ鎖状の不飽和炭化水素の総称で、エチレン系炭化水素、オレフィン、アルキレンなどとも呼ばれます。

※エチレンの同族体で、一般式がCn2nで示される化合物です。

炭素数1~4までのものは常温で気体、炭素数5~17までのものは液体、炭素数18以上のものは固体として存在します(この点はアルカンとよく似ています)。

※なお、二重結合が分子末端ではなく内部にある場合には幾何異性体が存在します。


石油化学工業原料として重要なエチレン(C24)、プロピレン(C36)、ブテン(C48)などは、天然ガスやナフサ分解ガスなどから分離されるか、

あるいはこれらのガスから得られるアルカンの熱分解によって工業的に生産されます。


実験室でアルケンを生成する方法には、アルコールを脱水する方法や、三重結合をもつ化合物に水素を付加させる方法、ハロゲン化アルキルの脱ハロゲン化水素、1,2-ジハロゲン化合物の脱ハロゲン化、などがあります。


一方でアルケンの二重結合には、水素、ハロゲン、ハロゲン化水素などが容易に付加します。

また、アルケンは二重結合の部分で重合させることができます。

このように化学反応性が高いことから、様々な付加反応や重合反応を行って多彩な化合物をつくることができるのが特徴です。

高温高圧条件下や、チーグラー・ナッタ触媒を用いた低圧条件下でエチレンやプロピレンを重合させることにより、代表的なプラスチックであるポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンが製造されているのがその一例です。



ある調査結果を見て

2012年03月27日 23時49分11秒 | よしなしごと
少し古いですが、平成17年度に実施された「教育課程実施状況調査」の結果を見ていました。

この調査には生徒を対象とした質問紙調査があるのですが、その「化学I」の結果を見ると、

・化学の勉強が好きだ
・化学の勉強は入学試験や就職試験に関係なくても大切だ

という質問に肯定的な回答(そう思う、どちらかといえばそう思う、の合計)がどちらも約3割でした。


これを多いと見るか、少ないと見るかは意見の分かれるところだと思いますが、

同じ質問で「国語総合」の場合には、

・国語の勉強が好きだ、に対する肯定的な回答が約5割
・国語の勉強は入学試験や就職試験に関係なくても大切だ、に対する肯定的な回答が約8割

あることを考えると、

化学はあまり評価されていないなあ、とついつい思ってしまいます。


しかしながら、

・化学の勉強は自然や環境の保護のために必要だ

という質問に対する肯定的な回答が約7割も(?)あることから、

まだまだ捨てたものではないのかも、などと思ってしまいます。

※要するに、生徒さん達も見るべきところはしっかり見ているということかもしれません。


「化学の勉強が好き」と一人でも多くの人に言ってもらえる状況をつくっていけば、この結果ももう少し違ったものになるかもしれないなぁ、

などと考えつつ、今回はこのあたりにします。



※平成17年度教育課程実施状況調査に興味がある方はこちらのサイトで公開されていますのでご参照ください。



アルカン

2012年03月26日 22時37分28秒 | 化学のお話
アルカンは、炭素どうしの結合がすべて単結合で、環状構造を持たない鎖状構造の炭化水素のことです。

※安定でほとんどの試薬への親和力が小さいことから、これを示すラテン語の "parum affinis" に由来するパラフィン(paraffin)系炭化水素とも呼ばれます。

アルカンはメタンの同族体で、一般式Cn2n+2で表されます。

可燃性で炭素数1~4までは常温で気体、炭素数5~17までは液体、炭素数18以上はろう状の固体として存在します。


アルカンは化学的に非常に安定な化合物で、炭素数4以上の炭化水素には異性体が存在します。

※なお異性体の数は以下のように炭素数の増加とともに急激に増大します。
(C4:2種類、C5:3種類、C6:5種類、C7:9種類、C8:18種類、C9:35種類、C10:75種類、・・・、C15では、なんと4347種類の異性体が理論上可能となります!)。

