晴れときどき化学、ところにより雑想

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アルカン

2012年03月26日 22時37分28秒 | 化学のお話
アルカンは、炭素どうしの結合がすべて単結合で、環状構造を持たない鎖状構造の炭化水素のことです。

※安定でほとんどの試薬への親和力が小さいことから、これを示すラテン語の "parum affinis" に由来するパラフィン(paraffin)系炭化水素とも呼ばれます。

アルカンはメタンの同族体で、一般式Cn2n+2で表されます。

可燃性で炭素数1~4までは常温で気体、炭素数5~17までは液体、炭素数18以上はろう状の固体として存在します。


アルカンは化学的に非常に安定な化合物で、炭素数4以上の炭化水素には異性体が存在します。

※なお異性体の数は以下のように炭素数の増加とともに急激に増大します。
(C4:2種類、C5:3種類、C6:5種類、C7:9種類、C8:18種類、C9:35種類、C10:75種類、・・・、C15では、なんと4347種類の異性体が理論上可能となります!)。

また直鎖の炭化水素では、炭素数が多くなるにつれて融点、沸点、比重が高くなる傾向にあります。
(沸点は異性体のうちで側鎖の多いものほど低くなります)。


ちなみに天然ガスにはメタンを主成分とするもの(乾性ガス)と、メタン以外の炭素数の少ないアルカンを主成分とするもの(湿性ガス)があります。

※一方で石油は、炭素数1のメタンから、炭素数70のヘプタコンタンまでの種々の炭化水素の混合物です。


アルカンは、石油の分留によって分離する方法、アルケンやアルキンなどの不飽和炭化水素を水素添加する方法、一酸化炭素と水素の混合物を鉄やコバルトなどの金属触媒上で反応させるフィッシャー・トロプシュ法などによって得られます。

気体や液体のものは燃料として、固体のものは防水材料、ろうそくや軟膏の基剤などに用いられます。

特に炭素数1~6のアルカンは石油化学工業用原料として重要です。


なお、都市ガスはメタン(CH4)が主成分であり、プロパンガスは文字通りのプロパン(C38)とブタン(C410)が主成分です。

※メタンやプロパン、ブタンはもともと無臭なので、ガス漏れの際にすぐわかるように臭いをつけてあります。