晴れときどき化学、ところにより雑想

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オストワルト法

2012年03月15日 23時05分02秒 | 化学のお話
硝酸を製造する方法はいくつかありますが、

アンモニアを酸化させることで工業的に硝酸を製造する方法を、オストワルト法といいます。

※ドイツの化学者オストワルトの研究成果をもとに工業化されたことから、この名前で呼ばれています。

現在は硝酸の大部分がこの方法で製造されていて、触媒としては、白金、白金-ロジウム、酸化鉄-酸化ビスマスなどが用いられます。


オストワルト法の詳細ですが、

まずアンモニアの酸化反応は以下のようになります。

 4NH3 + 5O2 → 4NO + 6H2O

ここで生成した一酸化窒素(NO)は、冷却すると以下のように酸素と反応(自動酸化)して二酸化窒素になります。

 2NO + O2 → 2NO2

この二酸化窒素(NO2)を約50℃で水に吸収させることで硝酸が得られます。

 3NO2 + H2O → 2HNO3 + NO

なお、上記の反応で得られる一酸化窒素は、回収し改めて二酸化窒素にすることで再利用されます。


その一方で、触媒との接触時間が長いと以下のような副反応が生じてしまいます。

 4NH3 + 6NO → 5N2 + 6H2O

そのため効率よく一酸化窒素を得るには、触媒との接触時間をなるべく短くする必要があります。

※実際の接触時間は0.001秒(1/1000秒)程度です。


オストワルト法の反応温度は700~1100℃で、常圧または加圧下で反応を行い、50~65%の濃度の硝酸を得ることができます。

そしてこれを濃縮することで濃硝酸が得られます。