また直鎖の炭化水素では、炭素数が多くなるにつれて融点、沸点、比重が高くなる傾向にあります。
(沸点は異性体のうちで側鎖の多いものほど低くなります)。


ちなみに天然ガスにはメタンを主成分とするもの(乾性ガス)と、メタン以外の炭素数の少ないアルカンを主成分とするもの(湿性ガス)があります。

※一方で石油は、炭素数1のメタンから、炭素数70のヘプタコンタンまでの種々の炭化水素の混合物です。


アルカンは、石油の分留によって分離する方法、アルケンやアルキンなどの不飽和炭化水素を水素添加する方法、一酸化炭素と水素の混合物を鉄やコバルトなどの金属触媒上で反応させるフィッシャー・トロプシュ法などによって得られます。

気体や液体のものは燃料として、固体のものは防水材料、ろうそくや軟膏の基剤などに用いられます。

特に炭素数1~6のアルカンは石油化学工業用原料として重要です。


なお、都市ガスはメタン(CH4)が主成分であり、プロパンガスは文字通りのプロパン(C38)とブタン(C410)が主成分です。

※メタンやプロパン、ブタンはもともと無臭なので、ガス漏れの際にすぐわかるように臭いをつけてあります。



地域の講演会にて

2012年03月25日 16時12分39秒 | よしなしごと
先日、地域で主催された講演会を聴く機会がありました。

テーマとしては最近の科学に関する内容(環境関連)だったので、一般の人に詳細まで理解してもらうのはかなり難しいだろうなぁ、と思っていたのですが、

講師の方は、簡潔でわかりやすくお話をされていて、大変よかったです。

それと同時に、自分の専門について一般の人に話す機会が仮にあったとして、その際にわかりやすく説明できるだろうか、と考えたりもしました。


そもそも「わかりやすさの基準」が何かということになるとは思いますが、少なくとも、

・話す内容について詳しく知っていること

に加えて、

・その内容について、やさしい(噛み砕いた)言葉への変換や、身近なたとえを用いた説明ができること

が必要なのではないか、と思いました。


結局のところ、専門用語の羅列をいかに少なくするか、が課題になると思いますが、

専門用語でしか説明できない(あるいは説明しにくい)ところをいかに工夫するか、

というところがポイントかもしれません。


日々少しでもレベルアップできるように工夫していきたいと思いました。



マグネシウム

2012年03月24日 11時39分32秒 | 元素のお話
マグネシウムは銀白色の光沢がある金属で、比較的やわらかい性質の金属です。

フランスのビュシーが、塩化マグネシウムを金属カリウムで還元することにより、はじめて単体として得られました。

※ちなみにマグネシウムの名前は、かつてマグネシウムを含む鉱物を産出していたギリシアのマグネシアという地名に由来しています。


マグネシウムは、海水や様々な鉱物に含まれていますが、単体では存在していません。

純金属の状態では酸化されやすい性質ですが、室温では表面に酸化皮膜が形成されるため、それ以上酸化されない状態となります。


マグネシウムは比重がアルミニウムより軽いため、軽量化を目的として合金の形で航空機や自動車の部品に使われますが、製造コストが高いのが難点でもあります。


金属マグネシウムは塊の状態では燃やすことが難しいですが、粉末やマグネシウムリボンのような反応しやすい形にすると燃えやすくなります。

また、その適度な反応性の高さを利用して、チタンを精製する際の還元剤として使用されています。


マグネシウムはヒトや動物にとって必須元素のひとつであり、何らかの形で摂取する必要がありますが、通常の食事を摂っている限りは問題にならないと言われています。

また、クロロフィル(葉緑素)の中心部分にはマグネシウムが存在することから、植物にとってもマグネシウムは重要な元素であることがわかります。


※余談ですが、にがりの中にも硫酸マグネシウムなどの形でマグネシウムが含まれていて、それが苦味を感じる理由のひとつになっています。



リン

2012年03月23日 20時41分13秒 | 元素のお話
リンの元素名は「光をもたらすもの」という意味のギリシア語からきています。
(空気中で発光することからその名前が与えられました)。
  
リンの発見については、ドイツの錬金術師ブラントによって、ヒトの尿を蒸発させて得られた残留物から分離されたのが最初と言われています。

天然には質量数31の安定同位体が100%存在しており、リン灰石などのリン酸塩の形で産出されます。


リンの同素体の主なものとしては、以下のものがあります。

○白リン(黄リン)

不純物(赤リンの薄い皮膜など)で黄色く見えるため、黄リンと呼ばれることが多いです。

リンの同素体の中では最も反応性が高く、空気中で発火するため、水中で保存します。

また猛毒であり、致死量は0.15gです。

経皮吸収されて中毒を起こすこともあるので、使用時には換気が必要になります。
(大気中の濃度は0.1mg/m3以下であることが定められています)。


○赤リン

暗赤色の粉末で、白リンを空気のない条件で300℃に加熱すると得られます。

最近はあまり見かけなくなっていますが、マッチの側薬(箱の方に塗ってある茶色の部分:発火剤)として使われているのが有名です。


リンを含む有機化合物は主に農薬、殺虫剤として使用されています。

これらは、神経伝達物質であるアセチルコリンを分解する酵素(アセチルコリンエステラーゼ)の作用を阻害することにより、害虫に対する神経毒として効果を発揮します。

※なお、これらの殺虫剤はリン酸エステル型の構造を持っているため、環境中で比較的すみやかに分解されるのが特徴です。


生物に含まれるリン化合物の中で代表的なものとしては、DNAやRNAなどの核酸が挙げられます。

さらに生体にとって重要なものとしては、ATP(アデノシン三リン酸)があります。

これはエネルギーを蓄えておきながら必要なときに供給することのできる分子で、ATP分子内のリン酸結合が比較的大きなエネルギーを蓄えていることによるものです。

※細胞がエネルギーを必要とするときには、このリン酸結合を分解することで生じるエネルギーを利用することになります。



乳化重合

2012年03月22日 21時12分12秒 | 化学のお話
乳化重合は、水に不溶な(あるいは難溶性の)ビニル化合物を、乳化剤を用いて水に分散させた状態で重合させる方法です。

ここで用いられる乳化剤としては、アニオン性界面活性剤あるいはノニオン(非イオン)性界面活性剤が一般的です。


乳化剤によって形成されるミセル中にモノマー(単量体)が取り込まれた状態で重合開始剤を加えることにより、ラジカルが発生して重合が開始されます。

※使用される重合開始剤としては、過酸化物が用いられることが多いようです。

そして主にミセル内で重合が進んでいき、ポリマーが生成することになります。


乳化重合の利点としては、

・分子量の大きな高重合体(高分子化合物)を得やすい

・重合系の粘度上昇が比較的少ない

・水が連続層なので、重合で発生する熱の制御が比較的行いやすい

・生成物がラテックス状なので、重合体を単離せずにそのまま塗料・接着剤等の用途に使用できる

などが挙げられます。


乳化重合は高分子合成において優れた方法であるため、合成ゴム、水性塗料、接着剤などの幅広い分野で用いられています。



フェロモン

2012年03月21日 20時58分52秒 | 化学のお話
フェロモンは、生物により放出されて、同じ種の他の個体に特別な行動を引き起こす化学物質の総称です。

フェロモンの存在は多くの動物で知られていますが、特に昆虫などの知覚が未発達なものでは情報伝達物質としての役割が大きく、種類も豊富にあります。

そこで、ここでは昆虫フェロモンについて書いていくことにします。


フェロモンには、交尾、警報、縄張りの表示、営巣仲間の認識、道しるべなどにおける、一種の通信信号のような役割があり、ごく微量で十分な効果を示します。

また、フェロモンには、空気中を漂って嗅覚器官を刺激するものと、経口的に効くものの2種類があります。

性フェロモンやアリの道しるべフェロモンは前者、ミツバチの女王物質やシロアリの階級分化物質は後者に属します。

※なお、昆虫フェロモンの中には、数km先の遠方にまで届いて効果を示すものも存在するというから驚きです。


一般にフェロモンは、

・活性が極めて強く、種に特異的に作用すること

・殺虫剤などと異なり、抵抗性を持つような心配をしなくてよいこと

・揮発性が高いものが多く、分解されやすいため、残留性についても心配しなくてよいこと

といった理由から害虫駆除に役立てていくことが期待され、現在その方面での研究がかなり進んでいて効果を上げています。


ちなみに昆虫のフェロモンとして最初に解明された物質は、カイコの雌が雄を誘引する物質で、ボンビコールと呼ばれる化合物です。

これは炭素16個からなる(二重結合を2個もつ鎖状の炭素骨格を持つ)アルコールになります。

※なおこの物質の解明には、100万匹のカイコと20年以上の歳月が必要でした。

そしてこの化合物が同定されたことにより、フェロモンの科学が発展していくことになります。



チーグラー・ナッタ触媒

2012年03月20日 23時14分01秒 | 化学のお話
チーグラーによって見出され、ナッタによって改良された重合反応用の触媒です。

一般に、周期表1~3および11~13族元素の有機金属化合物と、4~8族の遷移金属化合物から成っています。


チーグラーは、トリエチルアルミニウム(Al(C2H5)3)と四塩化チタン(TiCl4)を用いて、低圧でのポリエチレンの合成に成功しました。

それまで、ポリエチレンは高温(190℃)、高圧(1500気圧)でしか得られないものとされていましたが、この触媒を用いることで、エチレンが常温、常圧で重合することがわかりました。


また、この触媒を用いて合成されるポリエチレンは、密度が高く、枝分かれがほとんどないため、結晶性が高いのが特徴です。


一方でナッタは、トリエチルアルミニウムと三塩化チタン(TiCl3)を用いることで、ポリプロピレンの重合に成功しました。


チーグラー・ナッタ触媒は、重合生成物が乱雑な構造にならず、立体的な規則性を保つことができることと、応用例がきわめて多いことが特徴です。


チーグラーとナッタはこの業績により、1963年にノーベル化学賞を受賞しました。



アンモニアソーダ法

2012年03月19日 23時40分03秒 | 化学のお話
アンモニアソーダ法(ソルベー法)は、

塩化ナトリウム(食塩)と炭酸カルシウム(石灰石)およびアンモニアを使用して、炭酸ナトリウムを製造する方法で、

この炭酸ナトリウムはガラスや石鹸の原料として有用です。

※ただしアンモニアは回収して再利用するため、理論上は消費されません。

なお、アンモニアソーダ法における中間生成物を除いた化学反応式は、

 2NaCl + CaCO3 → Na2CO3 + CaCl2 

となります。


ここで製造方法について、もう少し詳細に見ていくと以下のようになります。

1)まず炭酸カルシウムを加熱し、酸化カルシウム(石灰)と二酸化炭素を発生させます。
(後の工程で二酸化炭素を使用するためです)。

 CaCO3 → CaO + CO2

2)アンモニアを飽和食塩水に溶解させます。

3) 2)の溶液に1)で得られる二酸化炭素を通すことで、塩化アンモニウムと炭酸水素ナトリウムが生成します。

 NaCl + NH3 + CO2 + H2O → NH4Cl + NaHCO3↓

4) 3)で得られた炭酸水素ナトリウムを取り出し、加熱することで主生成物としての炭酸ナトリウムを得ることができます。
(発生する二酸化炭素は3)の段階で再利用します)。

 2NaHCO3 → Na2CO3 + CO2 + H2O

5) 1)で得られた酸化カルシウムを水酸化カルシウムに変えて、3)のろ液と反応させるとアンモニアが回収されます。

同時に副生成物として塩化カルシウムが得られます。

 CaO + H2O → Ca(OH)2
 Ca(OH)2 + 2NH4Cl → 2NH3 + 2H2O + CaCl2

※現在は塩化アンモニウムを炭酸ナトリウムと同時に製造する改良法(塩安併産法)も行われています。


なお、副生成物の主な用途としては、

 ・塩化カルシウム:凍結防止剤、乾燥剤
 ・塩化アンモニウム(塩安):肥料の原料

が挙げられます。



明確な期限のない重要な仕事

2012年03月18日 21時38分45秒 | よしなしごと
明確に期限は決まっていないけれども重要な仕事というのがあります。

期限が未定とはいうものの、重要なのでなるべく早めに実施した方がよい仕事です。


緊急の仕事というのは、重要なものやそれほど重要でないものも含めて、きちんと実施・処理されていくのですが、

この種の仕事は明確に期限が決まっていないというだけで、後回しにされがちです。


ただ、いざその仕事の成果が必要になった、というときになって(それがいつになるかはわかりませんが)、

もっと早いうちに着手しておくべきだった・・・、ということになりがちです。


その対策としては、毎日(あるいは一週間に一回などで)一定の時間を必ず確保してそれに充てる、ということになると思います。

そうすれば、着手してみたらそれほど時間がかからずに終えてしまうことができた、ということもありますし、

たとえ完了しないまでも少しずつ進めておけば、いざというときにあわてることが少なくなるはずです。

この種の仕事は日々(着実に)こつこつと、が基本かもしれません。


※今回は、実体験も少し念頭に置きながら書いてみました。



フッ素

2012年03月17日 19時18分07秒 | 元素のお話
フッ素の単体は、常温で淡黄緑色の気体(ニ原子分子)で、特有の臭気があります。

フッ素はきわめて激しい化学反応性を有していることから、ほとんどの元素と直接作用してフッ化物をつくるのが特徴です。

またこの高い反応性のため、フッ素は通常は単体では存在せず、何らかの化合物の形で存在しています。
(主にホタル石(CaF2)や、氷晶石(Na3AlF6)などの鉱物中に含まれています)。

さらにフッ素は最大の電気陰性度を持つ元素でもあります。

なお、天然に存在する同位体としては、質量数19のものだけが存在します。


フッ素原子は、有機化合物を構成する原子の一部となることで、特異な性質を発現します。

フッ化水素酸や単体のフッ素とは対照的に、有機化合物中の水素原子をフッ素原子に置き換えたものは極端に安定で、かつ無害なものが多いです。

その高い安定性は、耐熱性、耐薬品性に優れる性質となって現れます。

身近にある焦げ付きにくいフライパン、炊飯器釜の内面のコーティングなどは、その表面にテトラフルオロエチレンの被膜(ポリテトラフルオロエチレン)をつけたものです。

また歯磨きの中にフッ化物を添加しているものがあります。

これは歯のエナメル質をフルオロアパタイト(フッ素リン灰石)に変化させることで、虫歯菌がつくる酸への抵抗性を増すことをねらっているものです。


有名な有機フッ素化合物として、フロン(クロロフルオロカーボン)があります。

かつて、冷蔵庫、クーラーなどの冷媒、電子部品製造時の洗浄剤などの用途で多量に使用されていました。

極度に安定で、なおかつ無害な化合物ということもあり、様々な産業でフロンが使われていたことは記憶に新しいことと思います。

しかし、フロンがオゾン層を破壊する原因となることが判明して以来、世界中で製造や使用が規制されるようになりました。

※また、フロンには温室効果を持つものがあることもわかってきています。